スローニュース【公式】調査報道やノンフィクションを支援します

日々の出来事を追いかけるのではなく、時間をかけた調査報道やノンフィクションを通して複雑な世界をゆっくりと咀嚼して理解する、それがSlowNewsという考え方です。現在、新たなサービス展開に向けて開発を進めています。

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    オープンデータは誰でも使える!「ベリングキャット」に見る活用術

    ことしのニュース界隈のトレンドワードの1つは「OSINT(Open Source Intelligence)」でしたよね。公表されているデータを利用することで、何が起きていたのかを白日の下にさらすテクニック。かつて「報道」とは訓練されたジャーナリストだけがなし得る専売特許のようなものでしたが、OSINTは誰でもそれができる可能性を開きました。 象徴的な存在が、今や世界がその名を知る調査集団「ベリングキャット」。報道とは無縁の人たちも巻き込んで、ともにオープンソースからガンガ

      • 悲劇の科学者 ラエ・リン・バーク 後編

        取材・執筆:下山進  リサ・マッコンローグは、ラエ・リンの口からその病気のことを告げられた。  ラエ・リンは、まず職場の上長にそのことを報告している。  すると上長は、「残念だが退職してほしい」。だが、すぐにではない。ラエ・リンが申請してすでに支給されていた研究費のプロジェクトが続いている間は、在職してほしい。しかし、研究所の中では、病気のことを言ってはいけない。そう言われた。  ラエ・リンがアルツハイマー病だとわかると、グラントの支給が打ち切られることもありうるとい

        • 悲劇の科学者 ラエ・リン・バーク 前編

          取材・執筆:下山進  財前五郎は、「癌の専門医が自分の病状の真実を知らないでいるのはあまりにも酷だ」と内科医里見脩二に訴え、その病名を知る。ラエ・リン・バークの場合、最初に気がついたのは彼女自身だった。  科学者であるラエ・リンは通勤のドライブの最中いつも簡単な数学の問題を頭の中で解くことを趣味としていた。ハンドルを握りながら、簡単な掛け算をくりかえす。そうすると心が落ち着いてくる。  ところが、その日はごく簡単な計算ができないのだった。勤め先のSRIインターナショナル

          • 逃亡者を捜し出すテクニック、過程を全て公開します

            追跡のヒントは友達のインスタ2021年、ベリングキャットの調査員は、Instagramアカウントを作り、ルンドの親しい友人でサンディエゴに住む20歳のグレイディ・メイフィールドをフォローした。 2022年4月にベリングキャットと人権団体「南部貧困法律センター(SPLC)」が共同でメイフィールドの移動記録や活動を調査してから(ちなみに彼は2021年にアメリカ海兵隊の新兵訓練に参加したものの、追放されている)、メイフィールドのInstagramアカウントは非公開になった。しかし

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          • ハザードランプを探して
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          • 調査報道大賞 受賞者のことば
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          • 不思議な裁判官人事
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          • 下山進の作品
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            潜伏中の極右主義者、ネット追跡で居場所を特定してみた

            “こんな写真から居場所を特定するのは無理だろう”自分がアメリカの極右主義者ロバート・ルンドになったと想像してみよう。居場所は誰にも知られたくない。とりわけ警察や、ベリングキャットのうっとうしい調査員には。 ルンドは暴動および共謀罪で起訴されていて、来春ロサンゼルスで始まる裁判で有罪判決が出れば、最長で10年の懲役を科される可能性がある。今はヨーロッパのどこかに潜伏しているところだ。 でも、自分が手がける極右ファッションブランドを宣伝したいし、タフガイのイメージも広めたい。

            強烈な暴力の気配を漂わせる男が「これを持て」その写真を撮られた私は、禁錮10年の有罪にされた

            あれ?「思ったより静か」その裏で……7月14日に、タイ経由の飛行機でミャンマーに入国しました。私にとっては3年ぶりのミャンマー渡航で、クーデター以降では初めて。観光ビザを使いました。 目的はヤンゴンで慈善活動などを精力的に行っているある人物についてのドキュメンタリーを制作すること。彼と私は4年以上の付き合いがある友人です。他の多くの友人たちが国外に逃れざるを得なくなった中、彼がなぜ残るのか、その理由を知り、伝えたい。彼の姿を通じて、今もミャンマーで生きている人々の窮状や現実

            アメリカ軍は何を隠したのか 原爆初動調査の真実【第2章】

            第2章 研究対象の地区で明らかになった「異常値」「西山地区」で何が起きていたのか博多からJRの特急「かもめ」に揺られること2時間。長崎の駅前はいま、来年の新幹線開業を控え、空前の再開発ラッシュに沸いている。新しい駅舎、外資系のホテル…新たなビル建設の工事の槌音も聞こえてくる。 そんな中心部の喧噪をよそに、私たちは西山地区を目指した。市民から「おすわさん」と親しまれる諏訪神社を超えてさらに北へ。15分も車を走らせると、すっかり都会の風景は様変わりし、豊かな緑が眼前に広がってく

            アメリカ軍は何を隠したのか 原爆初動調査の真実【序章】

            序章 残された「原爆の謎」きっかけは極秘とされていた「報告書」の入手 広島・長崎への原爆投下から76年。未だに解明されていない『原爆の謎』がいくつも残されていることをご存じだろうか。 「残留放射線は、どう影響したのか」 「低線量被ばくの人体への影響は」 「被爆2世への影響はあったのか」 「行方不明となっている、原爆投下2日後に撮影されたニュース映像はどこへ」 いずれも、人類が核を戦争に用いてしまった惨禍の記憶とともに、何としてでも検証のために残すべき記録だったはず

            【接触】ロシアの極秘チームのメンバーとは何者なのか

            遠隔操作で殺人をしたのは誰なのかGVCで働いている軍事エンジニアたちのバックグラウンドは多様だ。卒業後すぐ陸軍もしくは海軍で働きはじめ、後に軍事エンジニアリングの専門教育を受けた者もいれば、ITやコンピューター科学系の民間企業に勤めていてリクルートされた者もいる。 GVCでミサイルの飛翔経路プラニングを担当するチームの直接的な指揮官は、イゴール・バグニューク中佐と思われる。これはロシアの闇市場で入手した、バグニューク自身のものも含む11名のエンジニアたちの電話データの分析に

            【解明】知られざるロシアの組織GVCとミサイル攻撃の関係とは

            GVCとは何かロシア連邦軍の主要計算センターと、巡航ミサイルのプログラミングを結びつける公式の情報はない。 GVCの機能について、軍事関連の刊行物にはロシア軍に「ITサービス」「自動化」を提供する、という漠然とした説明しかない。歴史は古いが(ロシア連邦軍傘下のテレビ局ズヴェズダによると1963年に設立された)、現代ロシアのメディアにおいてこの部署に言及した報道はほとんどない。 珍しい例としては、2018年に軍音楽団のメンバーに授与された賞が、「ロシア連邦軍主要計算センター

            【追跡】ウクライナへのミサイル攻撃を遠隔操作していたのは誰か

            ロシアの攻撃は民間施設を破壊10月10日の早朝、ロシアはウクライナの複数の主要都市に激しいミサイル攻撃を行なった。ウクライナ非常事態省によると、少なくとも20人が死亡、100人超が負傷した。 わが国の巡航ミサイルは高精度だと豪語するロシア。10日の攻撃はウクライナの軍事施設・司令部および電力系統を標的にしたと主張した。 しかし、オープンソースから得られる証拠を見ると、複数のミサイルが民間施設に撃ち込まれ、住宅や幼稚園、児童公園を破壊したとわかる。 ロシアにとって侵攻開始

            データを伝える技術 第8回(最終回) データ可視化と報道・社会

            執筆:荻原 和樹 これまで長らくお付き合いいただきましたが、今回が最終回です。データ可視化の歴史や報道との関わり、社会的な意義などを解説します。 データ可視化の歴史的な傑作現代の私たちが目にする「データ可視化」といえば、大半が棒グラフ、折れ線グラフといった「グラフ」です。しかし実はデータ可視化の歴史において、単独のグラフによるシンプルな可視化は比較的新しいものです。歴史的に見ると、複数のグラフを一度に見せたり、地図と組み合わせるなど、技巧的な工夫を凝らした作品が数多く生ま

            データを伝える技術 第7回 データ可視化を学ぶ意義

            執筆:荻原 和樹 ここまでの連載では、データ可視化の実務やコツについて解説してきました。今回は、そもそも私たちがなぜデータ可視化を学ぶのか、について私が考えていることをお伝えします。 人はデータを「読む」ことができない「データを読む」「データの読解力」といった表現は日常的に使われます。しかし、本当に私たちは数字で表されるデータをそのまま「読んで」いるのでしょうか? 試しに、以下のデータを数字のままで読んでみてください。 これらの数字を読んで、データの概要や傾向、何を表

            データを伝える技術 第6回 データを見せる 後編

            執筆:荻原 和樹 「シンプルなデザイン」の罠 データ可視化を作る際にはシンプルなデザインがよい、とする方は少なくありません。私自身も部屋のインテリアやファッションはシンプルが好みなので気持ちはよくわかりますが、データ可視化において「シンプルなデザイン」はかなり難易度が高いのが現実です。 シンプルなデザインを採用する最大のリスクは、シンプルを通り越して「手抜き」「殺風景」という印象を与えてしまうことです。そもそもデータは無味乾燥なイメージを持たれやすく、何も考えずシンプル

            データを伝える技術 第5回 データを見せる 中編

            執筆:荻原 和樹 インタラクションを活用する ウェブサイトやスマートフォンアプリにおいて、「ボタンを押す」「画面をスクロールする」「地図を拡大する」といった動作に応じて画面が変化することを「インタラクション」と呼びます。 インタラクションはデータ可視化の使い勝手やわかりやすさを大きく向上させます。あなたが紙やプレゼンテーションではなくPCやスマートフォン上でデータ可視化を作ろうとしているなら、インタラクションを活用しない手はありません。 インタラクションを使う最大のメ

            データを伝える技術 第4回 データを見せる 前編

            執筆:荻原 和樹 データの「軸」を考える データの見せ方を考えるとき、最初に悩むのは「軸」の設定です。ここでいう「軸」とは、データの構造を考えた時にひとつの数字を分類できる「次元」を指します。 たとえばアパレル店の売り上げデータについて考えてみます。会社やシステムによってデータの持ち方は様々でしょうが、おそらく最小単位は「1人の顧客が1つの商品を買った時の売り上げ」でしょう。この場合の軸は「いつ買ったのか」「どこで買ったのか」「どのアイテムと一緒に買ったのか」「顧客の属