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CES 2023にみるフードテックの新潮流。今インストールすべき視点とは?[foodtech EYES ♯55]

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世界最大規模のテクノロジー展示会「CES 2023」が2023年1月に米国ラスベガスで開催されました。フードテックが公式カテゴリーに加わって2年目となる今回は、100社を超える展示が会場を賑わせていました。今回のCESの特徴を1つ挙げるならば、ここ数年注目されていた「サスティナビリティ(持続可能性)」が戦略のコアとして位置づけられ、商品体験まで昇華されていた点です。この動向は今後日本でどのように浸透していくのか、引き続き注目していきたいと思います。
今回は、CES 2023にみる最新のフードテックトレンドをベースに、Must-Readの記事や注目イベントなどをご紹介していきます。

シグマクシス住朋享と岡田亜希子によるCES 2023のイベントレポート記事は こちらCESで発見、フードテック注目11社 「時短&便利」脱却で新境地

CES 2023の展示会場でシグマクシスメンバーが数えたフードテック関連企業一覧

パーソナライゼーションは人を幸せにできるのか?

CES 2023で目をひいたのは、デジタルヘルス領域の展示企業の多さでした。血糖値や尿、腸内細菌など、自分の身体の状態がリアルタイムで計測できる日が近いことを感じます。リアルタイムで身体のデータが分かると、欲しくなるのは、食べるべきもの、飲むべきものについてのアドバイスです。食の選択を最適化するパーソナライゼーションは一層トレンド化し、一般化していくことでしょう。では、その「食のパーソナライゼーション」が進んだ未来はどうなるのでしょうか。"食のパーソナライゼーション"によって、人々のウェルビーイングを高めるにはどうすればよいのでしょうか?
そのような問いをたずさえて、『WIRED』日本版との共催ウェビナーシリーズ「フードイノベーションの未来像 食のパーソナライゼーション編(全6回)」を2022年4月に開始。これまでに、以下の5名の研究者と議論を交わしてきました。

●宮田裕章(データサイエンス/慶應義塾大学医学部教授): Web3は食のパーソナライゼーションを加速するか?
●小川さやか(文化人類学/立命館大学先端総合学術研究科教授): 分散化する「わたし」は何を食べるのか?~文化人類学から見た食のパーソナライゼーション
●稲谷龍彦(法学/京都大学大学院法学研究科教授): 自由意志を疑う~食べたいものを決めているのは誰(何)?
●ドミニク・チェン(情報学・ウェルビーイング研究/早稲田大学文学学術院教授): We-Modeと食~「わたしたち」は何を味わっているのか?
●稲見昌彦 (身体情報学/東京大学 総長特任補佐・先端科学技術研究センター教授) : Quantified Selfと食~デジタルツインが拡張する食のパーソナライゼーション ※後日記事公開予定

3/24(金)開催の 第6弾は総括回
「食のパーソナライゼーション」を再定義していく

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Well-being×テクノロジーの出現。
食×Well-beingについて見つめなおす

CES 2023では、睡眠状態の分析、睡眠の改善を目指すデバイスやサービス(スリープテック)をはじめ「社会的孤立の解消」を目的に創られたケア楽器「Crdl」が注目を集めるなど、「Well-being」実現に向けたプロダクトが数多く発表されていました。国内でも、料理や食材を柔らかくするギフモの調理家電「デリソフター」が、病気や障がいなどにより、噛む力や飲み込む力が低下してしまった人と、介護をする家族の想いに寄り添う「ケア家電」として注目を集めています。
これから一層加速していく「フードテック×Well-being」の市場。私たちはどのように捉え、体験を提案していくべきでしょうか。

シグマクシスでは2019年から生活者調査「Food for Well-being Survey」(初年度は日本、米国、イタリアの3か国、翌2020年にはアジア3か国を加え6か国を対象に調査を行い、その後も定点観測)を実施し、この問いへのヒントになりうる面白いシグナルも浮かび上がってきています。
私たちのnoteではこの調査について、シリーズ形式で解説していますので、ぜひこの機会にご覧ください。

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「Human Security for All」をテーマに掲げたCES 2023。安定的な食糧生産のために

CES 2023を主催するCTAのプレジデント&CEOであるゲイリー・シャピロは、初日の講演で、国連の支援するヒューマンセキュリティの団体「世界芸術科学アカデミー」(World Academy of Art and Science:WAAS)とCES 2023がパートナーシップを結び、世界芸術アカデミーの推進する「Human Security for All」(HS4A)キャンペーンを強力に支援していくことを表明しました。そこでは

「このキャンペーンはテクノロジーが世界をより良くするために何ができるかに焦点を当てています。目標はテクノロジーを使って物事を楽しく便利にするだけではなく、食糧や水の安全保障、気候変動、エネルギーさらには医療や人権・ダイバーシティに至るまで、地球規模の問題に対処することです」

とし、CES 2023はHuman Security for Allをイベントの一気通貫したテーマとして掲げました。
Human Security for Allの要素として食品安全保障(フードセキュリティ)は重要です。米国では大手農機具メーカーのJohn DeereがAIを活用した精密農業、自動運転トラクターなど、生産性向上の技術を発表していた一方で、日本では循環型農業モデルの構築を目指す動きが出てきています。

巨大ながら精緻な種まきと肥料散布が可能なJohn Deereの自動運転トラクター

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※CES 2023に関する参考文献

「人間の安全保障」が一大テーマに、CES 2023が示す世界のテックトレンド
在宅医療とウェルビーイングが台頭 CES2023に見るトレンド



*SKS JAPAN Community NEWS*
みなさまに耳寄りなフードテックに関する情報やSKS JAPANコミュニティの取り組みをご紹介します。

地域づくりのプレーヤーが秋田県男鹿に集結!3/13(月)に「わたまちサミット」開催!

SKS JAPAN 2022にも登壇し、男鹿の未来をつくる「男鹿酒シティ構想」を掲げる「稲とアガベ」代表・岡住修兵氏が推進する「わたしたちのまちづくりサミット-BEYOND LOCAL-(略:わたまちサミット)」が3月に開催されます。「わたまちサミット」では、”世界があこがれる九州をつくる”村岡浩司氏他、全国で地域づくりを推進するプレーヤーが男鹿に集結し、これからの街づくりについてディスカッションを行います。シグマクシスが取り組む「めぐるめくプロジェクト」が本イベントに協力しています。先着チケットとなりますので、ご興味のある方はぜひお申込みを!

SKS JAPANとJMAのコラボレーション企画
循環型 食・農・みどりシステムEXPO開催
3月8日特別講演会「フードテックで紐解く日本の可能性」(FOODEX JAPAN2023関連企画)

1年後の2024年3月に日本能率協会が食産業の持続的な発展と地域活性化を促進する新たな展示会「循環型 食・農・みどりシステムEXPO」を開催することに先立ち、2023年3月のFOODEX JAPAN 2023にて特別講演会が開催されることとなりました。 シグマクシスは3月8日(水)の特別講演会に登壇いたします
世界中で食料価格の高騰や環境問題、脆弱なフードシステムに対する危機感が高まり、AIを活用した代替プロテインなどの新食材開発、調理工程のデジタル化、ロボティクス技術が大きく注目を集めています。一方、Z世代に代表されるように生活者が食に求める価値の多様化も同時に加速し、食のパーソナライゼーションや、Food for Well-beingというトレンドも要注目です。
本セッションではフードテックの全体像や今年注目すべき最新動向をお伝えする他、パネリストと共に、日本のフードシステムの課題や方向性、活かすべき日本の強みなどについて議論します。また、セミナーの後には、パネリストとのネットワーキングも予定しています。


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