ゆく秋に、コーヒードリップの音

深まる秋の早朝、静かな台所で、珈琲をペーパードリップで淹れます。
やや深炒りの豆(粉)を粗挽きにしてドリッパーに入れ、お湯を注ぐときの第一投は、ゆっくりとほんの少しの量、表面が潤うほどに。

鮮度の良い豆なら、粉の表面が膨らみます。 その瞬間を逃す手はありません。

この蒸らしの、ふっくら音。
これが聴きたくて、耳を粉に近づけます。

「ふつふつ、ぷつぷつ、
くすくす、ぐすぐす」             膨らむ、膨らむ…。

晩秋の静けさと珈琲のかおり、
そしてこの音があれば、
こころ温ったか、至福の時間。
「いざ、今日も!」

「ゆく秋の朝コーヒードリップの香と音」弥七

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