何でか、この場面が好きである。第7回
今時の映画も観ます。でも「心に残る」となると、どうしても昔の映画の方を選んでしまう。
これもそうである。イタリア映画界のベテラン監督、ルシオ・フルチが撮ったゾンビ映画。ジャネット・デ・ロッシの特殊メイクは今見ても凄いが、演出面ではアラが相当に目立つ。
でも、そこがいい。
CGという飛び道具で、何でも出来てしまう今と違い、無い予算を知恵と工夫(とズーズーしさ)で乗り切る漢(おとこ)たちの熱きハートに胸打たれる。
ネタバレというほどでは無いですが、ラストシーンのことに触れます。
≪ブルックリン橋を闊歩するゾンビたち≫
ゾンビだらけの島から辛くもヨットで逃げ出した主人公カップル。
帰ろうとしているNYが既にゾンビだらけ。。。
この状況をまともに描くとなると、とんでもないお金が掛かる。今ならCGで処理できるんだろうが。
で、フルチはまずNYの惨状をラジオで説明(DJ、最後ゾンビに襲われ絶叫)。
NYに蔓延るゾンビ…ロケの許可取ってる時間も無いし面倒。
早朝、ゲリラ的にブルックリン橋で撮影慣行!
なので、橋の歩道部分を歩くゾンビたち、その下を普通に行き交う大量のクルマという、不思議な「画」で映画は終わる。
最初に観た時は、まだホラーに免疫が無かったので本気で怖かったが、流石にこのラストには激しく違和感を覚えたものである。
最近のゾンビもの、特にテレビシリーズの『ウォーキング・デッド』などですら、ちゃんと「街中にゾンビが蔓延る」描写をやっているのを見るたびに、このシーンを思い出してしまう。
だから自分はココ。このラストシーンの味わい深さに、何だか泣ける。