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透々実生
2023年7月24日 14:37
Prev.↓Sequence 7:Crows' Claws. 生存の存続という点で、隣人は敵になり得る。 狩猟採集を行なっていた時代は村同士が啀み合ったし、その村が巨大化して都市国家、ひいては国民国家となってもそうだった。反対に、その国家の中の小集団や個人にフォーカスしても、小競り合いや争いは繰り広げられている――自らの快適な生存を実現する為に。 それはこの、下層においても同じ事だった。
2022年12月15日 00:40
Prev.↓Sequence 5. H.S.R.***「いいにおい!」 幼い絡生は、中層に建てられた家屋(規格は平等であり、勝手な拡大も縮小も認められなかった)の階段を降りた。バターと卵の焼ける甘い匂いが強まり、起き抜けの空腹を刺激する。「あら、おはよマトちゃん。もう少しで朝ご飯出来るからね」「うん! おかーさんのたまごやき、だいすきっ!」「あらあら、よく分かったわね、マトちゃん。
2022年8月29日 23:57
Prev↓Sequence 2. VS "Gun"tleman. 地面を蹴り疾駆する絡生は右手の第二関節を折り曲げ、ばきり、と殺意を音に乗せる。対するフィラロは避ける動作も取らずその場で発砲。報炉の頬を、弾丸が掠める。 雑に狙って外したと思ったのか、報炉は走りながら嘲笑する。「ぎゃはははははっ! おいおいおいおい、銃の扱いが初心者過ぎるぜ! 俺が逆に教育してやろうかァ!?」 安っぽい挑発
2022年8月9日 00:02
Sequence 1. Worst Buddy.「げ、えっ……!」 少女絡生の喉からゲロが落ちる。朝に食べた不衛生なパンの欠片が点々とするそれは、廃墟に行手を阻まれたスラムの路地裏を更に汚していく。 彼女の横には、アタッシュケースを持つトレンチコート姿の男2人。彼らは自身の首筋に刺さった記憶端子を抜いた。一瞬、非人間的な接続口が見えるが、すぐに肌色の蓋で閉じられる。「下層のゴミが」 男は唾