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2種類の「エモい」

最近、本当によく聞くようになった
「エモい」

テレビでも、雑誌でも、ネットでも。
メイクにも「エモい顔特集」なんていうものまで出ていて”エモい”はこんなにも万能だったのかとびっくりした。

昨日あった、ELLE GARDENの配信ライブ。
我が家の50インチテレビで、部屋を真っ暗にして観覧していました。

私は今年で31歳。
元・ライブキッズと呼ばれる人間だと思う。
ELLE GARDENとの出会いは16歳。
なんとなーく邦楽ロックというものを聞き始めていて、学校帰りにふらりと立ち寄った新星堂水戸店で「RIOT ON THE GRILL 」のCDをジャケ買い(死語かもしれない!)したのが出会い。
1曲目の”Red hot "に脳天を撃ち抜かれ、そこからライブハウスの世界へ。 

ロッキングオンジャパン、音楽と人、MUSICAとかいろいろな雑誌を買い集め、フェスや水戸ライトハウスに通いつめ、ダイブ、モッシュを覚え、ダイバーのかかとが額にヒットして、失神しかけたこともあった。
セーラー服から、ディッキーズのハーフパンツにライブTシャツに着替えて汗だくになって終電で帰る。それが私の青春だった。

その時に覚えた単語があった。
「エモい」

「エモい」とは?

エモいは、英語の「emotional(エモーショナル)」を由来とした、「感情が動かされた状態」「感情が高まって強く訴えかける心の動き」などを意味する日本のスラング(俗語)、および若者言葉である。
元々は音楽のジャンルの一つである「イーモウ(Emo)」からきており、メロディアスで哀愁的な音楽性と切ない心情を吐露する歌詞が特徴的なロックミュージックを指す[3]。音楽シーンでは1980年代から使われていた。パンクロックの一種である「エモーショナル・ハードコア」の略称であるとも言われる。エモーショナル・ハードコアは、メロディアスな音楽に感情的な歌詞をのせたロックミュージックで、ここから派生して激情的・感動的な音楽を「エモい」と表現している。
(Wikipediaより抜粋)

調べてみると2007年ごろから「エモい」という表現は存在していたそうで私が友人同士と「エモい」を連呼していたのもちょうどそのころなのだ。

ここでELLE GARDENの話にもどる。
私が人生で一番「エモい」と思ったのはELLE GARDENの”Space Sonic”。

私にとってこのときの細美武士という人間は、一言でいうとヒーローだった。かっこよかった。宗教的に好きだったかもしれない。
彼が言うことなすことはとても素敵だったし、ギターが弾ける彼氏がほしいなーなんて思ったのも彼の影響だった。
とにかく、17歳の私にとって、細美武士という人間はとてもキラキラと輝いていた。

そんなときにリリースされた、”Space Sonic”という曲。
一部引用、和訳です。
MVはこちら。
https://youtu.be/3d5gq3auYi8

Don't even ask why I'm standing here
(ここに立ってる理由すら聞かないでくれ)
I found a piece of me It is still left in you
(僕のかけらはまだ君が持っている)
It's very cheap but cute emotion
(それは安っぽいけど素敵な感動さ)
I wish you were here
(君がここにいたら、なんて願ってみた)

'Cause I found the way to live with that
(生きる根拠を見つけたから)
I'm not going anywhere
(僕はどこにもいかないよ。)
I thought you'd only make me weak
(君は僕を弱くすると思ってた)
That's wrong
(でもそれは違ったよ)
I knew it all and you knew it all
(君も僕も全て分かっていた)
that it's never gonna work
(全然意味がないんだ)
To wait for someone
who could stop this rain
(誰かがこの雨を止めるのを待ってても)
It just rains
(止みやしないのだから)

人気絶頂、チケットは入手困難、だれもが憧れるヒーローがこんな曲を新曲でリリースした。衝撃だった。初めて曲を聞いて、歌詞を読んで、動悸が止まらなかったのを覚えている。
この時期のインタビューか、ラジオの放送で精神的にいっぱいいっぱいだった話を聞いていた。それが曲となって出来上がったのがこの曲。
ここから紆余曲折あり、彼らは10年間の休止時期に突入していくのであった。

この曲を聞いて、私は人生で初めて「エモい体験」をした。
こんなにも感情的で、悲哀的で、でもどこかで確信のない希望にすがりつきたいような曲は初めてだった。ああ、これが「エモい」のかと思った。

2020年現在の「エモい」には、ノスタルジーや自分が喜びで感動したりする表現が多いきがする。感情の表現に対してとても汎用性が高い。
表現の方法がおおざっぱになってしまう可能性もあるけれど、感動を共感できる言語としてカジュアルで良いと思う。
ただ、私の思う「エモい」とはちょっと違う。

私の思う「エモい」は、ネガティブで、ディープで、混沌としたものを指す言語だと思っている。きっと、これからもそう思うかな。

今回記事にしたのは、時間の経過とともに同じ単語はこうも意味を変えて生きるのかというのを体験して驚いたのと、
10年間の休止時期を経て、ELLE GARDENはさらにエモいバンドになったということが言いたかったのです。

このコロナ禍で、ライブハウスもいつ再開できるのか、まだまだ見通しは立っていないけれど、早く彼らと再開したいと切に願う今日この頃です。


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