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心で巡るNew Zealandの旅 Vol.2

はじめに

『心で巡るNew Zealandの旅』写真エッセイも、やっと2冊めが完成した。このエッセイはガイドブックに書いてあるような、街の詳細説明や観光地の景色ばかりではなく、現地在住の写真家が各地を歩き、その目で見、聞き、肌で感じた景色をそのまま言葉に起こした、言ってみればパーソナルトラベルフォトジャーナルのようなものかもしれない。聞き慣れた言葉ではなく、その景色と向き合って心に浮かんだ思いを、ただ綴っていった写真エッセイ。この記事を通して、あなた自身が現地を巡る旅をしてほしいと願ってやまない。


カンタベリー地方とは

ニュージーランドを訪れた人でも、カンタベリー地方という言葉を聞いたことがある人は、あまり多くないのではないだろうか。カンタベリー地方は、南島の中心都市クライストチャーチの周辺の地域を指す地名だ。雄大な南アルプスを見上げるこの地方は、特徴のある美しい場所が点在する魅力的なエリアだ。この写真エッセイでは僕が見い出した、できるだけツアーでは行かない美しいスポットを、心で一緒に巡っていこう。


クライストチャーチ 〜美しい公園の街〜

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クライストチャーチは、ニュージーランドで僕が初めて暮らした思い出深い街。大震災を期に街を離れたが、今でもその美しさは心に焼き付いている。歴史のある街には、伝統的な建築物が数多く残り、新しい建築と相まって、この街独特の美しさを作り出している。

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震災で無残な姿にな変わってしまった、今はなき街のシンボル "クライストチャーチ・カセドラル"(大聖堂)。最近ようやく再建の目処が立ち、新しく生まれ変わるのを待っている。

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それでも街の中にはまだ、震災前の面影を残す、歴史ある建物が多く残されている。重厚な石造りの建築は、この街が重ねてきた長い年月を思わせる。そしてこの姿がいつまでも、残っていてほしいと願う。

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街の中心部に位置するしない最大の公園に隣接して立つ建物。緑豊か他街の景観に見事に溶け込んで、静かな佇まいを見せている。まだ人通りも少なく静まり返った空間で、黙って人々の訪問を待っているかのようだ。

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僕が大好きな植物園の入口に立つ銅像。堂々と椅子に座って足を組みながら見つめるその姿は、まるでこの門を通ってやってくる人々一人ひとりを見張る門番のようにさえ見える。

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クライストチャーチと言えば国内では、"Garden city(庭園の街)"という愛称で親しまれているほど、たくさんの公園や庭園が点在している。朝晩に近所の散歩をするだけでも、何気ない景色の中に潜む美しさに、心身が洗われていったのを、昨日のことのように思い出す。

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霧が煙る早朝の公園を散策すると、道で出会う人々が陽気に声をかけてきてくれる。柔らかな陽光が踊る空間に広がっていく、暖かな人と人の交流。その中で過ごす時間は、どこまでも優しい。

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街の中にある、週末は地元の人々で賑わう公園。ツアーコースになることはないめったにない場所だが、僕のお気に入りの場所だ。紅葉の季節には木々は美しく色づき、地面には色鮮やかな葉のカーペットが敷き詰められる。その上を歩いていくだけで、ファンタジーの世界に迷い込んだような錯覚にとらわれる。

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街の中心部にある、市内最大の公園ハグレーパーク。市民の憩いの場となっているこの場所は、一見すると森林のように見えるほど広い。その大きさは東京ドーム11個分だとか。ただ散策するだけでも、心の隅々まで癒やされる。

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人々はこの公園のお気に入りの場所で、思い思いのことをして時間を過ごす。川辺に座って読書をする人、自然の中を散策する人、連れだって仲良く話している人。その全てをこの公園は優しく包み込んでいる。

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