【不定期雑記 #19】サンタ小説覚書き🎄
よく来たのう。儂は透々実生じゃ。
……えー、この口調で続けるのは骨が折れるのでこのくらいにしときます。
さて、本記事は私の作品の覚書きみたいなものです。タイトルは『サンタ・クライシス! ~哀転望のサンタクロース~』。まあ、タイトルから分かる通りトンチキなお話です。楽しかったのでほぼ自己満足のために書こうと思います。
作品はこちら↓
前説(動機と経緯)。
パルプアドカレという企画、面白そうじゃあないか。
ぶっちゃけ動機なんてそんなものでした。まあいつも通りですね。こういうノリと勢いで生きている人間なので参加動機はそんなもんです。
で、どんな作品を投げるか、という話になる訳ですが、実は全く違う話を投げるつもりでした。大体大筋はこんな感じ。
キャラクターの掘り下げもある程度行いました。プロットもここから組み始めるところ。しかし、企画の概要が公開され、その中の一文を目にすることに。
……よーし、変えるか!
という事で、ほとんど推敲することなく勢いで逆噴射プラクティスとして書いた『サンタ・クライシス!』(800字版)が割と評判が良かったので、そのまま書き進めることにしました。
さて、これから勝手な語りを始めますが、ぶっちゃけネタバレも含むのでお読みでない方はまず本編をどうぞ。
本文(覚書き)。
書いた時に考えたこととか、どうでもいいことまで含めて書いていこうと思います。この辺はマジで雑談的なので、お時間ある方向け。別にお時間ない方は読み飛ばして頂いて構いません(本当に)。
・タイトル
「サンタクロース」の「クロース」に似た語感の言葉として、「取り敢えず異能で戦いまくる訳だし……災害でいいんじゃね?」のノリで決めました。この小説はほとんどがノリと勢いで出来ています。
・「聖ニコラウスが身売りされそうになった~」云々
まことしやかな一説。実際サンタクロースの元ネタと言われるのがこの話です。これを「いや違うだろ」と最初に一蹴しちゃいました。サンタクロースの解釈は私が決める(何)。
・「国毎に何匹飼っているかは~」
サンタクロース、まさかの匹カウント。ぶっちゃけ「面白そうだから」が先行しましたが、「人間とは異質の存在、というより手先として扱う道具のようなものと人間がみなしたもの」という意味合いですかね。「~つ」としても良かったですが、流石に生物なので「匹」で。「人」じゃない辺り、ここに出てくる人間達の性格の悪さが――。
・「サンタクロースが不足するという不測の事態」
ここでも現れていますが、兎に角今回は同音異義語やルビ振りでの言葉遊びをしまくりました。要は自分の趣味全開です。
・「その行方は、誰も知らない。」
『羅生門』のアレをオマージュした文。最終的には本当にどこに行ったか分からないので、「終:残火。」の章ではサンタのその後については人間視点では一切描かれません。ちなみに私(作者)も知りません。きっと聖地で汗水たらして農耕牧畜をしているに違いない……。
・時速4,000km
人間がこの速度を生身で受けたら死ぬんじゃないでしょうか(実際の所どうなのか……)。なお、ユーラシア大陸のヨーロッパ(英仏辺り)から北米大陸東海岸(ニューヨーク)が距離にして5,000kmなので、およそ1時間と少しで着く計算です(但し空気抵抗は無視するものとする)。
・「体を爆発四散させる」
サヨナラ!
・謎の黒い微粒子
遂に正体が描かれることはありませんでしたが、サンタの力の源、聖粒子です(名前がアレなので本編に出さなかったとも言える)。マチスは並のサンタより極端に多い量の聖粒子を扱い、大量のモノを一度に産み出したり、殆ど時間を置かずに連続で物質生成したりが出来ます。なお、人間界にも満ちているが、人間には扱えないという設定です。
・哀転望
今作の二つ名は、全員クリスマスに何かしら関係のあるものをもじっています。以下一覧。
●マチス・スタライト:哀転望(あわてんぼうのサンタクロース)
●キャロル・アイスケーク:製歌体(聖歌隊)
●ディアロ・ホワイトクライスト:贈利者(贈り物、プレゼント)
●ノエル・パウダースノー:総否人(スノーマン、雪だるま)
●キングス・ノワル:制飾者(聖職者)
また、各人の名前も、クリスマスにちなんでいます。ファミリーネームの部分は上から「スターライト(ダビデの星の光)」、「アイスケーキ(31のアレ美味しいんですよね)」、「ホワイトクリスマス(クリスマスは「Christ」の部分まで)」、「粉雪」、「黒(ノワール。夜のイメージから)」。ファーストネーム部分も実はそれぞれもじってますが、そこは皆さまの推理力にお任せします。
・「拳に付着する新鮮なサンタの血」
元々日本刀を持ってました、キャロル。何なら他のサンタを殺していました。しかし、サンタを殺す動機が彼女には無いなと思ったので、刀も下げてもらい、殴って気絶させるという行動を取ってもらいました。
・『かね』
キャロルはカタカナ語が苦手で、また人間界の言葉に馴染みがありません。なので、サンタの世界にない言葉は全てひらがな表記になります。マチスも作中突っ込んでますが、コイツ人間界に馴染む気あるのか??
・『ロンドン橋落ちる』
有名なマザーグースにして、最も謎の多い歌とされています。何せ、最終文の「My fair lady!」が何を指しているか分からないからです。無論幾つか説はありますが……。ここでは有名な「どうしましょう!」という訳語をチョイスしました。
・"尊い"王
欧米圏でよく見られる括弧書き。両手の人差し指と中指だけを出して少し丸め、顔の横に持って来るポーズがありますが、アレです。欧米圏では「Air quotes」と言いまして、引用だけでなく皮肉の意味もあります。今回は当然後者の意味です。
・「貧民街の一区画」
実際に行ったことがありますが、「此処、本当にニューヨークの中にあるのか?」ってくらい様変わりしていました。マンションは窓が無いですし(どうせ割れるから。銃とかで……)、ゴミ袋はあちこち散らかっていますし、明らかに生活層がガラリと変わります。昔は大分治安が悪かったそうですが、今は少し落ち着いているようです。とは言え、あそこはむやみやたらに足を踏み入れるべきではないと思います。まあ、日本で言うと大阪の西成区みたいなものですね。
・「100ドル紙幣を雑にテーブルに置いた」
日本に住んでいると、チップという文化が無いのでこういう描写を忘れそうになります。推敲中に気づいて入れて、文字数を超過して「ああ!?」と一人でてんやわんやしてました。
・「注文は~」
こちらに書いたメニューですが、実在するレストランのメニューを検索して、そこから幾つか採用しています。お店の名前は「Keens Steakhouse」。割と名の知れた高級ステーキ屋さんです。
なお、ポーターハウスステーキは大型のTボーンステーキ。文字通りT字の骨の両端にサーロインとヒレのくっ付いた高級ステーキです(この中で特にヒレの割合が3分の1以上のものを「ポーターハウスステーキ」という)。また、農務省が認定したものは更に価値がついて高級化します(これが「プライム」)。食べてみたいですね……。
・『十の契約』
元ネタは「モーゼの十戒」。実は結構な割合をその十戒に寄せていますが、違和感のないように結構いじりました。お時間ある方は見比べてみてはいかがでしょうか。
なお、やっぱり言葉遊び全開で、『五相互三制二認定』は語感的によくできたなと思います。ちなみに「禁制」と「認定」も韻を踏んでますし、相互については4つが「不」ですが、残り1つも「扶」と音だけは同じにしています。
・「瞳が青色に統一されていた」
『あかいくつ』の歌の力によるもの。原曲には次のような歌詞があり、それにちなんだものになっています。
・プッチーニ『トゥーランドット』のアリア
実はこのサンタ小説を書いている時に同居人と会話をしていて、その時に聞かせてもらったオペラです。「あ、これ使えるじゃん!!」と採用しました(訳は著作権に引っ掛かりそうなので自分で訳しました。ラテン語系の言語は幾つか触れたことがあるので、言語を知らなくても何となく構文や単語の意味は推測できます)。
何度でも言いますが、この小説はノリと勢いでできています。
・「『I ♡ NY』とプリントされた半袖シャツ」
アレ着た人、私は人生で見たことないんですが、いらっしゃるんですかね?
ちなみにディアロは人間界のモノが幾つか気に入ったようで、「お土産」として幾つか聖地に持ち帰ったそうです。キャロルちゃん以上にディアロの方が人間界に順応しそう。
・ノエル・パウダースノー
コイツ出したら面白そうだったんですけどね~。実は今作で1,2を争うレベルで私が好きなキャラ。文字数の関係でセリフだけのご登場となりました。無念。
・『ハンプティ・ダンプティ』
これもマザーグース。「ハンプティ・ダンプティ」自体が何を指しているのかは諸説あり、戦争時の武器(大砲とか)が良く挙げられます。調べれば調べるほど沢山の解釈が出てきて、歌の解釈は本当に自由だなあと思うなど。キャロルの能力はそう言った実感が下地になっています。牽強付会が多少あるのもそのためだったり。
・サンタクロース
「終:残火。」で出て来たサンタクロース。果たしてその正体は誰でしょうね?
この終わり方は、割と序盤で決めていました。クリスマスらしく、後味爽やかに行きたいので。
未来へ。
ということで、覚書きでした。この作品書いている時の私の頭の中が大体こんな感じです。今回はマジのノリと勢い。逆噴射小説大賞で頭をあれだけ使ったので描写は割と気を遣うようになりましたが、それよりかは今回「書いてて楽しい」を先行させた感があります。このバランスは非常に難しいですね……。うまく両立させたいものです。
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