見出し画像

今週読み聞かせた本たち〜がまくんとかえるくんなどなどなど

イギリスでは、3月4日がワールドブックデー。今週は子どもたちの読書週間だった。学校から、毎日、読書チャレンジの課題が出されて、娘たちは意気揚々と、いろんなタスクに挑戦している。このイベントにあやかって、この2週間、我が家でも読書を楽しむ日々を送っていた。

日本語の本の読み聞かせってイイね

娘たちはイギリスの現地校に通い、英語で授業を受けている。読み、書き、会話ほとんどが、英語という生活。日本語を使う場面といえば、私との会話、日本語の宿題、土曜日の日本語補修校だけだ。もちろん、英語の方が断然得意である。もっと、日本語に関わらせてあげたいなと思いつつ、私も日々、仕事と家事で疲れはてていて、日本語の本の読み聞かせは、優先順位がかなり下の方に追いやられていた。それでも、今週は、ワールドブックデーに後押しされ、娘たちが寝る前のベットタイムに、毎晩日本語の本を読み聞かせた。

娘たちが「これ読んで。」と本棚から引っ張り出してきた本を夜毎読んであげる。こんな簡単で、娘たちが喜ぶことをなぜ、最近辞めていたのだろう。娘たちが、思いのほか楽しんでいるし、本を通して日本語の会話も弾む。日本語補修校の授業に難しさを感じ始めて、日本語に苦手意識がつきそうな娘たちにとって、日本語を楽しむヒントが読み聞かせにあった。

▼今週読み聞かせた本たち

画像3

種を超えた友情はあるのか?
きむらゆういち=作、あべ弘士=絵「あらしのよるに」

娘たちがまず、「読んでほしい」と持ってきた本が、きむらゆういち作「あらしのよるに」。この本は、以前日本に帰国た際、実家の近くの図書館で開催された、あべ弘士さんのイベントで購入したもの。娘たちが、あべさんの絵本が好きなので、参加した時、本にサインまでしてもらった。娘たちは、なんだかとても喜んで、この本をとても大切にしている。また、あべさんは、北海道旭川市の旭山動物園で飼育係をしていた経験があるので、動物の知識が豊富。このイベントの時もいろいろな動物の話をしてくれたのが、娘たちの印象に残っているので、この本は特別な存在なのだ。

この本は、あらしのよるに出会った、ヤギとオオカミのストーリー。「種を超えた友情はあるのか?あればイイな。」と思いながら、ハマってしまう。ただ、イギリスの動物学者デービッド・アッテンボローのネイチャー番組を毎晩見ている娘たちは、妙に現実的。「ヤギとオオカミは絶対に友だちにはなれない」と結論づけている。

画像1

がまくんとかえるくんのほっこり世界
アー
ノルド・ローベル作「ふたりはいつも」

がまくんとかえるくんのストーリーは、どれも面白くて娘たちは大好き。それに、国語で習った「手紙」の音読劇をしたこともあるから、二人にとって、がまくんとかえるくんはとても馴染み深い作品なのである。一冊に何作か入っていて、一つのストーリーが短いから、ベットタイムストーリーに最適。

いつも優しいかえるくんとちょっとドジながまくんの何気ないやりとり。そして大げさじゃない友情が、読んでいてほっこりする。「ふたりはいつも」に入っている作品で娘たちが好きなのは、「アイスクリーム」。「ふたりはともだち」に入っている作品で娘たちが好きなのは「おはなし」。

「ふたりはともだち」に集録されている「手紙」に、かえるくんががまくんに書いた手紙が出てくる。

英語の原文がこれ。

‘Dear Toad, I am glad that you are my best friend. Frog.

三木卓さんは、これをこう訳している。

親愛なる がまがえるくん。ぼくは きみが ぼくの 親友で ある ことを うれしく おもっています。きみの 親友、かえる

娘たちがこの作品を国語で習った時、「ぼく」「きみ」が多すぎてちょっとくどいと言った。それで、原文を見てみたのである。私は、三木卓さんの柔らかい言い回しが大好きで、がまくんとかえるくんの世界観にとてもあっていると思うのだが、娘たちの感性も否定はしないでおく。以下が、娘たちの訳。

がまくんへ ともだちでいてくれてうれしいよ。かえる

画像2

便利さの代償として失ったもの
バージニア・リー・バートン作「ちいさいおうち」

田舎に建てられた「ちいさいおうち」。開発が進み、馬車から車に代わり、道路、鉄道、地下鉄ができて、ビルがどんどん増えていく中で、「ちいさいおうち」だけは、そこに居続けて変化を見つめる。

娘たちは、どんなところに暮らしたいかと話し始めた。「都会は嫌だ」と次女。「都会はいろいろあって便利で楽しそう」と長女。私は、暖かい海辺の田舎街で、犬と猫と暮らしたい。

便利さの代償として、失ってしまったものがあるということを今更ながらに実感できる本。自分の人生には、何が大切なのかを今一度考えさせられる。

ポップなストーリーでも、おもしろおかしい雰囲気でもないこの本を娘たちが好きなのが印象深い。

画像4

娘たちがティーンエイジャーにでもなったら、もう「本を読んでほしい」と、せがまれることもなくなるだろう。疲れた一日の最後に力を振り絞ってまですることか?とも思うし、本を読んであげられるのもあと数年!とも思うし。結論としては、拒否されるその日まで、自分ができる範囲で、日本語の本を読み聞かせてあげる時間を大切にしたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?