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Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー

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ルームメイトとチームメイト。 アナタならどちらの恋を選ぶ? 社会人7年目。忙しくも満たされない日々を過ごしていたアミ。今年の仕事始めも週末を迎え、いつものようにホソクの店でビー… もっと読む
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記事一覧

固定された記事

Beside|Ep.1 ハンカチ

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー 何か気にも留めないことが、思いもよらない結果となる。 そんなことが私に起こるなんて、この時はまだ何も知らなかったよ。 きみに出会うまではー chap.1 「というわけで、次週までに各自の意見まとめて、次の方向性決めたいと思います」 ここはBT.Co。年初の定例会議で知らされる、年間経営目標。突如現実に引き戻される次回までの目標達成計画。忙しくて退屈で、少しの期待と抜けない疲労、そんないつもと変わらない新年が、今年

Beside | Ep.17 おうちにかえろう

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー 本当に大変な時、家族以外はそばにいる事もできなかった。 ただのルームメイトじゃ、ダメなのかな。 chap.1 「アー、皆さんお揃いで…どうもゴキゲンヨウ…」 これは一体何の罰ゲームなんだろうか。白いベットの上で、おそらく青白い顔したひどい状態の自分を、関係者一同に見下ろされている構図とは。とにかく今すぐ一人分の穴を用意してもらえると嬉しいんです。ええ、はい、隠れるためです。この抗菌薬と痛み止め入りの点滴の次におそら

Beside | Ep.16 Home-Sweet-Home

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー 思いとは裏腹に、家はまた遠くなる chap.1 救急車が到着する。慌てる僕にゆっくりと話しかける救急隊員は冷静で悟りを開いたような表情をしていて有難い。一通りのバイタルチェック、アミちゃんが倒れた時の様子などをヒアリングされているうちに、急患受け入れ先病院への問い合わせが始まっていた。ストレッチャーに横たわるアミちゃんは顔面蒼白で浅い息だ。僕は立ち尽くすしかできない。隊員が耳元で名前を呼び続けている。 「ご家族の方

Beside|Ep.15 甘すぎる代償

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー シンガポール編 #5 ラスボスにとどめを刺す時が来た。 ついにシンガポール編完結 chap.1 知らない場所で目を覚ます。 布団が暖かい。 そうだ、わたしはまだ、シンガポールにいて、今日はたしか4日目の…あさ? —っ?! 横で一緒に寝ている誰かが、誰なのかを思い出して、一気にプレイバックが始まった。超高速で記憶が巻き戻っていく。できれば忘れていたいシーンが、少しも欠落しないまま、まだ冷めぬ熱量を持って自動再生

Beside|Ep.14 苦くて甘い夜

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー シンガポール編 #4 溶けていく 君の甘い声とシンガポールの夜に chap.1 新着メッセージ:2件 ー台湾に着いたよ!ついに最後のステージ! ーていうか僕の登場シーン少なすぎてヌナに忘れられてないか心配… ホテルの部屋に戻り、メッセージを確認する。1週間ほど先行して出発していたジミンのアジア公演も無事終盤に差し掛かっているようだ。ちょこちょこ届く便りを見る限り順調そうだった。それに比べて、こちらは予想外な事

Beside|Ep.13 スコール

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー シンガポール編 #3 あれほど戻りたかった日常は 私にとってもはや何の価値もないものだった chap.1 —研修3日目: シンガポール現地視察 シンガポールは古くから、陸のアジアと海のアジアをつなぐ貿易拠点だ。その昔は無関税の自由貿易港だったことからも、独立から50年、アジアの物流および金融の中心地として目覚ましく発展してしてきた。1990年代以降は官民を挙げてIT分野に注力し、アジア諸外国の中でも有数のR&D拠

Beside | Ep.12 カウントダウン

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー シンガポール編 #2 きみの熱くて切ない眼差し。 聞こえるカウントダウン。 chap.1 BT.Coアジアカンファレンスが始まった。 今年は例年行っていた各エリア毎のジュニア向け集合研修と、マネージャー及びリーダー向けの意見交換会を、規模をアジア全体に広げ同日程で行う2部構成である。テヒョンとジョングクが参加する研修は、最終日の課題発表会を含めて4日間で行われる。座学や支社横断で振り分けられたグループでのワークショ

Beside | Ep.11 ポーカーフェイス

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー シンガポール編 #1 「ポーカーフェイスは、もうやめたんだ」 それぞれの思いを加速させながら、シンガポールの夜は更けていく chap.1 いよいよ出発当日。今回は人道的な午前中のフライトを会社が手配してくれたので、4人で揃って現地に出発することができる。NRT (ジャパン,成田空港)AM10:00発、SIN(シンガポール,チャンギ空港)PM4:30着。結構長い間空を飛んでいる割には、時差がほぼないのが良いところだ。

Beside | Ep.10 someday not today

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー それは今日じゃないいつかのままで。たくさんのイッテキマスに愛を込めて。 chap.1 荷造りといっても、僕はそんなに持っていくものないしな。 ジミンの旅支度は比較的すぐに終わった。2週間のアジアツアー。明日からいよいよ修行の旅に出る。 「ヌナー?準備終わったからアイス買ってくるけど食べる?」 声をかけたけど、ヌナの姿が見えない。 こんな時は、きっとあそこにいるんだろう。 ーあぁ、またそんな顔しちゃって 案の

Beside | Ep.9 戦闘準備

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー 戦闘準備を開始せよ。それぞれの明日のために。 chap.1 結局降りそうで降らなかった雪。翌朝日曜は打って変わって快晴だった。2月が過ぎていった記憶はさっぱりないが、どうやらカレンダーは3月の準備をし始めているようだ。年々時間が過ぎるスピードが早くなっている。時間が《《過ぎている》》と言うこと自体も怪しい。マジメな話、タイムスリップしてるんじゃないかと疑う朝も数回ある。 ー天気いいから…会社いこかな 典型的なワ

Beside|Ep.8 迷子が家に帰るには

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー 来た道を戻ればいいのに、怖くて戻れない。 だからって前にも進めない。 そうやってどこにもいけなくなった迷子は、どうやって家に帰るんだっけ。 chap.1 Saturday, AM9:00 先日、紆余曲折あって正式に参加が決まった公演は、すでに振り写しも完了し、本格的なリハーサル工程に移っていた。あと3週間程度こちらで練習とリハーサルを重ね、いよいよアジアを巡回して公演をこなしていくことになる。ずっと参加してみたかっ

Beside|Ep.7 どうしようもないきのう

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー 最悪な金曜日の延長線上、気だるい朝、ひとりぼっちの夜 みんなはどんな週末でした? chap.1 Saturday, AM10:00 「あーだるい…」 むくんだ指でスマホを探す。朝?あぁ、もう昼か。大丈夫今日は土曜日のはずだ。昨夜の記憶は曖昧だが、どうやら家には無事に帰ってきていたらしい。伸ばした手が寒くて、またすぐに布団に避難させる。妙に窮屈だと思ったら、ブラウスにスーツパンツのまま着替えずに寝たようだ。頭も体も酷

Beside|Ep.6 チャンス

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー チャンスは掴まないといけない。 わかっていても、できないこともあるだろう? それが大切な物なら尚更に。 chap.1 「あらら…アミちゃん今日はやけに荒れてるね…その覇気が可愛いけど…えっと、大丈夫?」 「ホバ、ビール、おかわり…」 「はいはい、またユンギヒョンとでもケンカしたのかな?うん?ノーコメントね。ハイハイ飲み過ぎ注意だぞ」 半ばゾンビみたいなアミちゃんが店に現れてから、何杯目かのビールを注いでいるとスマ

Beside|Ep.5 消えないウワサ

Beside-あなたと私のためのベットサイドストーリー 最悪の日はくる、いつだって、最悪のタイミングで 人の不幸は蜜の味 chap.1 「社内カンファレンス...アジア支社合同でですか」 「はい、例年エリア単位でやっていた研修も同時に、規模を拡大して実施するそうです。ユンギヒョンのグループからアサインをお願いします。」 例年近隣のエリア同士で実施していた合同研修と、マネージャー層向けのカンファレンスを、今年はアジア合同に規模を広げて同時期に実施するらしい。カンファレン