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私がクソつまらん公務員を退職したワケ VOL.3【的外れな相談、リフォームトラブルの相談は、ほかへどうぞ】
リフォーム後の相談が多い!公務員のインフラ部門
私は地方公務員を退職した。
在職時、いわゆる公共インフラ部門に配属されたことがあった。
公共インフラといっても、主に不動産業者や建築関連の資格認可を扱う部署の配属だった。
認可業務の一方、悪質な業者との不動産トラブルから住民を守る建前的な業務も掲げていた。
実際のところ、リフォーム後の相談を始めとする不動産に関する苦情が圧倒的に多かった。
しかし、それは見事に的外れな相談ばかりだった。
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住民の的外れな相談が、おもしろい!
あなたもお住まいの自治体に、不動産トラブルの相談をしたことがあるだろうか?
たいていの場合、職員の丁寧な口調ながらも「的外れですよ~」と意図を読み取れたはずだ。
在職中、私はこのトラブル相談がイヤでイヤでしょうがなかった。
しかし、退職した今となっては、意外に面白い内容が目白押しだったと気付いた。
この記事では、私が公務員として勤務した中で関わった理不尽な相談内容を紹介する。
この『くそつまらん!公務員』シリーズでは、公務員の仕事を「面白ネガティブ」に語るので大いに楽しんでもらいたい。
これから「公務員になりたい!」という学生の方々は、心して読んでもらいたい。
不動産業関連の方は、「公務員って大変なんだな」と、少しでも共感してもらえると幸いである。
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地方公務員を退職した私(プロフィール)
田舎の県で地方公務員として、約15年間勤務する。
前職の経歴と風貌から、ハードな部署に回され続ける。
不動産部門在職中に「宅建主任者」の資格を取得したが、これまでの人生で全く役に立たず。
しかし第二子誕生の際、当時の男性では珍しい1年間の育休を取得。
育児をこなしながらも今後の人生を真剣に考え、公務員を退職して独立。
引き継いだ農地で小規模農業を行いつつ、ブロガーとして歩み始める。
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行政に寄せられる相談の実情
まずもって、不動産トラブルなどの相談は、「民事」の場合が多い。
交通事故を起こしたとき、警察の方に相談すると「それは、民・民(ミンミン)でお話ください」と言われる。
まさにアレと同じ、「民事不介入」という原則だ。
交通事故では、加入する自動車保険会社が出てきて、代わりに対応してくれるなどすんなりと解決してくれることが多い。
そのため、警察特有のプレッシャーもあるのだろうが、あまり非難はされないだろう。
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不動産トラブルでは、民事案件にも関わらず「どうしてこんな業者を野放しにしていたんだ!」と、行政が非難されることが多い。
相談者としては「行政に通報してあわよくば業者が処分されれば、有利に動くかもしれない」という浅はかな意図を持っているものも存在する。
行政としては解決しようのない問題で非難されても、担当職員のうっ憤が溜まるばかりである。
では、これから「はぁー、これは公務員を辞めたくなるわ」と思える相談内容を紹介していく。
的外れな相談その1 住宅リフォーム後の相談
的外れな相談で最も多かったのは、住宅などのリフォーム後の施工不良の相談。
壁紙がはがれてきたり、設計図面と細かい仕様が違ったりなどである。
基本的にこのような案件は、「施工不良、管理不十分」として当事者同士(民事)の争いとなる。
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もっとくだらないものでは、
「施工会社社員の態度が悪い」
「リフォームした新品のトイレが、工事関係者に明らかに使われた」
など、耳を疑うような相談内容があった。
これはもはや、民事同士の争いとも呼べなさそうだが。
行政が動く基準 -「監理」と「管理」
行政にこのような的外れな相談が持ち込まれるのは、
「監理」と「管理」
をごっちゃにしているから。
監理は、建築物などが設計図の図面通りに建築されているか確認すること。「監」の下の「皿」をもとに「さらかん」と区別する。
管理は、監理よりももっと細かい取り決めなどが守られているか、確認すること。
「管」の竹かんむりをもとに「たけかん」と区別する。
行政の業務では、違法な建築物が建てられないよう、建築士法や建築基準法に基づき「監理」違反に対応するのだ。
「管理」違反では民事の争いとなり、弁護士を通じての話し合いか裁判での決着となる。
まさに「民事不介入」の行政なのだ。
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的外れな相談その2 不動産売買のトラブル
土地や建物などの売買は、数千万円に上ることがある。
そのためその価格に納得がいかず、自治体にトラブル相談が寄せられることがある。
土地や建物を取り扱う際には、このようなトラブルを防ぐため各業者は「重要事項説明」を行なう義務がある。
これは公的な資格を取得した社員が、不動産に関する決められた事項を売買の前に説明する制度だ。
この制度でカバーできなかった些細な事柄が、大きなトラブルとなり行政に相談が寄せられることが多い。
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複数並んだ建売住宅
ある地域で、業者が複数の新築建売住宅が売りに出された。
相談者は、そのうち1棟を早期に購入した買主だった。
その建売住宅は何棟か売れ残ったので、後から当たり前ながら値引きされて売られたらしい。
それを横の自宅で見ていた相談者は、「なぜ同じ建物なのに、うちは高いんだ!」と怒ったわけだ。
売主は売れ残った住宅を持っていても不良在庫となるので、早いとこ売ってしまいたい。
値下げをするのは自由だし、一般的な商店でも同様のことをするだろう。
不運なのは、同等住宅を早期に購入した人が真横に住んでいたこと。
想定外のクレームかもしれないが、建売の値下げは慎重に丁寧に行なったほうがよいかもしれない。
しかし、これも行政に相談するような話だろうか?
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1回だけの土地取引ならば、免許は不要
相続した土地などを持て余した方から、
「自分の土地を売っても良いか?」との相談が多い。
このような相談には、宅建業法をもとに簡潔に答える。
「土地を分割せずに、1回こっきりの売却でしたら問題ありません」
一般人が宅建業法違反となるのは、
「土地を複数に分けて売買を繰り返し、収益を上げる」こと。
そのような土地取引を「生業(なりわい)」とするには、宅建業の許可が必要なのだ。
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行政の「お墨付き」が欲しい業者
ある日、宅建業許可を持たない建築業者から、
「広い土地を取得したが、現金が必要なのでこの土地を分割して売りたい」
と相談があった。
行政としては、先ほどの簡潔な答えどおり「土地を分割しての売買は、宅建業法違反に問われる恐れがあります」と警告した。
するとその無知な建築業者は、
「うちの資金繰りが悪化して倒産しても良いのか!?」
と、自らを人質にしてまさかの脅し!
ここで肝心なのは、
この相談で行政がハイといっても、決して「お墨付き」にはならないこと。悪質な売買行為を繰り返せば、警察が宅建業法違反で捜査し刑事起訴するだけだ。
そうなってから「行政相談で許可を得ている」と弁明しても、全く意味はないのだ。
行政側としても、このような不埒な業者に取り入られないように、簡潔な回答を徹底し責任転嫁されないように注意している。
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的外れな相談その3 こんな業者を野放しにしたのは、行政の責任だ
不動産トラブルに巻き込まれた一般人は、業者の揚げ足を取るようにいろんな落ち度を探す。
そのため失笑するような落ち度まで、行政のトラブル相談に持ち込まれる。
それも万策尽きると、
「こんな業者を免許を与えて野放しにしたのは、行政の責任だ!」
と、大元の責任論に転嫁することが多い。
基本的に宅建業の許可などは、申請時点で業法に定められた要件を満たしていれば、許可しなければならないのである。
その業者がどんなあくどい意図を持っていても、行政や自治体が申請書類で見抜ける術はない。
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これは自動車の運転免許でも同じ理屈だ。
そのドライバーがどんな悪質な交通事故を起こしても、申請時点で問題がなければ、免許を下した公安委員会が罪に問われることはない。
不動産関連の許可と業法違反
宅建業・建設業では、1つの都道府県内で本店・支店を置く場合、その都道府県知事の免許が必要。
複数の都道府県に本店・支店がまたがる場合は、国土交通大臣の免許が必要となる。
宅建業・建設業の資格認可を扱う都道府県や国土交通省は、業者が各法に違反していないかを主に確認する。
そこで違反が認められた場合は、業者の資格取り消しや営業停止などの行政処分が下されるのである。
建築偽装などの悪質な処分の場合は、警察が動き禁固・懲役などの刑事処分に繋がることもある。
的外れな相談その4 退去時の修繕料
不動産売買のトラブルに関連してか、賃貸業の「大家」に関するトラブル相談も多く寄せられる。
よくあるのは、「アパートの退去時に、修繕料を多くとられた!」という相談だ。
退去時に修繕料だけもらっておいて、修繕せずに次の貸主にそのまま貸すという悪質業者も横行するので、これはなかなかグレーな業界だろう。
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これについては、全国的な問題になったからか国土交通省が平成10年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を発表している。
行政職員がわざわざ相談対応するまでもなく、賃貸住宅の原状回復のメドを示してあるので、「貸主・借主側で熟読しておいて」というものだ。
私も現職時代、このガイドラインの案内を何度も行なったものだ。
そもそも「行政の管轄ではない」と電話を切れる相談だが、あまりにも多いのでこのようなガイドラインを案内するようになった。
番外編 大家のセクハラ
大家に関する困った相談としては、「大家にセクハラされ続けている」という中年女性からの電話があった。
しかも、複数回にわたって事の経過を詳細に説明された。
大家の立場を悪用したセクハラらしいが、もちろん行政で対応できるものではない。
「セクハラ」か「性的暴行」で、警察に相談するよう案内した。
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賃貸業や大家に免許は不要
よく勘違いされるが、不動産賃貸や大家の業務に宅建業の免許は不要だ。宅建業の許可が必要となるのは、あくまでも不動産の「売買」だ。
これは、駅前などで展開される駐車場運営も同じで、宅建業の許可は不要となる。
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まとめ リフォームトラブルなどは、他にご相談を
不動産トラブルに見舞われた相談者については、他人事ながら心が痛む。しかし、行政としては「所管する法令に違反があるかどうか」しか対応基準にならない。
最初は丁寧に説明するのだが、「なんとしても悪質業者に行政処分を!」と食い下がる浅はかな相談者は一定数存在する。
一般消費者としても、しっかり業者を選定し良好な関係を築く努力をして、不動産売買を行なっていただきたいものだ。
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業者側も人の集合体、ささいなミスもあれば至らない点もあるだろう。
売買の両者でうまく折り合いをつけ、大人の対応をしてもらいたい。
特にリフォームトラブルなどは、消費者センターや弁護士事務所など他にご相談くださいね。
「住民目線での自治体対応」の号令のもと、こんな相談に数年間も付き合わされた。
はぁー、これは公務員を辞めたくなるわ。
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