スローニュース【公式】調査報道やノンフィクションを支援します

日々の出来事を追いかけるのではなく、時間をかけた調査報道やノンフィクションを通して複雑な世界をゆっくりと咀嚼して理解する、それがSlowNewsという考え方です。現在、新たなサービス展開に向けて開発を進めています。

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    マガジン

    Bellingcatの記事

    世界が注目する調査集団「ベリングキャット」の記事です。日本語での翻訳配信はスローニュースだけ。最新のOSINTのテクニックによる調査報道を知りたい方もこちらを。

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    潜伏中の極右主義者、ネット追跡で居場所を特定してみた

    “こんな写真から居場所を特定するのは無理だろう”自分がアメリカの極右主義者ロバート・ルンドになったと想像してみよう。居場所は誰にも知られたくない。とりわけ警察や、ベリングキャットのうっとうしい調査員には。 ルンドは暴動および共謀罪で起訴されていて、来春ロサンゼルスで始まる裁判で有罪判決が出れば、最長で10年の懲役を科される可能性がある。今はヨーロッパのどこかに潜伏しているところだ。 でも、自分が手がける極右ファッションブランドを宣伝したいし、タフガイのイメージも広めたい。

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    逃亡者を捜し出すテクニック、過程を全て公開します

    追跡のヒントは友達のインスタ2021年、ベリングキャットの調査員は、Instagramアカウントを作り、ルンドの親しい友人でサンディエゴに住む20歳のグレイディ・メイフィールドをフォローした。 2022年4月にベリングキャットと人権団体「南部貧困法律センター(SPLC)」が共同でメイフィールドの移動記録や活動を調査してから(ちなみに彼は2021年にアメリカ海兵隊の新兵訓練に参加したものの、追放されている)、メイフィールドのInstagramアカウントは非公開になった。しかし

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    【追跡】ウクライナへのミサイル攻撃を遠隔操作していたのは誰か

    ロシアの攻撃は民間施設を破壊10月10日の早朝、ロシアはウクライナの複数の主要都市に激しいミサイル攻撃を行なった。ウクライナ非常事態省によると、少なくとも20人が死亡、100人超が負傷した。 わが国の巡航ミサイルは高精度だと豪語するロシア。10日の攻撃はウクライナの軍事施設・司令部および電力系統を標的にしたと主張した。 しかし、オープンソースから得られる証拠を見ると、複数のミサイルが民間施設に撃ち込まれ、住宅や幼稚園、児童公園を破壊したとわかる。 ロシアにとって侵攻開始

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    【解明】知られざるロシアの組織GVCとミサイル攻撃の関係とは

    GVCとは何かロシア連邦軍の主要計算センターと、巡航ミサイルのプログラミングを結びつける公式の情報はない。 GVCの機能について、軍事関連の刊行物にはロシア軍に「ITサービス」「自動化」を提供する、という漠然とした説明しかない。歴史は古いが(ロシア連邦軍傘下のテレビ局ズヴェズダによると1963年に設立された)、現代ロシアのメディアにおいてこの部署に言及した報道はほとんどない。 珍しい例としては、2018年に軍音楽団のメンバーに授与された賞が、「ロシア連邦軍主要計算センター

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    ハザードランプを探して

    「生活保護の申請は国民の権利。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあり、ためらわずご相談ください」そんな呼びかけに応じない人もいる。どうしてなのだろうか。支援の現場から見たルポルタージュ「ハザードランプを探して」。

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    「ハザードランプを探して」第1回

    取材・執筆:藤田和恵、フロントラインプレス 「生活保護だけは嫌」コロナ禍におけるSOSは、元日の夜も待ったなしだ。 2021年1月1日、東京・千代田区の聖イグナチオ教会で開かれた「年越し大人食堂」で出来立ての弁当を配り、生活相談を受ける。会場の撤収後、「反貧困ネットワーク・新型コロナ災害緊急アクション」事務局長の瀬戸大作さんは、ひと息つく間もなく車を駆った。夜7時すぎ。都心の正月はビルの明かりも行きかう車も少ない。いつもと同じ元日の光景だが、新型コロナウイルス感染症が猛威

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    「ハザードランプを探して」第2回

    取材・執筆:藤田和恵、フロントラインプレス 「無低」 「たった今、豚小屋のようなところから逃げてきました」 2020年10月下旬、40代の男性からSOSが入った。東京・池袋の公園にいるという。「反貧困ネットワーク・新型コロナ災害緊急アクション」事務局長の瀬戸大作さんが車で駆け付けたのは午後7時ごろである。助手席に乗り込んできたのは、橋詰宗吾さん(仮名)。不安そうな表情で、「全財産だ」という黒いかばんを抱き締めていた。「豚小屋」とは、いったいなんだろう。 首都圏きっての繁

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    「ハザードランプを探して」第3回

    取材・執筆:藤田和恵、フロントラインプレス 雇用崩壊の末 新宿駅西口の喫煙所、池袋駅周辺のネットカフェ、上野駅近くの百貨店・上野マルイの前付近——。「新型コロナ災害緊急アクション」へのSOSはなぜか夕方以降、そうした東京都内の主要駅周辺から発せられることが多い。 事務局長の瀬戸大作さんはSOSを受けると、車で現地に向かう。約束した場所に到着すると、車を止めてハザードランプをつける。先方には車の色とナンバーを伝えてある。相手の携帯が料金未納で止められている場合、通話ができな

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    「ハザードランプを探して」第4回

    取材・執筆:藤田和恵、フロントラインプレス SNSとヤミ金 その日、「反貧困ネットワーク・新型コロナ災害緊急アクション」事務局長の瀬戸大作さんの1日は、生活保護の申請同行から始まった。申請者はSOSを通して出会った細谷文彦さん(仮名、40代)。行き先は、東京23区のある福祉事務所である。 年配の相談員が細谷さんに向かって、生活保護の仕組みや注意すべき点を丁寧に説明してくれる。そのさなかのことだ。相談室の中で何度も振動音が響く。そのたびに細谷さんがジャンパーのポケットを押さ

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    調査報道大賞 受賞者のことば

    「調査報道大賞2022」の授賞式が9月2日に開かれました。選ばれた報道は何が評価され、受賞者たちはどんな取材の苦労や思いを語ったのでしょうか。

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    調査報道大賞⑤国家によるデータ改ざんをどう暴いたのか 大賞/全体総括

    「調査報道大賞2022」の授賞式が9月2日に開かれました。選ばれた報道は何が評価され、受賞者たちはどんな取材の苦労や思いを語ったのでしょうか。最終回は大賞を受賞した報道です。選考委員による講評と、報道にあたった記者のことばのほぼ全文を、こちらで公開します。 『国土交通省の統計不正問題をめぐる一連の調査報道』朝日新聞取材班 講評:江川紹子さん 「統計は未来を作るための資料。報道がなければずっと不正が続いていた」 統計というのは、公文書と並んで本当に大事な基礎の資料だと思い

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    調査報道大賞④厳しい環境でどうスクープを出したのか 選考委員特別賞

    「調査報道大賞2022」の受賞式が9月2日に開かれました。選ばれた報道は何が評価され、受賞者たちはどんな取材の苦労や思いを語ったのでしょうか。今回は選考委員特別賞を受賞した2つの地方メディアの報道から。選考委員による講評と、報道にあたった当人のことばのほぼ全文を、こちらで公開します。 『中国新疆ウイグル自治区の強制不妊疑惑などを巡る調査報道』西日本新聞 坂本信博講評: 西田亮介さん 「新聞が置かれている難しい環境の中で、リスクを伴うテーマに取り組んだ」 皆さんご承知の通り

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    調査報道大賞③デジタルでこそ発信できた理由とは 優秀賞 デジタル部門

    「調査報道大賞2022」の受賞式が9月2日に開かれました。選ばれた報道は何が評価され、受賞者たちはどんな取材の苦労や思いを語ったのでしょうか。今回から優秀賞にデジタル部門が設けられました。選考委員による講評と、受賞した記者のことばのほぼ全文を、こちらで公開します。 『「キッズライン」不祥事報道』 中野円佳/Business Insider Japan他講評: 三木由希子さん 「報道が信頼されると情報が集まる好循環。1人で発信するデジタルの可能性を示した」 キッズラインをめ

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    調査報道大賞②スクープ番組はどのように誕生したのか 優秀賞 映像部門

    「調査報道大賞2022」の受賞式が9月2日に開かれました。選ばれた報道は何が評価され、受賞者たちはどんな取材の苦労や思いを語ったのでしょうか。今回は優秀賞の映像部門を受賞した2つの報道から。選考委員による講評と、報道にあたった当人のことばのほぼ全文を、こちらで公開します。 『偽りのアサリ ~追跡1000日 産地偽装の闇~』CBCテレビ講評:三木由希子さん 「この問題は、消費者であるあなたの問題だと社会に問いかける優れた調査報道」 一連の報道では、中国から輸入されたアサリを

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    不思議な裁判官人事

    国に不利な判決を出した裁判官は、その後の人事で冷遇されるのかを検証した、唯一無二の調査報道。PEPジャーナリズム大賞特別賞を受賞。木野龍逸・フロントラインプレス著。

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    不思議な裁判官人事 第1回 国を負かした裁判官は左遷される 

    取材・執筆:木野龍逸、フロントラインプレス  都市伝説がある。  原子力発電所に関わる判決で運転の差し止めを認めたり、原発事故での国の責任を認めたりするような裁判官は左遷される、あるいは定年退官間近にならないとそんな判決は書けない、というものだ。端的に言えば、「原発の裁判で原告を勝たせると左遷される」である。  こうした「噂」は、原発訴訟に携わっている原告や弁護士、取材記者たちの間でときどき話題になる。けれども、なんとなくそう感じるというだけで、これまで事実関係を確かめ

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    不思議な裁判官人事 第2回「国敗訴」退官間際の一撃

    取材・執筆:木野龍逸、フロントラインプレス 「国家賠償請求や公共事業の差し止め請求などで国に不利な判決を出した裁判官は、その後の人事で左遷されるのではないか」。そんな“都市伝説”を検証するため、フロントラインプレスは記者2人で取材チームをつくり、膨大な数の判決と格闘してきた。  判例データベースでチェックの俎上に乗った判決は数千本。実際に判決文を読み込んだのは数百本。文字数に換算すればおそらく何百万字にもなる。そうした作業を経て、「その後の人事異動」を評価する対象として1

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    不思議な裁判官人事 第3回 原発を止めたらどうなるか?

    取材・執筆:木野龍逸・フロントラインプレス  国家賠償請求や事業の差し止め請求などで国に不利な判決を出した裁判官は、その後の人事で左遷されるのではないか。そんな“都市伝説”を検証するため、フロントラインプレスは記者2人で取材チームをつくり、膨大な数の判決と格闘してきた。数百本、文字数にして何百万字もの判決文を読み込むなどし、「その後の人事異動」を評価する対象として141人の裁判官をピックアップした。判決と人事異動の因果関係を検証する連載の3回目は、原発の差し止め請求の裁判を

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    不思議な裁判官人事 第4回「出る杭」として処分を受けた人

    取材・執筆:木野龍逸・フロントラインプレス  国家賠償請求や公共事業の差し止め請求などで国に不利な判決を出した裁判官は、その後の人事で不利な扱いを受けるのではないか――。そんな“都市伝説”を検証するため、フロントラインプレスは記者2人の取材チームをつくって、膨大な数の判決を読み込み、複雑に入り組んだ人事異動との関係を調べてきた。見えてきたのは、退官直前に“去り際の一発”と言えるような判決を出す裁判官が、実際に存在することだった。一方で、判決と人事の相関関係は、そう簡単には証

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    下山進の作品

    ノンフィクション作家の下山進さんの作品『原子炉・加速器で癌を治す』『がん新薬誕生』をこちらにまとめました。

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    原子炉・加速器で癌を治す 第1回 絶望的な患者

    取材・執筆:下山進  その67歳の女性の患者は、万策がつきていた。耳の下が腫れたように膨れ上がり、巨大なコブ状になって、そのコブの中心部からは、粘液がぬぐってもぬぐってもわき出てきた。ガーゼでおさえているが一日に何枚も替えなくてはならない。この粘液をとろうと夫が、毎日懸命にぬぐっていたが、すぐにムチンといわれる粘性の物質を癌細胞が分泌する。  1998年7月16日に大阪大学歯学部附属病院を初診の際の診断は、耳下腺癌だった。すぐに標準治療の第一選択である外科手術を行った。

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    原子炉・加速器で癌を治す 第2回 癌が消えた!

    取材・執筆:下山進  京大原子炉実験所は中に入ると町工場のようだ。むきだしで様々な機械が殺風景にならんでいる。  大阪の梅田からJRと徒歩で一時間半、大阪府熊取にある京大原子炉実験所の準備委員会ができたのは、1956年。すでに始まった冷戦のなかで、原子力の平和利用がしきりと唱えられていた時期でもあった。初代の準備委員長は、陽子や中性子を互いに結合させる媒介となる中間子の存在を1935年に予言し、ノーベル賞を受賞(1949年)した湯川秀樹。5000キロワットの軽水炉が稼働し

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    原子炉・加速器で癌を治す 第3回 加速器を開発せよ

    取材・執筆:下山進  2002年4月に京大原子炉実験所の教授として迎え入れられた丸橋晃は、医学物理が専門だった。筑波大学の助教授から着任した時の希望は、陽子線治療施設の建設だった。しかし、小野公二に、2001年12月に照射をうけた67歳の女性患者の写真を見せられる。 「こりゃすごいわ。これほおっておいたらいかんのじゃないの」  以来、丸橋もBNCTにのめりこむことになる。  頭頸部癌のこの女性の成功は大きく、それまで年間5例程度しか、BNCTをつかった臨床研究は行われ

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    原子炉・加速器で癌を治す 第4回 治験

    取材・執筆:下山進  アルゼンチンでBNCTを国家的プロジェクトとして進めようとしていたアマンダ・“ マンディ”・シュイントは、2000年代の国際学会での日米の研究者の対決を今でも思い出す。  2000年代を通じてアメリカの研究者は日本のやりかたに常に批判的だった。  彼らの批判のポイントのひとつは、日本の臨床研究は、背景がそろっていないので、評価のしようがないということだった。  ある日本人の研究者が学会で発表した際に、アメリカの研究者はこう批判した。 「その臨床

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