私は二階建てのアパートに住んでいる。 決して新しくはないし綺麗ではないけれど割と広く生活しやすかった。 玄関を開けると部屋が左右に二つあり階段が上へと伸びている。右の部屋には扉がついていない。 二階にも同様に左右に部屋がある。 私は何故だか二階だけで生活続けている。 誰かと住んでいる訳でもなく二階で生活を送り、それに対して何の疑問も抱かずに居る。 ある時、外に出かけるため階段を降りていると ふと一階の空いた部屋のことが気になり始めた。 両方の部屋が空室で使っていないのだが
寂しい季節になった。 この時期になると友人や先輩、普段連絡を取らないような人から連絡が来て私は少し安心したりする。 この人は私のことを忘れて居ないのだと、たまたま思い出して連絡できるくらいの記憶にまだ自分が立っている事に安堵する。 過ごしやすい気温だからなのか、夜更けにも外を歩いている人を見かける。窓を開けていると隣の人の声が聞こえてきたり、外を歩いている人の声を聞く。 近くに人の感覚がするとどうしても1人に感じてしまう。窓はあまり開けて居なくない。 遠くでサイレンが鳴っ
私は港町にいる。治安が悪そうな寂れた港町。 3m近いマカジキが海岸をうようよ動き回っている。 私はちょっとなら大丈夫だろうと堤防から半身だけ出してその異様な光景を見ていた。するとカジキはわざわざこちらに向かってきては、吻で私を刺そうと何度も飛んできた。 腹が立った私は1匹の吻を左にグィッと曲げてから帰った。 家までの帰り道、カメラを持った変な人に脅される。 (誰だったか覚えていないが多分友人の1人。今後この人のことはBと呼ぶ。) Bはしつこく付き纏って、脅し文句を言ってく
思考停止をする事は幸せに生きる為の一つの鍵だと思う。 何か一つのことに夢中になったり、誰かに盲目になったり、自分の思考を働かせる暇がない程、ある事柄に執着する事が思考停止する術だと思う。 それらがなくても思考停止したまま生きていられる人を見て、羨ましくなってはまた思考を走らせる日々だ。 私にとっての思考停止できる瞬間は歌っている時にしかない。 1人で部屋で好きな曲を歌ったり、脳みその中を洗い流して外に吐き出す様に作った曲を歌う時、寝転がりながらポロポロと出た言葉に音を乗
私はおじいちゃんの家にいる。 2階の寝室で母とベッドの上で買ったばかりの服を広げて寝そべっていた。 私は見た夢を起きてすぐ母に話す癖があったのでその日も夢の話を始めた。 「ままの服を着ると決まって見る夢があるんだけれど。それも毎回同じ夢。怖いんだ。」 すると母は「その服の記憶を着ているのかもね。」 と当たり前かのように私に答えた。 そうか、となぜか腑に落ちた私は夕食前に風呂に入ることにした。 シャワーを浴びていると 「しなちゃーーん来てるんやろーー?久しぶりやなぁー
物凄く古く、歴史のありそうな街に居る。 大学の友達4人と一緒にいたはずなのだが、いつのまにかlonliumとひびきちゃんに登場人物が代わっていた。 この世界では最近、謎の病原体が流行している。 日本で感染が初めて確認されると、感染は一瞬にして広がり、他国から関わりを一切断ち切られた。 日本は162年ぶりに鎖国状態になったのだ。 莫大な感染力をもつこの病原体は、飛沫感染をするタイプのゾンビウイルス。 ゾンビ映画あるあるのガブッといかれてゾンビ化するというケースもあるのだが
私はものすごく広い空港のような場所にいる。 この世界では隠れてコイン集めをしている人間がいて、私もその1人だった。 コイン集めとは、ある規定の空間で地面に足をつかずにゲートまで辿り着くとコインがもらえる仕様になっており、コイン集めをしている人間は空中に浮いたり、一瞬無重力状態になることが出来る。 私が目指すのは5階のゲート。 私は1階からのスタートだった。 既に私は最強の装備、全自動キャリーケースに跨っている。大体の場所はこれで足をつけず、無事ゲートまで辿り着けるのだ
スイカゲームを髪の毛乾かしながらしていた。 割と手詰まりの状況、やる気が失せた。 手を止めて毛を乾かすのに勤しんでいたら ちょっと前に投下した奴がゆっくりじわじわと移動して、勝手にくっついて、なんの断りもなしに新しい形へ変わっていった。 私も生き急がずのんびり待っていたら 勝手に世界の形が変わって、すんなり簡単に生きやすくなるんじゃないか。なんて左手のドライヤーから発される爆音を聴きながらちょっと空間のあいた箱が映される画面を眺め、漠然と思ってしまった。 んな訳ないだろ
人より出来ないことが多かったり、上手く出来なくて周りと比べて自分自身を恨む事が良くある。 自分に出来ない出来ないと呪いをかけてそれにまんまと支配された結果が今の私を作っている。 良くない事だとは思うが仕方がない。 既に自分を諦めていたら、周りと比べて自分を恨むことはしない。人との差を悔しがって自分にナイフを向けることもしない。 私はまだ自分に期待しているから、自分に失望したり落胆したりするんだと思う。 病んでいる訳じゃない 通常運転でこのテンション 驚かないで欲しい
感情の自制をして考えてその先を見据えて息をすることも大切なことはわかっている。 それでも即座に溢れ出てしまう感情は愛おしい。 優しく触れるように君を眺め 君を思って届くように言葉を飛ばす 溢れ出てしまったものを両手に留めて大切に注ごうとする。 感情をぶつけるのではなく自分でかき集めた様々な暖かさと知っている限りの愛ある言葉と共に感情を見せあって言葉や気持ち脳内の声の交換をする。 溢さないように両手に持っている 交換して新しく得たものをさっきまで持っていたものよりも大切に抱
この世界では"柵差別"というものがあって 柵の外の人とは関わってはいけないというルールがある。 自分の住んでいる柵の外にも、内にも柵で区切られた世界は続いていて、自分が生活している柵の外の人は全員、人ではない恐ろしいものに見えている。 私が生きている空間では、青々とした草原の端に柵が存在した。 その柵は私の膝くらいの高さでボロボロの木で作られている。乗り越えようと思えば誰でも乗り越えれるし、壊す事だってできる。しかし、誰も乗り越えようとしない。そもそも柵のある場所に近づく人
私は真っ白で遠方もなく広い空間に1人で座って居る。 白が無限に続く部屋、自分と同じくらいの大きさの真っ白なキューブがそこかしこに散らばって落ちて居る。 座って周りを見回していると、キューブから キュイーーン という音と共に白米が出てきた。 私はおかずなし、ふりかけなしの白いご飯を単体で食べると気持ちが悪くなるので、顔を顰め 手をつけずに座ってぼうっと天井を眺めていた。 何日か経つと遠くの方に私と同じ人間がキューブの前に座って居るのに気がついた。 久しぶりに人を見