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シティ・ポップの貴公子と呼ばれた山本達彦の歌声(シティ・ポップの記憶④)

The City-Pop in my Memory Ⅳ


 ”シティ・ポップ” について明確な定義はなく、人それぞれに ”シティ・ポップ” の範囲は異なります。
 ここで言う ”シティ・ポップ” とは、私の感覚で、洗練された都会のムードを感じさせてくれるポップスのことで、80年代のあの時代、好きだったアーティストたちを紹介していきます。 


 私が “シティ・ポップ” と思って聴いていたアーティストに関する “note” ですが、今回は、当時、シティ・ポップの貴公子と呼ばれていた山本達彦さんについて記事にしていこうと思います。

 山本達彦さんといえば、1978年にデビューした後、その甘いマスクとメロウな歌声で、ザ・ベストテンに出演するような大ヒット曲はなかったものの、安定して人気のあったシンガーソングライターなんです。

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 80年代前半のあの時代、ジャニーズ事務所のアイドルとは別に、端正な容姿のシティ・ポップ系のシンガーたちが人気だったのです。

 稲垣潤一さん然り、杉山清貴さん然り、そして、この山本達彦さんも、当時の女子人気が高かった方なんですよね。(そして、この系譜は徳永英明さんとかに引き継がれていくわけです。)

 その中でも、山本達彦さんは、成蹊大学出身ってこともあって、なんか育ちの良さの雰囲気が突出してた感じがします。

 デビュー曲「突風 〜SUDDEN WIND〜」なんか聴くと、当初は ”甘い” というよりも ”優しい” 感じの方が強いと思うのですが、年齢を経るたびに、大人の色香みたいなものを帯びていくんですよね~。(ちなみに、この曲の作詞は伊集院静さんだったりします。)


◎ストイックな曲たちの時期

 自分が、山本達彦さんを知ったのは中学生の時、仲の良かった女の子がファンだったことがきっかけです。
 いわゆる、好きな人の好きなものは好きになる法則です。

 (関係する記事はこちら)

 
 そして、初めて聴いた山本達彦さんのアルバム

『LE PLEIN SOLEIL/太陽がいっぱい』1982

 この中で、特に気に入っていたのがシングルでもあった「LAST GOOD-BYE」なんですよね~。

「LAST GOOD-BYE」
 作詞: 山川啓介 作曲:山本達彦 編曲:井上鑑

たぶん今度が LAST GOOD-BYE
二度と帰らないだろう
降りだす雨に まぎれていくよ
いつかどこかの街で
生まれ変わって会おう
名前も顔も過去も忘れて

 ちょっとストイックさが漂う歌で、カッコ良かったんですよね~。
 で、この曲を編曲してる井上鑑さんていうのが、自分の好きなシティ・ポップアーティストであり、当時、寺尾聰さんや稲垣潤一さんの編曲も手掛けてた人なんです。

 自分が大好きな東芝EMI系列の方だと分かって、俄然、追いかけ始めたんです。(好きな女の子の話は別にしてw)


『Music』1984

 この『Music』も、よく聴いたアルバムです。
 女子たちと、このジャケットの”タワシ”みたいなのは何だ?って盛り上がった記憶もありますねw
 収録されていたシングル「夢より苦しく」や「ロンリー・ジャーニー」も、自分の好きな都会の夜が感じられて好きだった曲なのです。

夢より苦しく
 作詞: 来生えつこ 作曲:山本達彦 編曲:椎名和夫


ロンリー・ジャーニー
 作詞: 来生えつこ 作曲:山本達彦 編曲:椎名和夫


 そして、これも大好きだったシングル曲。

「嘘の台詞(ダイアローグ)」
 作詞: 山川啓介 作曲:山本達彦 編曲:佐藤準

お前に打たれた頬が燃えている
不幸にできない恋が終わる痛み
できすぎた嘘の台詞(セリフ)笑う風
砂ぼこりの中消える影に I Love You

 幸せになってほしい女性に、わざと嘘をついて嫌われようとする歌。
 まあ、今、思えば、それも身勝手なんですが、当時は、そこに「LAST GOOD-BYE」に連なるストイックな男の美学みたいなのを感じてたのです。
 ... そういうのに憧れてた時期なんですよね。


◎秘密の恋愛三部作の時期

 1985年以降、作詞家:売野雅勇さんとのコンビによるCMソングが連続した時期があります。
 それが、「夏の愛人」、「密室のtango」、「密会のHIGH NOON」の3曲なのですが、タイトルに "愛人"、"密室"、"密会" というキーワードが含まれているので、自分は、この3曲を、個人的に "秘密の恋愛三部作" と呼んでいます。(←あくまで個人的に...w)

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 なんか、3枚とも、タイトルが縦書きだし、色調も分けられている感じがして、ほんと三部作っぽいと思いませんか。


「夏の愛人」1985
 作詞:売野雅勇 作曲:山本達彦 編曲:佐藤準

爪先に口づけせがんだね あなた
銀色のハイヒール 右足にひとつ

夏の日の愛人なら
淋しい…とささやくのは止せよ
裸のまま泳げよ
ほろ苦い恋の痛み消すように

 歌の冒頭から「爪先に口づけ」ですからね~、なかなか蠱惑的な感じなのです。まあ、夏の”愛人”なんで、大きくとらえることも可能ですが、CMソングにこのタイトルは、今はないですよね。

 このタイトルに軽いインパクトがあって、自分にとって、当時の山本達彦さんは、この系統のイメージが強いのです。


「密室のTANGO」1986
 作詞:売野雅勇 作曲:山本達彦 編曲:西平彰

密室だね 女の心は
微笑ってサヨナラ言うなよ
優しさって 冷たいものよ
閉じた扉から
タンゴが響いた…


「密会のHIGH NOON」1986
 作詞:売野雅勇 作曲:山本達彦 編曲:西平彰

他人の顔をしてと たたんだメモを渡し
あなたが走り去った ホテルの白い中庭
火遊びですめばいいね
その背中そっと告げた

High Noon Secret, Secret, Secret
縛り合う
High Noon Secret, Secret, Secret
恋だけが恋じゃないと言った女


 3曲とも、売野さんらしいキーワードが散りばめられているんですが、いつもよりアダルティな内容なんです。
 歌詞を見て気が付くのは、どの曲も、恋愛をリードしてるのは女性の方なんですよね。

 「LAST GOOD-BYE」や「ロンリー・ジャーニー」、「嘘の台詞(ダイアローグ)」に見られた、ストイックなダンディズムとは、ちょっと違ったイメージだったんですよね。


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 ちょっと偏った選曲になってしまったのですが、普通に爽やかな曲や、明るいポップスもいっぱいあるので、誤解なきようです。

 個人的には、山本達彦さんの声は、ストイックさのあるバラードが一番似合うかなって思ってるんですけどね。


「Pacific Blue」1982
 作詞:竜真知子 作曲:山本達彦 編曲:NOBODY




<シティ・ポップの記憶>
私のシティ・ポップの原点「アスペック・スペシャル」
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私のシティ・ポップでの重要人物だった井上鑑の音楽