⑲記憶に刻まれたノスタルジア(のんのんびより 感想)
だんだん春の陽気に近づきつつある今日この頃、実家近所の梅の花も咲き始め窓を開ければ良い香りがする季節になってきました。
大学の卒業も決まり卒業式と下宿の退去の為に埼玉に戻るまで、実家でほぼニートみたいな生活を送っています。
時間はあれど何かする気力はなく、ずっとSNSを眺めるかゲームをするか漫画やアニメを見るかしかやることがありません。
新しいアニメも見つつ昔見たものを色々見直したりしているのですが、その中でも「やっぱり好きだなぁ」と思うのが「のんのんびより」(作:あっと)
2021年より放送開始のアニメ3期「のんのんびより のんすとっぷ」
2009年から現在まで「月刊コミックアライブ」にて漫画が連載(2021年2月27日発売の4月号で最終回予定)、2013年にはアニメ1期が放送され2021年現在3期、2018年には劇場版も公開された人気シリーズです。
どんなストーリーかと言えば、
自然豊かな田舎町で楽しく暮らす子どもたちの日常を眺めるだけ
全校生徒5人の分校で勉強したり
近くの森や原っぱへ遊びに行ったり
駄菓子屋でお菓子を買いに行ったり
春にはお花見をしたり
夏には水遊びや虫取りをしたり
秋には木の実を集めに行ったり
冬には雪で遊んでこたつであったまり
たまに電車に乗って隣町へ買い物に出かけたり
手に汗握るバトルや仲間との熱い冒険の物語なんてものはなく、時間がのんびり過ぎてゆく自然豊かな田舎で、町では数少ない学年はバラバラだけど仲の良い子どもたちが送る日常を眺めるだけの”脱力系田舎ライフコメディ”
本当にこれだけです。
メインキャラクターの4人
左から、遊びが大好きな越谷夏海(中1)、低身長が悩みの越谷小鞠(中2)、
東京からの転校生 一条蛍(小5)、好奇心と独特な感性を持つ宮内れんげ(小1)
人気の理由にはキャラクターが可愛い、ストーリーやギャグが面白い、と色々あるとは思いますが、私がこの作品を好きな理由の一つに「懐かしさ」があります。
いろいろ言うより見てもらった方が早いので、いくつかアニメの場面を見ていただきましょう。
車が通った跡のある野道
自然の中に点在する家々
車の通りが全くなさそうな道路
だだっ広い田畑
私の好きな「懐かしさ」をお分かりいただけましたでしょうか。
風景についてはアニメの川面真也監督曰く、
「コンクリートや電柱、電線といった人工物と自然が混在し、その割合がやや自然よりになるようにしてもらってます。
緑しかない背景は避けて、必ずどこかに人工物を入れるようにしました。
人の手が入っているというのが大事で、こうすることでいつかどこかで見た風景になるんじゃないかなと。」
(『のんのんびより 8.5 公式ガイドブック』より引用)
まさにこれなんです。自然だけでは懐かしさを感じないのです。
私の暮らす町は東京などの都会に比べれば田舎ではありますが、ここまでど田舎ではありません。
けれどもどこかでこんな風景を見たことがある。
土地の名前も知らないどこかで見た気がする。
自然を全く見たことないという人はほとんどいないと思います。
みんなどこかでこんな風景を見ているはず
親戚の家か、旅行先か、どこかへ行く途中の車や電車の中か、
実際に行ったか、通りかかったか、見かけただけかは分かりませんが、どこかで目にしているとは思うのです。
また自然の中で遊ぶ子どもたちの姿から、余計なことを気にせず楽しく過ごした子ども時代の記憶も一緒に蘇るでしょう。
夕方まで外で遊んだり
冒険感覚でちょっと遠くまで出かけてみたり
意味もなく木の枝や石ころ、草花を拾ってみたり
学校で鉛筆や定規で遊んだり
給食のカレーが楽しみだったり
その記憶を呼び覚ましてくれるきっかけの一つが「のんのんびより」
どこかで見た風景と子ども時代、二つの記憶が、実際に体験したわけではないのに「のんのんびより」に対して「懐かしさ」を感じさせるのではないでしょうか。
本編の中では田舎生活の不便さも描かれています。
町からイ◯ン的なショッピングセンターまで40kmもあったり
携帯の電波が届かなかったり
電車やバスが数時間に1本しかなかったり
実際にあのような土地で暮らすとなると不便なことが多くて嫌になりそうな気はしますが、それでも「のんのんびより」を面白い、楽しいと思えるのはストーリーやキャラクターに魅力があるからだと思います。
田舎生活の良さも不便さも全部ひっくるめて楽しめる本当に素晴らしい作品
それが「のんのんびより」
昨今の諸々によって気晴らしも簡単に出来ない今だからこそ、家でリラックスして田舎のゆるさを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
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