水道法改正の際望むいくつかの話

利用者とは誰か、といったら各地方自治体の住民であることは疑いようのない事実である。これを最重要なポイントとした上で、改正水道法について考えていきたいと思う。

まず水道とは。水道の三要素をご存じの方はそれほど多くはないだろう。
水道の三要素とは「水量、水質、水圧」である。水量とは通常の水需要において安定した給水が出来ることであり、災害などの緊急時においては住民の生活に支障のないように給水することである。
水質とは飲料水の供給という目的のため、安全で良質な水の確保ということである。そのため必要なのは水源水質の保全である。
水圧とは高所においても水圧の確保を行うため建築物の上層階においても水圧の確保により水の供給が出来ること、である。
これらは水道を学ぶ学生が必ず覚えることであり、水道を運営する側も必ず保たなければならない事項である。

今回の水道法改正によりコンセッション方式が導入されることになったが、この方式が上記の水道の三要素を満たさなければならないということについて危惧する意見があることは国会審議の中で出された意見からわかることである。またそれを満たすために必要なコストがかさんだ場合の水道料金の高騰による住民の生活への影響が不安視されている。

水道は誰しもが利用する住民の生活に必要なインフラである以上、不安視する意見はもっともなことであり、だからこそ今まで地方自治体が管理してきたものである。地方自治体が管理してきたものという理由は、先に書いた三要素を満たす水道を維持することが必須だったからであるわけで、先にそれを示した。

さて、水道法の改正が決まったわけであるが、今後各都道府県各市町村や水道に参画する民営の企業に対してどのような希望を求めるか、ということが重要であろうと考える。その際必要なことは、水道とはなんであるかということについて、自治体や運営主体の信念を高いまま維持することやさらに高く求めることであろう。

水道とは何であるか、を考えたときにそれは利益を得る手段ではないものだということを心に留めなければならない。今はウォーターサーバーやペットボトルなどで購入する方も増えているが、それでも水道はなくてはならず、いざというときには生死に関わるインフラとなることは言うまでもない。だからこそ地方自治体が管理し、水質などについて最重要視してきたわけである。
コストが下がりその結果利益が増えるということであれば言うことはないが、利用料金に上乗せするようなことがあるようなことはあってはならないことである。法令の改定で悪くなることは、あってはならない。

数日前我が家の近くで水道工事を行っていた。その際、注意深く見ていたときに水質の調査を行っていた。この姿勢は水道法の改正によっても必要な意識であり、最初に述べた水道法の改正においても、運営するのが企業になっても保ちつづけなければならない。そしてそれは市民の生活を守りつつ、負担にならないようにしなければならない。
水道法の改正により私が考える必要なことはそれである。地方自治体が行ってきた水道事業、安定して水質を保ったまま水道インフラを守ることは責務であり、それが出来る法令でなくてはならない。今後も議論する部分は国や地方自治体で出てくると考えられるが、その際には「水道事業において変化してはならないところは何か」ということを考えていただきたいと思う。水道インフラの法令が変化しても住民の生活に直結する以上、住民が接する水量・水質・水圧の劣化はあってはならないことであるし、日本における水道保全も含めた水道技術の継承やまた水道料金が現在より高額になることは避けなければならない。これらは住民も含め水道に関わる方ほとんどすべての方が気にしていることであるので、それを記しておきたい。

各地方自治体が維持してきた水道設備は日本の地方自治体の誇りであり、日本における自治体サービスの高度なレベルを体外的に示してきた事例の一つといえよう。このことを忘れずに新たな段階へ進む水道がより良くなることを願って締めたいと思う。

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