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【Expert noteコラムVol.6】在庫管理の仕方③OMO編:ECとPOSレジの在庫の一元化

スマレジDevelopers Expertによるコラム連載Vol.5は在庫管理ソフト「ロジクラ」との連携アプリをアプリマーケットにリリースいただいている株式会社ロジクラの久野さんに執筆いただきました。

今回は前回に引き続き在庫管理の仕方第3弾(全3記事)となります。
前回は、POSレジやWMSを用いた在庫管理についてご紹介いただきました。

今回は、ECとPOSレジの在庫一元化とOMOオムニチャネルについて、ご紹介させていただきます。新たなマーケティング戦略といわれている「OMO」ですが、なんとなく聞いたことはある…という方は多いのではないでしょうか。そこで、OMOの定義や広まりつつある背景について解説します。

OMOとは?

多くの人がスマートフォンやオンラインサービスを利用する現代社会では、インターネットと消費者が繋がる機会が増えています。O2Oやオムニチャネルは今やマーケティングに欠かせない戦略であるといえます。ここでは新たな戦略であるOMOの定義やO2Oやオムニチャネルとの違いについて解説します。

定義

OMOとは「Online Merges with Offline」の略でオンラインとオフラインの境界をなくし、融合することによって最適な顧客体験を提供する戦略を意味します。顧客はオンラインとオフラインを意識せずに利用でき、企業は膨大に蓄積されたデータを利用して顧客個人にあったマーケティングが展開できるようになりました。現在は広告をはじめ、オンラインショップやサービスなどもオンラインに接続しており、シームレスな購買体験ができる点からもOMOは今後の主流になり得るマーケティング戦略になるでしょう。

O2Oやオムニチャネルとの違いは何か?

OMOはオンラインとオフラインの境界をなくしたシームレスな購買体験ができる戦略ですが、O2Oやオムニチャネルはオンラインとオフラインの役割が別々であることが特徴です。
 
O2Oはオンライン(インターネット)からオフライン(実店舗)に顧客を誘導することを目的としています。ホームページやアプリで割引券などを発行し、実店舗に足を運んでもらうというような戦略です。オムニチャネルはあらゆる販売経路で顧客との接点を持つ戦略で、実店舗をはじめオンラインショップやカタログ販売などさまざまな場所からアクセスしても同じ購入体験(CX)ができます。

オムニチャネルは各チャネルが連携していますが、一つひとつのチャネルに関してはオンラインとオフラインが区別されているのが特徴です。OMOはオンラインとオフラインの区別がないので、商品購入後も持続してアフターサポートや商品の提案が可能になります。

OMOが広がりつつある背景

オンラインとオフラインのどちらで商品やサービスを受けるかではなく、購入体験の満足度を重視するOMOは、新たなマーケティング戦略として広まりつつあります。注目が高まった背景について深く掘り下げてみましょう。

デジタルシフト

社会全体がデジタルシフトしている昨今では、企業もデジタルに移行することが迫られています。オンラインサービスをほとんどの人が利用しており、顧客は商品情報やお得情報などを企業のホームページやアプリで検索する機会が増えた事が背景と考えられます。さらに新型コロナウイルスの影響で、顧客は非対面の情報収集や購買を求めるようになりました。

ビッグデータ活用の広まり

ICTの普及によって多種多量のデータ活用が可能になりました。データを蓄積・分析し活用することは、今後企業競争力の主軸となるでしょう。例えば、企業が顧客の行動や利用履歴、位置情報、スケジュールなどのデータ分析を通じて顧客毎にパーソナライズされた情報・サービスを提供する事により、顧客満足度を高めやすくなります。

総務省の令和2年版「情報通信機器の保有状況」によると、個人におけるスマートフォンの保有率は67.6%です。また、2019年の「世帯情報通信機器の保有状況」をみると、スマートフォンの保有率は8割を超えています。誰もがスマートフォンを持ち、オンラインに繋がっている時代になったことで、ますますOMOの必要性は高まるといっても過言ではないでしょう。

顧客ニーズの変化

オンラインストアと実店舗を融合させることで、顧客はより便利なショッピング体験を求めるようになりました。また、オンラインストアで商品を見て、実店舗で実際に触ってみたり、試着したりすることで、より購買意欲を高めることができます。
消費者は、「欲しい商品」を「好きなチャネル」で、「欲しいタイミング」で購入し、「都合にあった場所で受け取りたい」。それをいかに実現するかが重要な考え方になります。

OMOにおける在庫管理のポイント

「Online Merges Offline」においては、オンラインストアと実店舗の在庫を一元管理することが求められます。オンラインストアと実店舗で独立した在庫管理を行っていると、在庫の重複や不足、商品情報の不整合などが生じ、顧客の不満や販売機会の損失につながる場合があります。

オンラインストアの在庫と店舗在庫の共通管理

在庫を一元管理するには、POS(Point of Sales)システムとオンラインストアの在庫管理システムを連携させることが重要です。オンラインストアと実店舗で商品の共有を行うことで、在庫が不足した際に、実店舗での在庫を利用してオンライン注文を受けたり、逆にオンラインストアの在庫を利用して実店舗で注文を受けたりすることができます。
在庫を共有管理することで、販売機会を逃さずに済みます。

店舗配送の仕組み

実店舗の在庫をオンラインストアで販売することで、実店舗から商品の発送を行う仕組みも必要になります。実店舗の在庫に対してオンライン注文がされた場合に、倉庫に送ってからお客様に発送するケースもありますが、そうした場合は、お客様へのお届け日数がかかってしまい、配送コストも二重にかかってしまいます。
そのため、実店舗の在庫が注文された場合の在庫確保と実店舗からお客様へ配送する仕組みを構築しておく必要があります。

店頭受取の導入

店頭受取とは、オンラインで注文した商品を実店舗で受け取るサービスです。
海外ではBOPIS(By Online Pick Up In Store)と言われています。店頭受取を導入することにより、オンラインストアと実店舗を融合させ、顧客にとってより便利なショッピング体験を提供することができます。

店頭受取のメリット

  1. 利便性の向上:店頭受取は、オンラインストアで注文した商品を実店舗で受け取ることができるため、配送待ちの時間を省くことができ、自分の都合の良いタイミングで商品を入手することができます。また、商品を確認したり、試着をすることができ、その場で商品交換も可能になるため、購買満足度も高まります。

  2. 販売チャンスの拡大: 実店舗で商品を受け取る際に、顧客が他の商品を見て購入する可能性が高まります。そのため、販売チャンスの拡大が期待できます。

  3. 配送費の削減:配送料がかからないため、ストア側にとっても配送費を削減できます。オンラインストアの運営コストを下げることができます。

店頭受取の導入手順

  1. オンラインストア上で、店頭受取および受取店舗を選択できるようにする

  2. 店頭受取のための受け取りカウンターや受け取り場所を設置する

  3. 在庫管理システムを一元化し、オンラインストアと実店舗での在庫数を常に更新する

  4. スタッフ教育を実施し、店頭受取の手順やサービスの提供方法を確認する

ロジクラでは、実店舗で利用するPOSレジ「スマレジ」とオンラインストア「Shopify」の在庫をリアルタイム連携します。また、店頭受取にも対応しています。

国内のOMO事例を紹介

海外ではOMOを実施する企業が増加していますが、日本ではまだまだ浸透していない戦略です。しかし、いち早くOMOを取り入れている企業も存在します。実際にOMOを実施している国内企業の事例を紹介するので、新たな戦略の手段として参考にしてください。

ロジクラ×ROUTE06×そごう・西武によるOMOストア開発

そごう・西武のOMOストアとして「CHOOSEBASE SHIBUYA」が2021年09月に誕生しました。店舗とECの融合や在庫管理面を株式会社ロジクラが、新規事業支援と事業変革に特化したデジタルソリューションを株式会社ROUTE06(ルートシックス)が支援しています。

ECサイトとリアルストアを同時期にオープンし、洋品雑貨・衣料品・化粧品など出品企業54社、約400点のアイテムを取り扱うことで、シームレスな購入体験が実現しました。
引用:ロジクラとROUTE06、そごう・西武のOMOストア開発を支援

セレクトショップ”SHIPS”の事例

顧客がせっかく店舗に足を運んでも、好みのカラーやサイズが欠品していて商品が買えなかったということがあります。セレクトショップ「SHIPS(シップス)」では、OMOによるサービスの充実を図り、欠品している商品をその場でオンライン注文して会計を店舗で済ますことができるサービスを開始しました。
 
また、店舗で採寸を行ってオンライン注文したり、オンラインショップで気になる商品を取り置きしてから店舗でチェックや試着をしてから購入するサービスも開始しています。シームレスな購買体験によって、顧客は何度も店舗に足を運ぶ手間から解放され、企業も購買意欲のある顧客を取り逃す機会が減りました。
引用:シップス、店頭での在庫欠品時にEC在庫で対応 OMO推進する新サービス続々

オーダースーツを営む”FABRIC TOKYO”の事例

ビジネスウェアのカスタムオーダーサービスが好評の「FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)」は当初オンライン完結型のサービスとして運営していました。しかし、顧客の「実際に採寸して欲しい」という声を受けてポップアップストアを開始し、現在ではポップアップ店舗含め30店舗以上もの出店を果たしています。
 
顧客は店舗やサービス内容をオンラインで知っているので、人通りが少ない場所に出店しても来客者数は順調とのことです。
引用:未来の小売の先駆者?FABRIC TOKYOが実践するOMO、そしてRaaSを紐解く。

海外のOMO事例をご紹介

中国 Luckin Coffeeの事例

2017年に設立した中国の「Luckin Coffee(ラッキンコーヒー)」は、1年で2,000店舗を展開し、2019年のピーク時には4,500店舗まで拡大しました。注文から決済までを全てアプリで行うため、店頭で順番を待つ必要がありません。顧客は店舗で受け取ることもできれば、デリバリーを利用することもできます。店舗スペースは最小限で済み、人件費や賃料などのコスト削減も同時に実現しています。
引用:O2Oから「OMO」へ。スタバを脅かす勢いで成長する中国「Luckin Coffee」の戦略とは?

アメリカ Amazon GOの事例

「Amazon Go」は、シアトル・サンフランシスコ・ニューヨークに計17店舗を展開しています。AmazonのECサイトと同じアカウントを利用するため、AmazonとAmazon Goの購買行動データは共有され、より顧客の好みにあった商品をAmazonマーケットプレイスに表示させることが可能になりました。Amazonは傘下の実店舗スーパー「Whole Foods」のデリバリーをプライム会員限定でサービスするなど新たな取り組みも始めています。
引用:Amazon Goにみる「OMO戦略」を紐解く

まとめ

O2Oやオムニチャネルに続く新たなマーケティング戦略「OMO」をご紹介しました。オンライン・オフラインの境界線がなくなりつつある昨今、ユーザー体験を最大化して満足度を高めることが企業に求められています。そのためには企業と顧客間をスムーズに結ぶ物流の最適化が欠かせません。
お客様の購買体験を考え、選ばれるお店づくりに取り組んでいきましょう。


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