しにたい消えたい日

3年前。毎日のようにしにたい、消えたいと考えるようになり前を向いて生きて行くために10年以上勤めた会社を辞めた。

会社を辞めた後は、半年ほど、いただいた退職金と失業保険でライブに行ったり、ロードバイクを買って乗ったりとそれなりに自分の時間を過ごした。
仕事を辞めるに至った、「恋愛もできない自分に嫌気がさしたから」という部分には目をつむり、形だけは充実していた。

ただ生きていくのにもお金はかかり、失業保険も期間が終わりに近づいたので、また働きはじめた。いつか自分にも好きになれる人が現れ、結婚やこどものことを考える時がくるはずと期待を込めながら。

短期の派遣をやった後、住宅営業の仕事についた。これが間違いの始まりだったのかもしれない。
売れなければ厳しい業界なのは想像していた通りなので特になんとも感じなかった。
お金を稼ぐために厳しい業界に入ったのだと。

お客様と向きあい入社から4ヶ月ほどで、ようやく1棟契約をすることができた。
これから何年も住むことになるお家を、僕を信頼して買ってくれる。必要とされているようで嬉しかった。もっといろいろなお客様に信頼してもらえるように頑張ろうと思えた。

そんな時、祖母が亡くなった。
特段おばあちゃんっ子だったとかそういったことはなかったはずなのに、メンタルにきた。

キッカケはあったと今ならわかる。
住宅展示場にくる人たちは、揃ってキラキラしていた。家族で、夫婦で過ごすお家を計画されているのだから当たり前といえば当たり前だろう。皆一様に輝かしい未来を想像して、お家の計画をたてていた。

テーブルを隔てて打ち合わせをする自分は─────。

日に日に絶望感がまた顔を覗かせていた。

そんな日々のなか、夢を見た。過去恋愛するに至らなかった人たちがしてくれたアプローチを。

タクシーでキスされ、拒絶。

飲み会終わりに家に寄っていくかと聞かれ、眠いから帰ると答える僕。

朝顔を洗いながら、─────涙が止まらなくなった。

祖母が亡くなってから1ヶ月ほどで仕事を辞めた。

厳しい業界だからメンタルにきたのだと。そう思い込み、すぐに別の仕事を始めた。
今度は建設業だ。建設業といっても繁忙期以外は定時で帰ることのできると聞き、時間も住宅営業よりは余裕がありそうと考えた。

1年目は本当に仕事を覚えるだけとのことで建設の現場に入って、5時半には帰る。そんな日々を過ごした。

ただ順調に思えた日々も暗転し始める。
職場の人数が少ないこともあり、やたらとプライベートにも口を出された。
頼んでもないのに女の子を紹介する。
歳の近い先輩社員と比べ、結婚していないこと、子供もいないことについて話をされる。

もっと恋愛に積極的にならなきゃダメだ。
─────だから仕事にも必死さがない。

人生を否定された気がした。
人として否定をされた気がした。

メンタルがどん底に落ちるのは早かった。
しにたい、消えたいとまた考えた。

また履歴書に書く行が増えた。

それでもやっぱり後悔をしてしぬのだけは嫌だと休みながら思い、外に出て気分を変えれるタクシーの運転手をいまはやっている。

特に何もないはずだが、ふと今日もまたしにたい、消えたいと思った。

まだ頑張れるはずと思いこみたい。

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