黎明の01フロンティア №00-04 後編

№00-04 前編 より続く

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\後半開始
\黎明の01フロンティア

多計夫の右ストレートを、黎明は肘で逸らした。
「舐めんじゃねえッ!」
続け様の左フック! バックステップで回避!
「オメー見てっと苛つくんだよ!」
近距離からの突進! サイドステップで回避!
「オラ、避けんじゃねえ!」
「やれやれ!」
「ボコボコにしてやれ!」
歩み寄る多計夫にローキックで牽制!
多計夫は怯まず、ジャブの連打! 黎明は腕をクロスさせて防ぐ!
「この野郎!」
多計夫は、大振りのストレートの予備動作!
一瞬早く、黎明の正拳が顔面に衝突!
「カスが、利かねぇんだよ!」
多計夫は腕を振り払い、更に大振りの左ストレート!
黎明はバックステップで躱し、肘を構えてショートタックル!
「ぶがッ……!」
多計夫は胸に食らって仰け反るが、倒れない!
反撃のフックが、黎明の顔面に衝突!
「がはっ……いってぇ」
鼻から血を垂らしながら、黎明は多計夫を睨み、笑った!
「おい何してんだ多計夫! さっさと転がせ!」
「テメェこんなヤツにやられんな!」
「ウス!」
体勢を取り戻した多計夫が、素早く接近してジャブの乱打!
黎明は顔面への打撃をガードしつつ、攻撃の合間にボディブロー!
「オラオラオラァ! 利かねェっつてんだろがァ!」
再び大振りのストレート!
黎明のミドルキックが、多計夫の分厚い腹筋を叩いて突き放す!
「ちっ……ちょっと舐めてたぜ、テメェのこと」
黎明は不敵で笑い、腰を沈めて待ち構える!
「そろそろ本気でぶっ飛ばしてやんなきゃな?」
多計夫はにやけ笑いで拳を振り上げ、悠然と歩み寄る!
……と見せかけ、至近距離から腰を沈めてタックル!
黎明は飛び膝蹴り! 多計夫の顔面にまともに直撃!
「んがぁッ!」
多計夫は白目を剥き、仰向けで引っくり返る!

「もういい、多計夫! きりがねえ!」
「さっさと片付けようぜ!」
上級生たちが立ち上がり、角材や竹刀を握って突撃する!
「オラァァァ! くたばれ!」
「ンの野郎がァ!」
「ぶっ殺してやる!」
黎明はギリギリの距離で躱し続けるが、数発の打撃が掠める!
「クソッ、数が多過ぎるな……」
「オラァァァァ!」
角材を大上段に振り上げ、突貫してくる金髪上級生!
黎明は素早く懐に潜り込み、低空から顎に頭突き!
「んがぁッ!」
金髪上級生をタックルで突き放し、転げ落ちた角材を掴み取る!
「クソがぁぁぁッ!」
「死ねぇ――ッ!」
振り回される竹刀! 黎明は冷静に角材で弾く!
一発、二発と打撃を受けながらも、上級生の致命打を回避!
「くったばれぇ――ッ!」
ツーブロック上級生が、角材を小脇に抱えて突貫!
まともに食らえば危ない!
黎明はサイドステップで辛くも回避!
そして、一歩踏み出そうとしたその時……足がもつれる!
地面に転がる多計夫が、黎明のズボンの裾を握っていた!
「よっしゃあ多計夫! ナイスだ!」
すかさず上級生たちが取り囲み、竹刀や角材で打ち据える!
黎明は腕をクロスさせて受け続けるが、背後はガード不能!
(やっべえ……このままじゃ拙いぜ)
そして一人の上級生が、黎明を羽交い絞めにして拘束!
「オラァ捕まえた!」

黎明は激しくもがくが、ガッチリ拘束されて動けない!
「ハッハァ! ちっとは痛めつけてやらねえとなァ!」
「よっしゃあ! お前、ちゃんと持ってろ!」
「OK、バッチ来い!」
「オラッ……ホーム、ラン!」
竹刀のフルスイングが、黎明の腹にめり込む!
「がばぁッ!?」
「まだまだァ! もう一発!」
更に一発、二発と激しく打ち据える! 手加減は一切なしだ!
「ぐっはぁッ!」
「オイ次! 次、俺の番だって!」
興奮した金髪上級生が、角材を握り締めながら呼びかける!
「おっし行って来い!」
「テッメェさっきはやりやがって……この野郎!」
振り上げた角材が、大上段から黎明の頭を打ち付ける!
ガヅンッ! と脳髄に衝撃が走り、キーンと激しい耳鳴りが襲う!
「おいおい、お前頭は止めとけって。マジ死ぬぞ!」
「関係ねえ! もう一発だ!」
再び角材振り下ろし! 今度は頭を逸らし、肩で受けた!
「チッ、避けんじゃねえザコが!」
金髪上級生は怒り狂い、横薙ぎで黎明の顔を打ち据える!
「ぶがッ……」
黎明は歯を食いしばり、途切れそうになる意識を繋ぎ止めた!
「なぁ、先輩! もうそろそろ……」
「ああ゛ッ!? オイ多計夫、テメェ今なんつった!」
「仕返ししたいっつたのは、オメーだろうが!」
「こいつから100万絞り取るまで、死ぬほど痛めつけてやるぞ!」
「先輩舐める奴はよ……痛い目見ねぇとなァ!」
「エッそんな……」
ツーブロック上級生の角材振り下ろし!
脳天に直撃し、全身に痺れるような痛みが突き抜ける!

「オイ、オイ鍛冶屋! お前謝れ! さっさと謝れって!」
「謝ったって……許さねえんだよ!」
再び竹刀振りかぶり! 胴打ちがクリーンヒット!
「うがっ……」
肋骨が軋み、痛みに吐き気がこみ上げる。
(チッ、拙いな……気乗りはしねえが、奥の手を使うしかねえか)
黎明は腹筋に力を込め、右足を上げる。
背後の羽交い絞め上級生、その足の甲めがけて踏みつけ!
「ア゛ッ! いってェ畜生!」
僅かに拘束が緩む! 黎明の左手が羽交い絞めを抜け出した!
黎明は覚悟を決めて、固く結んだ拳から親指を突き出す!
そして背後に刺突! サミングの奇襲だ!
上級生の左目付近にクリーンヒット!
「ア゜ッ――ギャアアアアアア!」
上級生絶叫! 取り巻く者たちが思わずたじろぐ!
黎明は素早く腕を掴み、痛む身体に全力を込めた!
羽交い絞め上級生を背負い投げ! 倒れた所に落下肘打ち!
「うぼえ゛ッ!」
体重を乗せた肘打ちが、上級生の鳩尾にめりこむ!
黎明はふらつきながら、角材を握って立ち上がった!
全身を打撲し、顔面は血塗れで……それでも倒れない!
「どうしたよ。仕切り直しと行こうぜ」
金髪上級生の顔面が紅潮し、顔がビリビリと引き攣った。
「テッメェ……マジでぶっ殺したらあああ――ッ!」
大上段に振り被って突撃!
黎明は、角材をビリヤードのキューめいて握り、体重を乗せて刺突!
メキョッ。
危険な音を立て、黎明のカウンターが金髪上級生を逆襲!
「かッ……お゛ェッ」
金髪上級生が脱力し、角材を足元に打ちつける!
黎明は跳躍からのローキック! 角材を真っ二つに圧し折った!
そして鳩尾を目がけ、全身の体重を乗せたタックル!
「ぶがっ……」
金髪上級生が白目を剥いて宙を舞う!

「テ、メ、エ……よくも! んどりゃあああ!」
ツーブロック上級生、激昂して特攻! 黎明は冷静に回避!
躱すタイミングで、上級生の足を引っ掛ける!
「うがッ!」
ツーブロック上級生が体勢を崩して転倒!
「死ねぇッ!」
グラサン上級生が竹刀を振り上げ、背後から奇襲!
角材の鋭い突きが、グラサンごと上級生の顔面を吹っ飛ばす!
足元のツーブロック上級生が起き上がる!
黎明は上級生の胸倉を踏みつけ、容赦なく角材を振り上げた!
「あっイヤちょっとそれは……マッテ!」
ツーブロックヘアーに角材衝突! 衝撃で角材が圧し折れた!
「ア゛ッ! マア゜ッ!」
「さて……あと何人だッ!?」
黎明は血混じりの唾を吐き捨て、折れた角材を短槍めいて構える!
「クッソ……!」
「テメェ、かってえんだよ!」
「さっさと倒れろ!」
数人の上級生たちが、得物を握り締めて一歩後退!
「おいゴラアアアアアッ!」
野太い絶叫と共に、闖入者あり!
ラグビー部顧問の体育教諭・島津隆一郎(しまづ・りゅういちろう)だ!
2メートル近い体格、その分厚い大胸筋は、あらゆる生徒を恐れさせる!
「お前たち、そこで何やってンだァ!」
ゴリラめいた咆哮!
「やっべえ島津に見つかった!」
「オイさっさと逃げようぜ!」
「バーカッ! 腐れゴリラーッ!」
上級生たちは得物を投げ出し、ほうほうの体で逃走!
「はぁッ……助かったか……」
血塗れの黎明は、折れた角材を投げ出しへたり込む!
「エッ先輩! アッどうしよう……はひっ……はひひっ」
逃げ遅れた多計夫はへたり込んで狼狽!
そこに、憤怒の形相で歩み寄る島津!
背中から湯気が立ち上らんばかり、その姿はまるで不動尊だ!
「お前! 1年A組の鍛冶屋と、そっちは横山だな!」
「……はい」
「はひぃッ!」
島津は多計夫を無視し、黎明の胸倉を掴んで立ち上がらせる!
「このッ……馬ッ鹿モーン!」
張り手一発! 黎明の閉じた瞼に星が閃く!
「人目を盗んで、喧嘩なんぞしおって! ちょっと来い!」
「ひぃッ! ずびばせんッ!」
多計夫は半泣きでずり下がる!
観念した黎明も、無言で頭を垂れた。
私闘の結末は何とも味気なく、後味悪いものだった。
(こりゃあ……謹慎モンかねぇ……)
黎明は生血を垂らしながら、されるがままに島津に引き摺られた。

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非公式 エンディング: Novallo「Visually Silent

\黎明の01フロンティア
\ORDER №00 CHAPTER 04
\決闘 …… 100% complete

\NEXT CHAPTER ⇒ №00-05
\暗雲 …… coming soon

[APPRECIATION: THANK YOU FOR WATCHING !!]

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