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独学合格者が教える「中小企業診断士」試験に確実に合格する勉強法

会社員からの幸せな独立戦略

2020年、新型コロナウィルス感染拡大により突如始まったリモートワークをきっかけに、これまでの働き方を見直してみたいと思った人も多いと思います。実は、私もそのなかの一人でした。当然のように、会社員として定年まで働き、その後の生活については何も考えないふりをしていました。

老後のことはしらんがな

ところが、私はコロナ禍により生まれた新しい生活スタイルにより、私の価値観が激変したのです。そして、定年まで我慢するまでもなく、会社員として培ったこれまでの知識や経験をもとにして、自信をもって独立したい✨と考えるようになりました。なぜなら、以前よりもフリーランスやスタートアップ起業家として独立して働く人が増えるに伴い、その収益を得るためのプラットフォームが整備されてきていることを知ったからです。

そこで私は、会社員としての知識やスキルを整理するために、経営コンサルタントの国家資格である「中小企業診断士」に目を付けました。💡

そして、私はじっくりと2年間勉強し、令和5年度(2023年)の中小企業診断士試験に合格することができました。🎊㊗️中小企業診断士として登録手続きを行い、独立開業する予定です。

そこで、中小企業診断士とはどのような資格なのかを含めた全貌と、私が実践した「確実に合格するための勉強方法」をご紹介したいと思います。


中小企業診断士とは

中小企業診断士は、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録する資格です。

日系転職版が2023年6月、7月に登録会員948人に「役立つ資格ランキング」に対する意識調査をした結果、中小企業診断士が宅建や社労士を抜いて第9位にランクインしました。受験資格は、年齢、学歴などに制限はありません。

中小企業診断士は、経営コンサルタントの国家資格でありながら、これまで資格の知名度が低かったのですが、年を追うごとに受験生数が増加し続け、2016年の日経新聞の記事「ビジネスパーソンの新たに取得したい資格調査」でトップとなりました。

中小企業診断士資格取得のメリットは、次の通りです。

中小企業診断士の学習をすることによって、企業の経営に関わる知識を横断的に身につけることができます。経営について横断的視野で思考できる能力は、現在の仕事で活かせることはいうまでもなく、「キャリアアップ」「転職・就職」「独立開業」をする場合にも非常に大きな強みとなります。

日本経済新聞 2016年1月12日付けより

中小企業診断協会の発表によれば、2023年(令和5年)では、前年比1,208人増加の25,986人が1次試験の受験申し込みをしました。

その特徴は、男性にダントツ人気がある資格であることです。1次試験受験者の申込者は、男性89%、女性11%です。対して1次試験試験合格者は、男性93%、女性7%となっています。(令和5年度)

逆にいえば、女性の資格取得者は希少性があるため、今後はさらに活躍の場が広がるチャンスがあるといえるでしょう。
また、家庭・育児と両立しながら仕事を続けられ、最適なライフプランを築 くことができる診断士資格は、女性にとっても大きな魅力です。


令和5年度中小企業診断士1次試験統計資料一部抜粋


さて、どのような人がこの資格を受験しているのでしょうか。勤務先区分別に集計した、次のような統計資料があります。これによると、民間企業勤務の受験生が62%と圧倒的に大半を占めています。

次に多いのが金融機関勤務の受験生です。政府系と政府系以外の金融機関勤務者を合わせると9.8%になります。金融機関においては、中小企業診断士の資格取得が奨励されていることも影響しているようです。また、税理士・公認会計士等の自営業の人がダブルライセンスとして取得することも多いようです。

その他では、一見するとコンサルタント業務に関係なさそうな公務員や向学心のある学生の受験者も多いことがわかります。

令和5年度中小企業診断士1次試験統計資料一部抜粋


中小企業診断士の難易度

次に、気になるのが合格率です。中小企業診断士協会は、毎年合格者のデータを公開しています。令和5年度においては、受験者の29.6%が1次試験に合格しています。

令和5年度中小企業診断士1次試験統計資料一部抜粋

1次試験は、マークシート方式による多肢選択式で7科目(下表参照)あります。合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準としています。受験科目が7科目と多いため、勉強時間は個人差がありますが、800~1000時間が目安とされています。

しかしながら、上記合格基準以外に科目合格基準があり、1科目60点とれば、翌年度と翌々年度の1次試験を免除されるという特典があります。この制度を利用して、計画的に合格する人がほとんどです。忙しいビジネスパーソンにとっては、魅力的な制度ですね。

なお、公認会計士や税理士、弁護士など他の国家資格の合格者に対しては、申請により試験科目の一部免除が認められています。

これら保有する国家資格の「専門分野の強み」に診断士で身につけた「経営全般に関する知識」と「コンサルティングに不可欠なスキル」を加えることで、顧問先からの多種多様な相談業務にも対応しやすくなります。

令和5年度中小企業診断士1次試験統計資料一部抜粋

このように診断士は、経営戦略、組織・人事、マーケティング、財務・会計、生産管理、店舗運営、物流、経済学、IT、法務と非常に幅広い分野の知識の他、問題解決力や説得力の基礎となるロジカルシンキングなど、コンサルティングに必要なスキルを習得することができます。


資格取得後のキャリアの可能性が広がる

年齢別では、若者(39歳以下)、ミドル(40~59歳まで)、シニア(60歳以上)に分けると、1次試験合格率はそれぞれ、若者22%、ミドル21%、シニア19%となります。

年齢が上がるごとに合格率が下がる主な要因は、1次試験はほとんどが暗記科目であり、記憶力の高い若者が有利であるためと考えられます。それでも1次試験においては、年齢による差はそれほど大きくはありません。令和5年度には、最年長合格者で83歳の人がいるのですから、年齢を理由にして挑戦を諦めるべきではありません。

さらにいえば、ミドルやシニア世代こそ、定年後のセカンドキャリアや早期退職制度を利用した独立開業など、キャリアの選択肢を増やしておくことで、長く働ける収入源を確保することができる診断士資格にメリットがあります。会社員を退職した後、会社の看板を外した時にも国家資格者であるステータスにより取引先から信用を得ることができます。

また、中小企業診断士資格があれば、公的機関からの仕事を受注しやすく、診断士協会のネットワークや他の士業との協業により、豊かな人脈を形成することができます。


令和5年度中小企業診断士1次試験統計資料一部抜粋

上記の元資料は、こちらになります。


中小企業診断士1次試験合格後、2次試験と口述試験を受験します。


過年度の中小企業診断士試験申込者と合格率の推移データはこちらです。

2次試験と口述試験(面接)に合格すれば、所定の実務に従事すること、または登録実務補修機関による実務補習を受講することで、経済産業大臣に中小企業診断士として登録を受けることができます。登録の有効期間は、5年間です。以後、5年ごとに登録を更新します。


経営者の良き伴走者として活躍する

中小企業診断士の仕事

中小企業診断士は、経営に関するコンサルティングや専門知識の情報発信、書籍出版、セミナー講師などの活動をしたい人に向いている職業です  。税理士や社労士のような事務手続きに関する独占業務はありません。主な仕事内容としては、以下のようなものがあげられます。

  • 経営コンサルティング(顧問契約)

  • 経営改善計画書・補助金申請

  • セミナー講師

  • 専門知識の情報発信・書籍出版

もちろん、上記のような仕事を行うのに登録免許は特に必要ありません。ですので、中小企業診断士以外でも、同様の仕事をしている人が大勢います。ただ、中小企業診断士の資格を持つことで、経営者からの信頼性が高まりますし、幅広い経営知識を手に入れることにより、キャリアの幅が広がるというメリットがあります 。

また、独立開業以外にも企業内診断士として活躍する人が多く、資格取得後は昇進や資格手当により年収アップにつながることがあります。副業が認められる会社であれば、休日に診断士として活動する人もいます。


日本企業99%を占める中小企業の活性化が未来を創る



中小企業診断士は、中小企業の成長を支援するために、経営課題に関する診断や助言を行う専門家です。日本企業の約99%が中小企業であるため、中小企業の活性化が日本経済の景気を左右するといっても過言ではありません。

中小企業が抱えている主な課題は、①売上拡大、②資金繰り、③人手不足の3つです。これらの課題を解決するには、経営者に寄り添いながら、伴走支援する身近なコンサルタントが求められています。

さらにいま、経営者の高齢化により後継者不足が深刻な問題となっています。今後は、事業再編やM&Aがより活発になってくることが予想されます。

使命感を持って地域経済の発展に貢献できる中小企業診断士は、やりがいのある魅力的な仕事であるといえるでしょう。


経営者と信頼関係を構築する

中小企業診断士の年収

ところで、「中小企業診断士」をキーワード検索すると、「食えない資格」とでてくることがあります。しかし、心配には及びません。

要するに中小企業診断士は、弁護士や税理士など他の士業の国家資格と同様に、「資格を持っているだけでは、自動的に仕事が降りてくることはない」というだけなのです。当然ながら、独立開業して仕事を受注するためには、それなりの営業活動が必要になります。だから、営業活動ができない士業は、生計を立てることができないのは当たり前のことなのです。

では、中小企業診断士の年収は、どのくらいの水準なのでしょうか。以下、中小企業診断士協会公表のデータに基づいて解説します。

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