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「ソリューショニズムが人間の想像力を弱らせる」(エフゲニー・モロゾフ)

この記事に腑に落ちた。

「パンデミックを“IT政策”で乗り切る」のは大間違いです | エフゲニー・モロゾフ「ソリューショニズムが人間の想像力を弱らせる」 | クーリエ・ジャポン

長らく「ITで問題解決」というお題目を、何より自分が信奉していた。

しかしそこには罠があり、特にグローバル資本主義と結びついたりネオリベラリズムに共依存する民間のIT企業のような、事後の問題解決のみを是とする存在「ソリューショニズム」という思想があると今日知った。でも、以前から薄々そんな違和感は感じていた……自分もソリューショニズムに陥っているのではないか。

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ソリューショニズムは「行動経済学的にクールな仕組み(ナッジ)」や「最適な移動タイミングをビッグデータに基づき“提案”するアプリ(ソリューション)」を構築し、ネオリベラリズムが悲願とするインフラ予算削減に貢献する。あるいは強権・監視型の中国ITも別の類型としてあるが、これもソリューショニズムである。

しかしソリューショニズムには罠がある。

・新しい国家・社会を想像し、つくる力を削ぐ
(ソリューショニズムは公共の想像力を縮ませる)
・ネオリベラリズムの問題点を温存し共存する
(ソリューショニズムは、ITがありとあらゆる分野で破壊と革命を引き起こすのを是認するが、現代の暮らしの中心にある市場という制度だけには手をつけさせない)

僕の言葉で言い直すと…

・想像力(イマジネーション)や、創造力(クリエイティビティ)を失っていないか?
50年以上前のSF名作にあった想像力(もっと古くて古びてない作品だと『月世界旅行』レベル)をきちんとアップデートできていないのでは?

・「IT」「テクノロジー」「ソリューション」のキラキラした世界観が持つ、チープなクールさや頭でっかちな賢さに逃げていないか?
都合良く省エネ思考で、泥臭いインフラや一次・二次産業をスキップしてないか?

・政治(他人を口説くこと)の泥臭さ・面倒くささ、公共(町内会も、地方自治体も、国政も)に関心を持ち、インフラに投資することに賛成し、自分達から議員を送り込むようなことから逃げてはいないか?
もっと過激な思想であっても「自分達で政府を作り、食料からマスクから全て自国他国から調達し、公共をつくる」に至ってないのでは?

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自分が今のところ「ITで問題解決」屋さんだからこそ、「問題になる前の予防・社会投資」に目を向けて、自分達で公共をつくっていこうという意思は持ちたい。微力・無力であっても、その祈りはどこかで行動にできると信じている。

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