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白い箱


私は真っ白で遠方もなく広い空間に1人で座って居る。

白が無限に続く部屋、自分と同じくらいの大きさの真っ白なキューブがそこかしこに散らばって落ちて居る。

座って周りを見回していると、キューブから 

キュイーーン

という音と共に白米が出てきた。

私はおかずなし、ふりかけなしの白いご飯を単体で食べると気持ちが悪くなるので、顔を顰め
手をつけずに座ってぼうっと天井を眺めていた。



何日か経つと遠くの方に私と同じ人間がキューブの前に座って居るのに気がついた。
久しぶりに人を見たのが嬉しくなった私は声をかけるが全く反応がない。何度呼んでも箱をじっと見つめているようだった。

キュイーーン 白米がまた出てきたらしい。

ごとん。



息を呑んだ。
そこにいたはずの人間が、白米に手をつけた瞬間白いキューブに変わったのだ。

私は怖くなって無限の白い空間をずんずん進み周りに他の人間がいないか、探して回った。
遠くに人を見つけてまた、声をかけるが声は届かない。

キュイーーン   ごとん。

キュイーーン   ごとん。

何処からともなく何度か音が聴こえてくる。
私の周りは白いキューブだらけで、段々と増えていくこの "白い箱" の正体が "何" なのか理解した瞬間。
ここから逃げ出さなくては。とぼんやりとしていた脳がぐるぐると動きはじめた。

そこらへんに散らばって居るキューブを集めてとにかく上へ上へ積み上げていく。
上に行けば出れるという確証があるわけでもないが、ただこのままここに居続けてしまう事への恐怖が募り、ただ上へ上へと、元は人だった白い箱を積み上げて登って行った。

すると段々と青い空が見えてきた。
私は白の空間の端を掴み、するすると丸みを帯びた壁をつたって降りて行った。
無限に広がっているように見えた白の空間にもどうやら端があったらしい。

外は青々とした芝生 裸足で走った

ぐんぐん走っていくと後ろから聞いたことの無い警報音が鳴り響き、足を一層早めた。

そこで目が覚めた

夢でよかった


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