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「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」 ー自分を気にかけすぎない生き方



皆さんは、大病を患ったことがありますか?

私はありません。

自分の残りの命が少ないかもしれない。

そんな風に考えたことも正直ありません。

平和ボケして毎日呑気に過ごし
多少の良い事も嫌なこともありつつ、でも平凡な日々が続いて。

そんな当たり前の毎日で、感謝する瞬間はそんなに無いかもしれません。

葬儀屋さんで働きはじめて、
「人の死」というものが、昔より身近になった気はします。

自分の周りの人も、遠くの誰かも、海を越えた言葉も文化も違う人も
健康に長生きしてほしい!!
とも強く思うようになりました。

だから健康増進の記事をたくさん書いているのです。

ただ、どんなに気を付けていても病気になる事もある。
そして、思った以上にその病気に苦しめられることも。

今回は、そんな方々が少しでも楽になって
自分らしい人生や生活を取り戻して貰えるような
そんな本を紹介いしようと思います!




「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」


皆さんは、この本を知っていますか?

「がん哲学外来」を発案した樋野興夫先生の著書です。

自分の寿命が尽きようとしても、
普段と同じように自分以外のものを気にかける
自分の寿命やその運命ではなく
自分自身がどう生きたのかが重要なんだ


そんな人の生き方に光を与えるような本です。

本の中では、数々の「言葉の処方箋」が載っていて、
がん哲学外来の患者さんたちに処方されたように
読み手にも言葉の薬になってくれます。

例えば「がん」と診断され、
職場で移動や解雇など、望まない対応をされたとき

例えば、病気により生活が不自由になって
今までできていた事ができなくなったとき


病気になった事で自分の人生、自分自身も変わってしまったと
希望を失ったり、苦しい日々を送る方々、

あるいは大きな病気ではなくても、精神的に落ち込んでいいたり
他者や過去の自分と比較して、劣等感や苦しい気持ちを抱える方々、

そんな方々の心が軽くなるような本です。



「がん哲学外来」ってなに?


前述した本の著者である樋野先生は、
病理医として長い間がん細胞の研究に携わってきた方です。

病理医という事は、つまり
「疾患の確定診断」を行う医師のこと。

患者さんやご遺体から採取した細胞や組織を調べて診断をしたり、
時にはご遺体を解剖もするお医者さんです。

そんな「人の死」を目の当たりにする機会の多い医師、樋野先生が2008年に立ち上げたのが「がん哲学外来」です。

病気を抱える方々は、
治療の不安はもちろん、家族や人間関係といった悩みまで
沢山の悩みや苦しみを抱えています。

そんなあらゆる心の痛みを受け止め、
病院と患者の間にある“すき間”を埋める対話の場が必要

そう考えた樋野先生は、がん哲学外来を開設されたそうです。

相談の料金は無料。
患者さんがリラックスしやすいように、
「ひま気な風貌」で、お茶を飲みながら
たっぷり時間をかけて気持ちを受け止める。

それが発案した「がん哲学外来」。

2008年に期間限定の「がん哲学外来」を試験的に開いたところ、
全国各地から患者さんが集まり、キャンセル待ち状態にまでなったそう。

「がん哲学外来」の目的は、
悩みの「解決」ではなく「解消」することにある

と考えている樋野先生は、
患者さんたちに薬ではなく「言葉の処方箋」を渡しているそうです。

人は「対話」によって慰められるという考えのもと、
患者さんたちの悩みを聞き、寄り添い、
時には沈黙の時間にさえ寄り添いながら、最後は言葉を処方する。

それで悩みそのものは消えずに残っても、
対話をすることで、患者さんの中で悩みの優先順位が下がれば、
悩みを問わなくなり「解消」することができる。

それには、自分以外に意識を向ける必要がある
だから対話が必要なんだと樋野先生は仰っています。



人と比べない生き方


人々の悩みの多くは、人と比較することから生まれる
と樋野先生は言います。

病気になってがん哲学外来を訪れた患者さんたちも、
他者や過去の自分と比較していることが多いそう。

でも、本当に病気になる前の自分や環境がベストだったのでしょうか?
病気になった今の自分もまた最高かもしれません。

「人と比較したり、競争するのをやめなさい。放っておけ」
そうすると、人は本当の自分の役割、使命を与えられるんですよ。
人と比較している間は、使命なんて見えてこないからね。

いまの自分自身がどうなのか、どう生きているのか。

比較ではなく、現在のありのままの自分で生きる。
という考え方は、以前書いた「マインドフルネス」と通じるものがある気がしますね。



自分自身の悩みや不安で頭をいっぱいにせず、
周りに目を向けて普通に生活をする。

他者や過去の自分と比較せず、ありのままの自分を受容し
執着する気持ちから解放される

これは、がんや病気に限らず、悩みを抱えているすべての方々に共通するストレスフリーな生き方なのかもしれません。

長くても短くても、残りの人生を多くの悩みや不安に振り回されるのか、
なるべくストレスフリーに周りに目を向けながら生きていくのか、
皆さんは、どちらの人生が良いでしょうか?

エンディングノートと同じように、
残りの人生に希望をくれるようなそんな本、
気になる方は一度手に取ってみてはいかがでしょうか。




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