原子炉・加速器で癌を治す 第2回 癌が消えた!
取材・執筆:下山進
京大原子炉実験所は中に入ると町工場のようだ。むきだしで様々な機械が殺風景にならんでいる。
大阪の梅田からJRと徒歩で一時間半、大阪府熊取にある京大原子炉実験所の準備委員会ができたのは、1956年。すでに始まった冷戦のなかで、原子力の平和利用がしきりと唱えられていた時期でもあった。初代の準備委員長は、陽子や中性子を互いに結合させる媒介となる中間子の存在を1935年に予言し、ノーベル賞を受賞(1949年)した湯川秀樹。5000キロワットの軽水炉が稼働し