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PastelとPastelaria: 伯葡語話者と欧州葡語話者の認識の違い

ブラジル人にとって「pastel」とは、小麦粉の薄い生地にひき肉やチーズなどを挟んで揚げ餃子風の軽食・おやつのことで、青空市場にはこれの屋台(banca [バンカ]) が必ずありますし、これ専門の店舗(pastelaria [パステラリーア])も多くあります。

一方、欧州葡語圏の人々にとって「pastel」とは、スイーツをメインとしたパイ系の軽食・おやつの総称で、とりわけポルトガルのあの有名な「エッグタルト」(「pastel de natas [パシテル ドゥ ナッタシ]」、または「pastel de Belém【パシテル ドゥ ベレン】」)を思い浮かべる人が多いようです。

結果、「pastelaria (パシテラリーア)」と聞いてイメージするものもブラジル人とは全く異なり、ケーキや、コロッケ風のものなども売っている、おしゃれなパン屋さんのイメージとなります。

このような違いを思い知らせてくれる便利なツールが画像検索です。

「pasteis br」とググると、次のような結果が得られます。
(※ 複数にしているのは「パステルカラー」との混同を回避するためです。)

これが、「pasteis pt」だと、こうなります。

同様に、「pastelaria br」では、

「pastelaria pt」では、当然こうなります。

ブラジルでは「パン屋さん」のことを「padaria (パダリーア)」と言うので、「padaria br」と検索すれば、ポルトガルの「pastelaria」に近い結果が得られます。

「padaria」は欧州葡語でも「パン屋」なので、「padaria pt」の検索結果はこうなります。

更に、近年、ブラジルの不景気と治安の悪化により多くのブラジル人がポルトガルに移住している影響もあり、ポルトガルの文化に親しむブラジル人も増えつつあります。その結果、ポルトガル流pastelariaもサンパウロを中心に「padaria portuguesa (パダリーア・ポルトゥゲーザ)として数多く展開しており、かの「エッグタルト」も「pastel de natas [パステウ ジナッタス])として、ちょっとしたブームになっていたりもします。

ところでこの「pastel de natas」の「natas」は「クリーム」という意味なのですが、ブラジル人は「クリーム」のことは「creme (クレーミ)」と言い、「nata」は純粋に牛乳の脂肪分を意味し、牛乳を温めた時にできる膜のイメージなので、これまた言語間のギャップがあるので注意しましょう。

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いずれにせよ、このような両ポルトガル語間の言語や文化の違いをチェックする際、上で紹介した「pt」や「br」を用いた検索方法は相当効果的ですので、もしこれまでこのようにしてこなかった方がいらっしゃるようでしたら是非トライしてみて下さいね。

お読み頂き、ありがとうございました!


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