久しぶりに観てみた映画の話【羊たちの沈黙】
The Silence of the Lambs
今回、紹介するのは
「羊たちの沈黙」
第64回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演女優賞、主演男優賞?など、主要5部門を受賞した名作。
あれ、アンソニー・ホプキンスって主演だったっけ?と、思ってしまうぐらいホプキンスの演じた ”ハンニバル” レクター博士が印象的な作品です。
先日、BSフジで、なんと昼間に放送されていたのですが、やっぱ観ちゃうんですよね~。
映画館で、ビデオで、TV放送で、そしてDVDでと、それなりに観てる映画なんですが、最近、観てないような気がして、ついつい観てしまいました。
はっきり言うと、やっぱり面白い!です。
好きなんですよね~、ほんと。
画質とかに古さは感じられるものの。闇の濃さは変わらず、不気味な手触りは相変わらずでした。 ....面白いものは、やっぱり面白いのです。
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◎映画も原作も面白い!
『羊たちの沈黙』は、トマス・ハリスの第3長編として出版された後、映画化された作品です。
映画のポスターと同様の図柄が本の表紙となっていますが、この髑髏模様の巨大蛾が口元を覆っている絵は不気味でしたね~。
ちょっとトラウマっぽいです。
このビジュアルとともに、『羊たちの沈黙』のイメージがすりこまれてる感じですね。
自分は映画公開後に原作を読んだのですが、原作もすごく面白い作品で、何度か読み返してたりします。(私にとって、いまだに海外翻訳本の中で、ベスト3に入る作品です。)
映画は、けっこう原作に忠実に作られていて、原作のイメージを損なうことなく表現されてるって感じなのです。
一点挙げるとするならば、なぜ、この映画のタイトルが『羊たちの沈黙』となっているのか?、その理由となるエピソードの描かれ方があっさりしてるぐらいですね。
その点、原作ではクラリスとレクター博士のやりとりもじっくり描かれていて、よりクラリスの内面に迫る感じです。映画を観て、レクター博士がクラリスを気に入っていく理由がわかりにくかった方は、原作を読んでみるとよいと思います。
◎レクター博士はもはやジャンル
この作品に出てくる犯罪者”バッファロー・ビル”や”ハンニバル・レクター”は、ホラーに出てくる怪物とは一線を画し、また、それまでのミステリーに出てくる殺人者とも一味違うと思うんですよね。
特にハンニバル・レクター博士は、サイコパスという理解不能な異常性に、高度な知性、高貴さを持ち合わせた人物として、この後の様々な作品に影響を与えたキャラクターだと思います。
レクター博士を創造したトマス・ハリスも偉大だし、そのイメージを作り出したジョナサン・デミも素晴らしい。
プロファイリングによる捜査も新鮮でしたが、サイコパスのプロファイリングするのがサイコパスという展開が面白すぎでした。
物語の終盤、レクター博士が脱走する際の猟奇的なシーン、グロテスクではありますが、なんだか高貴な感じが出てませんか?
猟奇的でありながら、そこに気品がある。そのあたりが、レクター博士の人気の秘密だと思うのですが、映画でも、そこを外さずに表現してる感じです。(残念ながら続編の『ハンニバル』では、グロテスクがそのままグロテスクだった気がします。)
◎抜群のキャスティング
この映画の成功は、主人公クラリス・スターリングと、ハンニバル・レクター博士のキャスティングによるところも大きいと思います。
クラリス役のジョディ・フォスター
自分にとってジョディ・フォスターといえば、『タクシードライバー』や『ホテル・ニューハンプシャー』、『告発の行方』等々、どちらかといえば、アイドル的なイメージだったんですよね。なので、この理性的なFBI捜査官(劇中は訓練生)役は意外に感じたのですが、あまり笑わないフォスターも素敵でした。
レクター博士役のアンソニー・ホプキンス
自分にとって、この登場シーンが印象的でした。何か姿勢が良過ぎて、気味悪い感じがしませんか?
当時は、あまり知らない役者さんだったのですが、レクター博士にピッタリでした。ホプキンスがいなければ、ここまでの作品にならなかったのではと思います。
*その他の”ハンニバル・レクター”世界
ハンニバル・レクター博士が登場する原作は
『レッド・ドラゴン』
↓
『羊たちの沈黙』
↓
『ハンニバル』
の順なのですが、アンソニー・ホプキンスがはまり役となったため、既に映画化されていた『レッド・ドラゴン』も、レクター役をホプキンスにすえて2度目の映画化がされているので、映画化の順序が違ってる印象になっています。
『レッド・ドラゴン』の原作も、すごく面白いのですが、初登場作なのでレクター博士は脇役に過ぎません。
映画は映画で面白かったのですが、原作よりレクター博士が影が強い印象でした。
『ハンニバル』はシリーズの結末が描かれる作品です。大好きなリドリー・スコット作品であるものの、グロテスクそのもののシーンや、ジョディ・フォスターが出てないこと、そして何より原作と結末が異なることなど、私的にはマイナスポイントの多い作品なのですが、グロいのが平気な人は楽しめるかも.....
また、レクターの若き日を描いた『ハンニバル・ライジング』という作品もあって、ちょっと趣が異なりますが、なぜ、”人食い”ハンニバルと呼ばれるようになったのか、じっくりと描かれています。
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ハンニバル・レクターの世界にどっぷり浸かってしまった方、また、そもそもレクターが警察に捕まった事件なんかが気になる方には、ぜひ、ドラマ版の『ハンニバル』をお薦めします。
『レッド・ドラゴン』の主役グレアム捜査官をメインにしたドラマで、レクター役をマッツ・ミケルセンがやってるのですが、なかなかはまっていていい感じのシリーズです。
原作では描かれていない話や、原作の会話中に出てきた話などを基に作り上げられているのですが、なかなかの出来で面白いんですよね。
シーズン3では『ハンニバル・ライジング』と『レッド・ドラゴン』のエピソードもあって、もしかすると映画よりも楽しめるかもです。
惜しまれつつシーズン3で終了してしまったのですが、よりレクターの世界に浸りたい方には、ぜひ、観てもらいたいですね。
(関係”note”)
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