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35歳、ひとり、吉野家で呑む


・いつの間にか始まっていたムーヴメント

「吉呑み」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
なんとなく知っている、全然知らないという方も多いだろう。
簡単に説明すると「吉野家を居酒屋使いできる」というまんまの意味である。
2階フロアがあるで夕方から夜のみ、居酒屋化して売上向上を図る企画だそう。
公式によると2013年から神田店で実証実験を開始。
翌年2014年から本格的に店舗展開を開始したという。
吉野家のメニューのみならず、グループ会社から調達しているであろう居酒屋の定番メニューも充実していた。
個人的に印象に残っているのは新型コロナウイルスが世間を本格的に騒がせる少し前だっただろうか。
大阪駅近くの飲み屋が集まるガード下、飲食店の時短営業が求められる中、「吉呑み」の提灯が掲げられた店舗は会社帰りのサラリーマンで溢れていた記憶が薄く残っている。
その情景は不謹慎にも人類を脅かす恐怖の中でも、なぜか昭和の活気が灯っているように見えた。

・思い出す思い

そんな流行病も今は昔。
街中には賑わいと観光客が戻りつつある。
そんな今こそ初吉呑みと洒落込もうじゃないの。
下調べのためインターネットを駆使して情報を収集する。
すると意外にも(?)2014年〜2016年あたりの記事が多い。
中にはyoutubeの動画などで2020年のものもあるが少数だ。
本格展開を開始したのがその辺りなので、当然といえば当然か。
当時のメニュー画像には玉子焼きや枝豆という文字が確認できる。
また別の年代の記事ではボトルキープができる、などという画期的なシステムもある様だ。
もちろん店舗は通常の吉野家なので立って飲む必要はない。
立って飲んでもいいのだろうが変態扱いされること請け合いである。
「いつか行ってみてぇ〜」という思いはあるのだが、いつでも行けると思ってしまうとなかなか行きたいという思いがなかなか思い出せないものだ。
思いがゲシュタルト崩壊しそう。

・吉呑みはどこへ消えた?


「今日はどこで飲もうか?」毎日訪れる永遠のテーマ。everyday eternal Thema。いや、英語はマジでわからん。

個人的にはなんの変哲もない平日に、どう飲むかが技量であり、結果未来を左右すると思っている。マジで?ヤバいやつじゃん。

飲む店はいつもの立ち飲み屋、はま寿司でもいいし、餃子の王将でもいい。
コンビニで冷食買うってのもシブいし、ほっともっとでテイクアウトなんか最高に大人である。
だがしかし、今回は一味違う。
昔年の思いが募った吉呑みを実行するのだ。
そうと決まれば話は早い。
業務を中断し就業中に最寄りの吉野家を探す。
インターネットはいつでも俺たちの味方だ。
吉野家の公式HPの検索ワードに「吉呑み営業」という項目まである。
なんと親切なことか。
項目にチェックを入れ検索する。
見間違いだろうか。はたまた極端にインターネットを使うのが下手なのだろうか。
もしかして味方だと思っていたインターネットは敵だった…?
探せど探せど大阪市内に吉飲み営業を継続している店舗は4店舗しか残されていないのだ。
「鶴橋駅前店」「北巽店」「ヴィアあべのウォーク店」「JR塚本駅店」
目を疑った。本格店舗展開中じゃないのか。
Wikipediaにも書いてたぞ。
しかし恨み言を言っていてもしょうがない。
とりあえず吉野家で枝豆と玉子焼きとビールをやってみたいんだよ!
ということで、残された店舗に向かうことにした。

・失われた文化。そして

写真は撮り忘れたので別の店舗だっちゅーの


外回りからの直帰ムーブをかまして北巽店にお邪魔。
思えば吉野家自体が数年ぶりである。
家の近所にはすき家しかないんだもん。
しかし元来、牛丼に関しては吉野家がナンバーワンだと思っており牛丼界のトップスターなのは間違いないだろう。
そんな吉野家で思いっきり飲んだるで!と、張り切って入店。

綺麗な木造りの内装、他のお客もまばらでテーブルでわいわいしている会社員。カウンターで1人飯している年配客。
その中でひとり呑んでやるぜ。
すいません!というと「ご注意はタッチパネルからお願いしまーす」ですって。ごめん。
確かに目の前にあるわ。

えーと、とりあえず枝豆とビールよね。
ビールはアサヒの中瓶、枝豆枝豆…と探すも一向に見当たらない。卵焼きもない。

セットとか唐揚げ単品とか

この辺のでも呑めるが、ただのセットとか追加おかずやん。アテとちゃうやん。
ギリあてになりそうな辛ネギやらタルタルソースはあるものの居酒屋メニューは皆無。
吉呑みはすでに終わっているサービスなのか…?と肩を落とす。
しかし入ってしまったからには呑んで帰りたい。
こんな状況でも共に戦ってくれるメンバーを集めよう。

・TOP of 無難 大賞受賞作品

瓶ビール(¥486)にお新香(¥140)、肉だく(牛小鉢)(¥195)を緊急招集。
牛丼のご飯がビールになっただけだよ!セットである。
超無難な選択肢に流れてしまった。
本当は豚肉皿にしてキムチとあえて豚キムをクリエイト!とかしたかったのだが店内の匂いにやられてしまった。
店内が牛丼のいい匂いしすぎてるんだよね。
しかしまずはお新香で呑む。


もちろん紅生姜と七味で化粧は忘れずに。
牛丼屋って紅生姜食べてなんぼですからね!なんぼあってもいいですからね!
やはり通常のお新香でも紅生姜を混ぜるとおつまみ力が一気に向上するな。
ポリとシャキが混ざった食感に白菜のフレッシュさと紅生姜の酸っぱさが気持ち良い。
すき家の紅生姜に比べて吉野家の紅生姜は、塩味と酸味が控え目な気がするのは気のせいだろうか。

ビールをゴクゴク飲んで牛小鉢へ。
「これこれ!この味、吉野家!」というキャッチコピーに偽りないキャッチコピーである。

おそらく皆さんは知らないと思うがこのキャッチコピーは、2023年上半期のBestキャッチコピー賞に選ばれたという最初から最後まで全て嘘で塗り固められた設定のキャッチコピーである。

もちろん味はグンバツなのだが、パーフェクトな小鉢具合で見事に物足りない。
ここに枝豆や卵焼きがればなぁ、昔の情報じゃハイボールもあったのになぁ。
公開しても後の祭り、So,after night party。英語わからんて。
残ったビールをすべて注ぎ入れ、牛肉と悔しさと共にグッと一気飲み干した。

・いつの間にか終わっていたムーヴメント


予想の斜め上を行く予想外具合で30分程度でお会計。
支払いの際女性店員に「吉呑みメニューって終わっちゃったんですか?」と聞くと「え?は?いや、わかりません。」との回答。
めちゃくちゃ変質者を見る目だった。
と、いうことで一店舗のみの調査ではあるが2023年11月時点では「吉呑みメニューはない」という結論が出た。
これに懲りず、あと大阪市内の3店舗の調査を継続しようと思う。
いつか吉野家で枝豆と玉子焼きを食べることを夢見て。

To Be Continued…

ギブミーお題。


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