エシカルはものさしの一つ
高校生の時。
環境問題を中心とした国際的な社会課題について学ぶ授業があった。確か「グローバル人材を育てる」のが目的の授業だったので、グローバル人材に必要とされる考え方やスキルについても勉強した。
それまでは気候変動等を知っていたものの、特に関心があったわけでもなかったし行動しようとも思っていなかったと思う。しても節電くらい。
でもこの授業が私に決定的な変化をもたらした。
最も影響力が大きかったのはフィールドワーク。
現地にて五感を通じて生の情報を得られる貴重な機会だった。
国内のバイオマスタウンから始まり、とある国際機構の日本支部や駐日外国公館にお伺いした。翌年は海を超えて環境先進国のドイツ・オーストリアへ。
環境に配慮したライフスタイルや取り組み・政策、環境教育等々、初めて知る世界ばかり。
知れば知るほど、現状に危機感を覚えるようになっていった。
そして気がついた。
ああ、私は便利な暮らしを手放すのが嫌なんだ。
現実を知らなければ後ろめたさを感じることもなく便利な暮らしを続けていける。
でも本当にそうだろうか?
「知らない」で済まされる時代は直に終わるだろう。
知ろうとしないのは目を背けているだけ。逃げているだけ。
日本でのうのうと暮らしている間に他の国にはこんなにも持続可能な社会の創造のために行動を起こしている人がいる。取り組みがなされている。
自分が知らなかっただけで、国内にも沢山活動に取り組んでいる人がいる。
果たして自分はこのままでいいのだろうか?
ちょうどこの頃くらいから大学の学部選びをするようになった。
次第に「社会課題に限らず、グローバル化に伴い多くの問題は多角的な視野から見てアプローチを考える必要が出てくる。幅広い視野から課題を発見・解決できるようになりたい。」と考えた私は今の学部に進学することにした。
社会課題に限らず、と考えたものの、やっぱり自分が興味のある分野は社会課題らしい。ゼミでもそういった分野の課題を解決するための学びを深めている。
別にエシカルやSDGsは綺麗事なんかじゃないと思う。
意識高い系でもない。
皆さんはどんな基準でものを買うだろうか。
安いから、デザインが良いから、機能的だから、
といったものさしがあるように、
途上国の生産者の生計向上に繋がるから、自然に還る素材だから、地域活性化に繋がるからというものさしも存在する。
こんなにネットは普及しているのに欲しい情報は中々入手できない。
例えば服だって、どんな生産環境でどんな人が作ってくれたものなのかなんて知る由もない。
「ラナプラザの悲劇」の影響でサプライチェーンの透明性に対する意識は高まったけれど、生産に関する情報が100%入手できるわけではない。マイナスの情報を公開すれば買う人が減ってしまうしボイコットだって起きるだろう。
とはいえ、私も安さ・品質・ブランド等でものを買うときもある。
完璧にエシカルなライフスタイルを送っている人がいるというのならぜひ教えて欲しい。きっと到底無理だ。
エシカルはものさしの一つであって、その場に応じて使うかどうか自分のライフスタイルに合わせればいいのだと思う。
スーパーに行けばほとんどのものがプラスチックの何かで包装されているし、肉が食べたいことだってある。でもたまには、環境のことを考えて肉じゃなくて大豆ミートを選んでみたり、地産地消につながるような野菜を買ってみたり、パタゴニア等のエシカルなブランドで服を買ってみたり。
毎回じゃなくて、柔軟にものさしを変えて、もの・サービスを選択すればいいのだと思う。
エシカル・SDGsといった言葉はとっつきにくいかもしれないけれど、要するに環境や社会、人にちょっといいものを選ぼうだとか、動物実験していないブランドにしようだとか、被災地のものを買って応援しよう、とかそういうことなのだ。
いろんな考え方の人がいるし強制するつもりは全くないのだけれど、たまにエシカルなものさしで買い物してみませんか。
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