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#44 前を向いているからこそ過去を見る

複雑性PTSDの治療は、そんな単純な話でもない。でもそれが伝わりにくい。という話をしてみようと思います。

先日友達と話しているなかで、こんなことを言われました。

「あなたの話を聞いていると、過去にあった出来事や過去の環境からどうやって今の自分ができたのか、っていう原因をずっと探している感じがする。それはそんなに大事じゃない気がしてて、どうなりたいかのほうが大切な気がする」

それにうまく返す言葉が見つからなくて、私はおそらく、少し悲しくなったんだと思います。「過去のことばっかああだこうだ言ってないで前向けよ」と言われたようで、なんとなく責められたようで。

その友達とは話をしてきているほうだし、その言葉の直後にも「まぁそれが難しいんだけどね」とフォローも入れてくれてはいました。

だけど、その言葉がずっと引っかかっていて。

複雑性PTSDは、どうしたって過去と向き合わなきゃ根本解決はできないものです。

たとえば「自分に素直に生きたい」と思ったからと言って、「よし!素直で居ればいいんだ!」とはいかない。なぜ今「自分に素直じゃない」と感じているのか、徹底的に向き合って理解できない限り、対処療法にしかならない。

私は複雑な思考と感情との解離も起こしていて、自分にとって何が心地よくて何が不快かもよくわかっていない。「素直」が自分のなかのどの部分なのかすらわからない。今自分に何が起きているのかわからないんです。

だからどうしたって過去の回想の連続になります。

あぁこのとき私は不快だったんだな、無理してたんだな、私ではなくて相手の意思を優先させただけだったんだな…。そうなってしまっていたのはなぜだろう。そこが原因なんだとしたら、じゃぁそれを払拭できる反証や経験が必要だな。と、一つ一つクリアにしていかないといけない。

現時点で私は、自分を理解するというまだまだ序盤にいると思っています。何かを劇的に変えられる段階ではない。こうなりたいと思っても、トラウマとして拒絶反応を起こすこともあれば、「こうなるにはどうしたらいいか」にたどり着けなかったりする。

前を向いているからこそ、過去を見るんです。

でもこれって、なかなか伝わりにくい。一般的には「前を向く」ってもっと能動的で、私のような「過去を顧みないと自分がわからない」状態はすっ飛ばして、行動できてしまうと思うから。

こういう「伝わらない」とき、ものすごく悲しくなります。でも相手が悪いわけでも、私が悪いわけでもない。ただお互いの視点が違うというだけ。悲しい気持ちにはなったけれど、いつも話を聞いて言葉を返してくれていることがもう、とても誠実な行動をしてくれているなと感じます。

悲しいことがあったから縁を切る、のではなく、伝わりにくいこともあるよね、と距離をとりながらでも、大切な友人関係を継続させていきたいな、と思っています。


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