見出し画像

動画付き参考書・問題集は未来を変える力を持つか【授業という「3次元ティーチング」はシームレス化する時代へ】

私立高校を中心に学校現場へのタブレット端末の貸与(これがちょっといろいろ問題を起こしているようですが・・・)が一般化されたこと、スマートフォンの普及が広がっていることもあり、問題集、参考書を出している各出版社は、映像の活用に動きだしているようですね。

数研出版のチャート式シリーズ(数学)やリードシリーズ(理科)にも解説動画がつくようになりました。背景には、AIの活用などにより、制作コストが劇的に下がったことがあるのではと思います。

そうなると、学校や塾・予備校の生授業との差別化が難しい時代になってきたなと感じます。

もちろん、塾講師という当事者の目線ではAIによる自動音声による解説と、学校の先生の丁寧な授業とは明確な違いがあると強調したいところではありますが、授業を受ける生徒の目線でいうと、シームレス化に進むことは間違いないのかなとも思っています。

授業は、「3次元ティーチング」というカテゴリーとして収れんしていくのが現実的ではないかなと思っています。

これがどんな未来を創造していくのか、とても興味があります。

今、わが世の春を謳歌している映像授業サービスの塾・予備校は、優位性を維持できるのか私は微妙なラインではと思っています。

というのも、自動生成プログラミングによって、カリスマ先生の授業の構成要素を抽出した安価な「3次元ティーチング」システムが開発されれば、

たとえカリスマ先生の授業スキルに衰えがなくても、相対的に価値は低下し、これまでのような強気な価格設定は無理だろうとも思うからです。

さらに現在大手の映像授業サービスの多くは、高偏差値層の受講生には、大幅値引き(含む無料提供)を行う一方で、そうでない中偏差値層には強気の価格設定でビジネスしている現実があるからです。

今後廉価なサービスが登場すれば、コスパを考えると中偏差値層はそちらに流出することが十分に考えられ、それが高偏差値層の割引原資を奪うことになり、ビジネスモデルは根本から瓦解する可能性は十分にあります。

そもそも、カリスマ先生の超ハイスペックな授業が、成績を上げる絶対的要因ではないのですから・・・。

で書いたように、私はすでにこの授業という「3次元ティーチング」からは事実上撤退し、本サービスの付帯的なポジションとして残しているいるのが現状です。

そうしないと、小規模塾では、生き残ることが難しいと思っているからです。

今後、「3次元ティーチング」の在り方は学校の授業という本家本元の議論を巻き込み、いろんな動きがあるのではと思っています。

教科書内容の学習は、出版社が準備した授業動画で賄えるのではという議論は出てくるのではと思うからです。

そのとき、学校の先生の存在は根源的な意味を求められる未来がやってくるのかもしれません。

また、入試関連でいうと、高校資格認定試験の完全デジタル化が実現すれば、このあたりから、新しい議論が出てくるのかもしれません。

そうなると、基礎学力のチェックは完全デジタル化されたテストを受けることになるのではとみています。それは、締め切りを設け、いつ受けても、複数回受けてもよい方式が可能になるでしょう。

基礎学力のチェックがこれで担保されれば、多様性の学力観による入試が動き出すかもしれません。総合型選抜入試と一般入試を融合させた入試は、デジタル化によって生まれた、時間の有効活用として議論される可能性もあります。

授業という「3次元ティーチング」のシームレス化は、結構社会を変えるインパクトがあるのかもしれないと「妄想」しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?