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娘たちが他人に優しかった件

イギリスではマスクは義務。3万円の罰金も

イギリスでは、新型コロナ感染拡大防止のため、公共の場所でのマスクの着用が義務付けされている。ワクチンの接種が進んでいるが、いまだにこの規制は解除されていない。マスク無しでスーパーには入れないし、200ポンド(3万円)の罰金が課される場合もある。

マスクを下さいと言われて

娘たちと散歩の途中、ショップの近くを歩いていたら、マスクもしていないホームレス風の中年男性に「Excuse me,madam」と声をかけられた。私は、ソーシャルディスタンスの規制がある中で「近づいて話しかけてくることはルール違反じゃないか?」と気が気ではなかったので、無視しようとして、一度は通り過ぎた。ただ、礼儀正しい娘たち、人を無視するなんて選択肢はない。私も、そのように育てたのだろう。という事で、話しを聞くと、「買い物に行きたいけど、マスクのストラップが壊れたので、スペアがあればいただけませんか?」という事だった。

私の汚れた心は瞬時に「買いたくないから、いつも誰かからもらっているのかもしれない。スペアはありませんと言ってかわしたい」と思った。ただ、娘たちの反応は全然違う。「お母さんのバックの中に、スペアのマスクがありますように」と手を合わせて祈りながら、私の動向を見守っている。誰かを助けたいという気持ちで二人の心はいっぱいだった。私が、ガサゴソかばんの中を探り、スペアを見つけた時の、娘たちの喜びようは、まるで天使のようだった。その男性にマスクを渡すと、とても丁寧にお礼をされた。男性と別れた後も「人助けできてよかったねー」と二人で話す様子を見て、私は自分の濁った心を見透かされたくなくて、一緒に喜んでいた。

今まで、騙されたり、ずるい人を見てきた経験があるからだろうか。男性の外見のみすぼらしさに偏見を抱いてしまったからだろうか。娘の純粋な「どんな人でも困っていたらその人を助けたい」という気持ちを見ていて、自分が取ろうとした無礼な対応を反省する気持ちになった。娘たちから教えてもらうことが、たくさんあるなぁと実感する今日この頃である。

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