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黎明の01フロンティア №00-09 後編

№00-09 中編 より続く

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\中編開始
\黎明の01フロンティア


1年A組、教室。
少年・鍛冶屋黎明は、壁に半身を持たれ、軍用拳銃を構えた。
教育実習生・木暮彌市は、小型拳銃を再装填し、構える。
二人は殺意の眼差しで見つめ合い、銃口を向け合った。
「鍛冶屋アアアアア!」

BLAM!BLAM!

同時に射撃! そして、互いに狙いを外す!
素人が撃って初弾で当てられるほど、射撃は生易しくは無い!
「アアアアア! お前たち! 何をッ――!」
傍らで拘束された国語教師・亜門が激しく暴れる!
横山多計夫は数メートル後方で失禁し、立ち尽くす!
その更に十数メートル後方、無言で成り行きを窺うクラスメートたち!

――CLINK, CLINK!

同時に放たれた空薬莢が宙を舞い、同時に床で跳ね返る!
そして、二人が動き出した!

BLABLABLABLABLABLABLABLABLABLAM!

二人は互いに、凄まじい勢いで拳銃を連射!
蛍光灯、窓ガラス、教卓にスマートボード!
教室のあらゆる所を弾頭が撃ち抜き、或いは跳ね返る!
(このまま教室で撃ち合ったらマズイ!)
そして、見よ――黎明は飛び出した!
拳銃を乱射する木暮の元へ、一直線に!
死ねエエエエエッ!
黎明叫ぶ! 死を恐れぬ決断的突撃!
(……何だッ!? 何なんだ、このガキッ!?)
木暮は黎明の剣幕に恐怖し、顔を歪めて後退!
(弾が当たったら、死ぬんだぞッ! 死ぬのが怖くないのかッ!?)
一歩。たった一歩!
しかし、その瞬間に勝敗は決した!

BLAM!

木暮は思わず身体を逸らし、片手で撃ち返す!
だが、当たらない!
心に抱いた恐れは手元を狂わせ、銃弾は天井で跳ね返る!
「ヒェ―――――ッ!」
絶叫と共に反転、脱兎のごとく逃走!
背を向けた木暮を、黎明は追いかける!
廊下に半身を乗り出した瞬間、木暮は振り向き様に乱射!

BLAMBLAMBLAM! ――CLANK!

そして、スライドがホールドオープン。
「アッ……」
弾切れだ!
「クッソ―――――ッ!!!!!」
木暮は殆ど半泣きで拳銃を投げ棄て、全速力で逃亡!
(まだだ……まだだッ! まだ、爆弾があるッ……)
だがECM(電子妨害装置)作動中の校舎内では、遠隔起爆不可能!
(こうなりゃ全部吹っ飛ばして、皆殺しあるのみだ!)
「ヘヘヘ……ヒヒヒ……クハーッハッハッハ!」
木暮、涙と涎を撒き散らし、狂気の笑みで走る!

BEEP! ……CLANK!

突如鳴り響く電子音!
「……ッ!? 何だッ!?」
木暮、思わず立ち止まる!

CLANK! ……CLANK, CLANK, CLANK, CLANK, CLANK!

それは、校舎内の電子ロックが解錠される音だ!
(ま……まさか、ル・シッフルのヤツ、しくじりやがったのか!?)
「木暮エエエエエッ!」
背後から黎明が拳銃を構え、迫る!
「まだ、弾は残ってるぜエエエエエッ!」
黎明の銃は、木暮の小型拳銃より装弾数が多いのだ!
「アッ……アヒャッ……アヒャ―――――ッ!!!!!」
木暮は笑い、駆け出した!

「クソッ、見かけによらず足の速ェ野郎だ!」
黎明は毒づき、全速力で木暮を追撃!
身体のあちこちから出血! 被弾しているのだ!
しかし、黎明もまたアドレナリン過剰分泌!
意思の力で痛みを封殺し、目の前の敵を追い求める!
[CLEAR: レイ! システム 制圧完了! 電子ロック 解除中!]
「でかしたぞ、プランセス!」
[CLEAR: ECM 稼働停止! 無線通信 復帰します!]
黎明はその報告に顔を顰め、嫌な予感を覚えた。
「起爆プログラムはどうだ!」
ヘッドセットに問いながら、中央階段に到達。
階上に銃口を構え、階段を駆け上る。
[SEARCHING: 検索中 …… …… …… 何ッ!? 割り込み プログラム!?]
「何だと、プランセスッ!?」

――BLAM!

突如響いた銃声に、黎明は階段上で一瞬、足を止めた。
しかし、直ぐに駆け出す!
[CLEAR: 割り込み プログラム …… 中断! システム 完全制圧!]
「グッジョブ、プランセス!」
2階フロアに飛び出し、左右確認! 人の姿は無い!
(だが、俺の用事がまだ済んじゃいねえぜ……木暮ッ!)
「木暮エエエエエッ!」
黎明は叫び、再び階段を駆け上る!
(どこだ、どこだ……どこに隠れやがった!)
銃創が痛み、流血が滴る!
しかし、もはや黎明は足を止めない!
校舎3階、黎明はフロアに飛び出し、左右確認!
校長室付近に木暮の姿!
そして、木暮の背後に佇むスーツ姿の……何者だッ!?
「動くなッ!」
少年めいた声が、黎明の姿を認めて鋭く叫ぶ!

BLAM!

黎明の足元で銃弾が跳ねる! 威嚇射撃だ!
「クソッ!」
黎明は臆さず、銃口を構える!
走る、走る、走る――!
「止まれ、そこの覆面野郎!」
少年の声は再び警告し、再度の威嚇射撃!

BLAM!

足元を跳ねる銃弾!
「今度は殺すぞ――鍛冶屋黎明ッ!」
聞き覚えのある声に、黎明は足を止めた。
「お前……もしかして、掛川原ッ!?」
銃口を構えたまま、傍らに転がるHIDを横目で見た。
画面はブラックアウトし、ど真ん中が銃弾で撃ち抜かれていた。
「ヒヒヒ……アヒッ、アヒッ……」
木暮は廊下で蹲り、薄笑いめいて啜り泣いていた。
[QUERY: レイ そちらの 状況は!?]
黎明の手から、軍用拳銃がこぼれ落ちた。
「何てこった……掛川原のお出ましだぜ」

校長室前で仁王立ちする、スーツ姿の少年……。
高校生にして、電脳犯罪の特別司法警察職員!
その名を……掛川原直仁(かけがわら・なおひと)!

「終わりだ、鍛冶屋黎明」
直仁は警察用拳銃で、冷徹に黎明をポイントする!
「どこから忍びこんだんだよ、お前」
「貴様の後をつけてきたら、本丸に辿り着いた。それだけだ」
直仁は銃を構えたまま、事も無げに言い放つ。
「あの壁には……さしもの俺も、少しばかり手こずらされたがな」
両膝から力が抜け、黎明はガクリと床に膝をついた。
「鍛冶屋黎明、木暮彌市! 銃刀法違反、爆発物取締法違反、不正アクセス禁止法違反、並びにその他の容疑にて、貴様らを逮捕する!」
(くそったれ……こちとら覆面してるってのに……)
階下から響く、警官隊の足音。
(どいつもこいつも……俺のことを、名前で呼びやがって……)
黎明は脱力し、ゆっくりと前のめりに倒れた。
「格好つかねぇよな……ホント、やんなるぜ」
床に這いつくばった黎明は、ぼんやりと呟いた。

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非公式 エンディング: Novallo「Visually Silent

\黎明の01フロンティア
\ORDER №00 CHAPTER 09
\対決 …… 100% complete

\NEXT CHAPTER ⇒ №00-LAST
\終局 …… coming soon

[APPRECIATION: THANK YOU FOR WATCHING !!]

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