スローニュース【公式】調査報道やノンフィクションを支援します

日々の出来事を追いかけるのではなく、時間をかけた調査報道やノンフィクションを通して複雑な世界をゆっくりと咀嚼して理解する、それがSlowNewsという考え方です。現在、新たなサービス展開に向けて開発を進めています。

スローニュース【公式】調査報道やノンフィクションを支援します

日々の出来事を追いかけるのではなく、時間をかけた調査報道やノンフィクションを通して複雑な世界をゆっくりと咀嚼して理解する、それがSlowNewsという考え方です。現在、新たなサービス展開に向けて開発を進めています。

    マガジン

    最近の記事

    「あなたを決して死なせたくない」必読の記事、必見の番組をまとめました

    消えた命、生まれた命岩手県釜石市の中心街を襲って甚大な被害をもたらした津波。その「38分間」を撮り続けたNHKの通信員がいました。トクさんこと、徳田憲亮さんです。その後も「あの津波を見てしまった者として、復興を見届ける」と被災地で取材を続けていました。 そのトクさんが去年10月、突然の胃の痛みを訴えはじめ……決して「NHKの内輪話」ではありません。記者たちが何を思って被災地を見つめているのか、多くの人に読んでほしい記事です。 自宅の2階に上がり、何とか津波から逃れた女性。

      • オープンデータが導いた画期的判決 “常識”を覆した大川小裁判とは

        一審ではとにかく「負けることが許されない」齋藤弁護士 だいたい国賠訴訟の裁判官の判断というのは、「現場過失一本主義」というんだそうですけど、とにかく現場でそこにいた公務員の過失が認められれば判決が書けるから、それ以外のところはいらんということなんですね。 一審の裁判官は、すでに自動車学校の事件の判決(注:宮城県山元町の自動車学校で津波で亡くなった従業員や教習生の遺族が学校側を訴えた裁判)で学校の責任を認めて、まさしく現場過失一本主義の典型的な判決理由を書いている。そういう裁

        • 74人の子どもの命が奪われた場所、そこに来なければできないことがある~小3の娘を失った父親が「終わりではない」と語る理由とは

          大川小に来なければできないこと大川小学校の校庭でぼーっと立っている人に冊子を渡してお声をかけると、元教員なんです、現役教師なんですというがたくさんいて。どうして来たんですかと聞くと、8、9割の人が同じ答えをします。 「自分だったらこの校庭で、あの日の状況を思い浮かべながら、何ができるかを確かめに来ました。自問自答をしに来ました」と。 それをするべきなんじゃないかなと思います。 もちろん子どもたちを守らなきゃならない教育関係者もそうでしょうけど、子どもたちに自分の命をどう守

          • 良質な情報をゆっくりと楽しむための『ニュースのプレイリスト』をお送りします

            メールマガジン『SlowNews Letter』をはじめました。 このメールマガジンは、タイムラインにあふれるニュースの中からすぐれた調査報道や埋もれている良質な情報を週1回紹介する無料のニュースレターです。 ファストフードのようにニュースを消費するのではなく、ゆっくりと咀嚼して思考を深めるヒントがほしい。そんな方のために、取材と分析に時間をかけた信頼できる情報だけを、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸がおすすめしています。 調査報道だけではなく、ときにはニュースの背景、

          マガジン

          マガジンをすべて見る すべて見る
          • Bellingcatの記事
            スローニュース【公式】調査報道やノンフィクションを支援します
          • ハザードランプを探して
            スローニュース【公式】調査報道やノンフィクションを支援します
          • 調査報道大賞 受賞者のことば
            スローニュース【公式】調査報道やノンフィクションを支援します
          • 不思議な裁判官人事
            スローニュース【公式】調査報道やノンフィクションを支援します
          • 下山進の作品
            スローニュース【公式】調査報道やノンフィクションを支援します

          記事

          記事をすべて見る すべて見る

            オープンデータは誰でも使える!「ベリングキャット」に見る活用術

            ことしのニュース界隈のトレンドワードの1つは「OSINT(Open Source Intelligence)」でしたよね。公表されているデータを利用することで、何が起きていたのかを白日の下にさらすテクニック。かつて「報道」とは訓練されたジャーナリストだけがなし得る専売特許のようなものでしたが、OSINTは誰でもそれができる可能性を開きました。 象徴的な存在が、今や世界がその名を知る調査集団「ベリングキャット」。報道とは無縁の人たちも巻き込んで、ともにオープンソースからガンガ

            悲劇の科学者 ラエ・リン・バーク 後編

            取材・執筆:下山進  リサ・マッコンローグは、ラエ・リンの口からその病気のことを告げられた。  ラエ・リンは、まず職場の上長にそのことを報告している。  すると上長は、「残念だが退職してほしい」。だが、すぐにではない。ラエ・リンが申請してすでに支給されていた研究費のプロジェクトが続いている間は、在職してほしい。しかし、研究所の中では、病気のことを言ってはいけない。そう言われた。  ラエ・リンがアルツハイマー病だとわかると、グラントの支給が打ち切られることもありうるとい

            悲劇の科学者 ラエ・リン・バーク 前編

            取材・執筆:下山進  財前五郎は、「癌の専門医が自分の病状の真実を知らないでいるのはあまりにも酷だ」と内科医里見脩二に訴え、その病名を知る。ラエ・リン・バークの場合、最初に気がついたのは彼女自身だった。  科学者であるラエ・リンは通勤のドライブの最中いつも簡単な数学の問題を頭の中で解くことを趣味としていた。ハンドルを握りながら、簡単な掛け算をくりかえす。そうすると心が落ち着いてくる。  ところが、その日はごく簡単な計算ができないのだった。勤め先のSRIインターナショナル

            逃亡者を捜し出すテクニック、過程を全て公開します

            追跡のヒントは友達のインスタ2021年、ベリングキャットの調査員は、Instagramアカウントを作り、ルンドの親しい友人でサンディエゴに住む20歳のグレイディ・メイフィールドをフォローした。 2022年4月にベリングキャットと人権団体「南部貧困法律センター(SPLC)」が共同でメイフィールドの移動記録や活動を調査してから(ちなみに彼は2021年にアメリカ海兵隊の新兵訓練に参加したものの、追放されている)、メイフィールドのInstagramアカウントは非公開になった。しかし

            潜伏中の極右主義者、ネット追跡で居場所を特定してみた

            “こんな写真から居場所を特定するのは無理だろう”自分がアメリカの極右主義者ロバート・ルンドになったと想像してみよう。居場所は誰にも知られたくない。とりわけ警察や、ベリングキャットのうっとうしい調査員には。 ルンドは暴動および共謀罪で起訴されていて、来春ロサンゼルスで始まる裁判で有罪判決が出れば、最長で10年の懲役を科される可能性がある。今はヨーロッパのどこかに潜伏しているところだ。 でも、自分が手がける極右ファッションブランドを宣伝したいし、タフガイのイメージも広めたい。

            強烈な暴力の気配を漂わせる男が「これを持て」その写真を撮られた私は、禁錮10年の有罪にされた

            あれ?「思ったより静か」その裏で……7月14日に、タイ経由の飛行機でミャンマーに入国しました。私にとっては3年ぶりのミャンマー渡航で、クーデター以降では初めて。観光ビザを使いました。 目的はヤンゴンで慈善活動などを精力的に行っているある人物についてのドキュメンタリーを制作すること。彼と私は4年以上の付き合いがある友人です。他の多くの友人たちが国外に逃れざるを得なくなった中、彼がなぜ残るのか、その理由を知り、伝えたい。彼の姿を通じて、今もミャンマーで生きている人々の窮状や現実

            アメリカ軍は何を隠したのか 原爆初動調査の真実【第2章】

            第2章 研究対象の地区で明らかになった「異常値」「西山地区」で何が起きていたのか博多からJRの特急「かもめ」に揺られること2時間。長崎の駅前はいま、来年の新幹線開業を控え、空前の再開発ラッシュに沸いている。新しい駅舎、外資系のホテル…新たなビル建設の工事の槌音も聞こえてくる。 そんな中心部の喧噪をよそに、私たちは西山地区を目指した。市民から「おすわさん」と親しまれる諏訪神社を超えてさらに北へ。15分も車を走らせると、すっかり都会の風景は様変わりし、豊かな緑が眼前に広がってく

            アメリカ軍は何を隠したのか 原爆初動調査の真実【序章】

            序章 残された「原爆の謎」きっかけは極秘とされていた「報告書」の入手 広島・長崎への原爆投下から76年。未だに解明されていない『原爆の謎』がいくつも残されていることをご存じだろうか。 「残留放射線は、どう影響したのか」 「低線量被ばくの人体への影響は」 「被爆2世への影響はあったのか」 「行方不明となっている、原爆投下2日後に撮影されたニュース映像はどこへ」 いずれも、人類が核を戦争に用いてしまった惨禍の記憶とともに、何としてでも検証のために残すべき記録だったはず

            【接触】ロシアの極秘チームのメンバーとは何者なのか

            遠隔操作で殺人をしたのは誰なのかGVCで働いている軍事エンジニアたちのバックグラウンドは多様だ。卒業後すぐ陸軍もしくは海軍で働きはじめ、後に軍事エンジニアリングの専門教育を受けた者もいれば、ITやコンピューター科学系の民間企業に勤めていてリクルートされた者もいる。 GVCでミサイルの飛翔経路プラニングを担当するチームの直接的な指揮官は、イゴール・バグニューク中佐と思われる。これはロシアの闇市場で入手した、バグニューク自身のものも含む11名のエンジニアたちの電話データの分析に

            【解明】知られざるロシアの組織GVCとミサイル攻撃の関係とは

            GVCとは何かロシア連邦軍の主要計算センターと、巡航ミサイルのプログラミングを結びつける公式の情報はない。 GVCの機能について、軍事関連の刊行物にはロシア軍に「ITサービス」「自動化」を提供する、という漠然とした説明しかない。歴史は古いが(ロシア連邦軍傘下のテレビ局ズヴェズダによると1963年に設立された)、現代ロシアのメディアにおいてこの部署に言及した報道はほとんどない。 珍しい例としては、2018年に軍音楽団のメンバーに授与された賞が、「ロシア連邦軍主要計算センター

            【追跡】ウクライナへのミサイル攻撃を遠隔操作していたのは誰か

            ロシアの攻撃は民間施設を破壊10月10日の早朝、ロシアはウクライナの複数の主要都市に激しいミサイル攻撃を行なった。ウクライナ非常事態省によると、少なくとも20人が死亡、100人超が負傷した。 わが国の巡航ミサイルは高精度だと豪語するロシア。10日の攻撃はウクライナの軍事施設・司令部および電力系統を標的にしたと主張した。 しかし、オープンソースから得られる証拠を見ると、複数のミサイルが民間施設に撃ち込まれ、住宅や幼稚園、児童公園を破壊したとわかる。 ロシアにとって侵攻開始

            データを伝える技術 第8回(最終回) データ可視化と報道・社会

            執筆:荻原 和樹 これまで長らくお付き合いいただきましたが、今回が最終回です。データ可視化の歴史や報道との関わり、社会的な意義などを解説します。 データ可視化の歴史的な傑作現代の私たちが目にする「データ可視化」といえば、大半が棒グラフ、折れ線グラフといった「グラフ」です。しかし実はデータ可視化の歴史において、単独のグラフによるシンプルな可視化は比較的新しいものです。歴史的に見ると、複数のグラフを一度に見せたり、地図と組み合わせるなど、技巧的な工夫を凝らした作品が数多く生ま