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愛称

私は自然に任せて瞼を閉じた。

別に悪い事をしている訳じゃない…。

彼の唇と同時に動く右腕。

優しくない、少し乱暴で温かかった。

「…あ。」

思わず声が漏れてしまった事が恥ずかしくて力が入った。

彼は淡々と私の気持ちを動かした。

あれ?
別に気持ち良くない。

「あの…!!」

「どうした?」

「相性良くないかも…」

私は彼に何を求めていたのか
不意に出る本音。

彼は悲しそうな表情浮かべ
「緊張してるね、ごめん。今日はやめとくね?」

…。

少し気まずい空気が漂う真夏の真夜中。

重ねあった2人の身体から汗が滲む。

初めて彼と触れ合った夜。

抱き合って朝を迎えた。

彼は私を包み込むようにぎゅっと抱き寄せて寝てくれたんだ。

そして必ず私が寝るのを待った。
彼が私より先に寝る事は無かった。

私の中で彼の存在が大きくなっていくのが分かった。


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