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私の町の洋菓子店

毎月15日は夫から「あるもの」をもらう。

「ロマンチックな赤い薔薇……?」

もったいぶったけど全然違う。答えは普通に「生活費」だ。

結婚して2年半が経つけれど、そのあいだ自分は正社員として働いていない。これは夫の意向だ。

夫は、彼自身が安定した給料をもらえているうちに「私に自分で稼ぐ力を付けて欲しい」と言う。いわば妻への投資期間らしい。

そんなわけで興味分野の予備校に通わせてもらったり、ブログを構築したり、民泊を始めてみたり、いろいろ試している。

投資されている分、早めに成果を出さないといけないなあと思う。(家事は私の担当。ワタシエライ……!)

と言いつつ成果はまだまだこれからだから、今のところ夫から毎月二人分の生活費をもらって生きている。

「たまにはきちんと御礼しよう」

地元で粋なスイーツがないか調べてみた。

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普段スイーツは全く食べない。

スナック菓子、ケーキ、クレープ、ドーナツ、お饅頭、お団子、なんでもいいけどスイーツはあまり好きじゃない。

じゃあなんでわざわざスイーツ店なのか?と言うと単純に「特別感」が欲しかったから。

特に洋菓子は華やかなイメージがあって、たまの御礼なら珍しいものも悪くないかなと思った。それに夫は私と違って、スイーツに対して抵抗感がなさそう。

「せっかくなら原材料にこだわってて手作りの店がいい」

田舎でそんな贅沢な夢が叶うスイーツ店があるワケないだろう……と半ば諦めながらグーグル検索した。

そしたらあった。

自宅から車で15分の洋菓子店だった。

「フランス産クリームチーズを贅沢に使用した無添加チーズケーキ……これだ!」

車を走らせて洋菓子店に向かった。

初めて通る道にウキウキした。畑と田んぼと丘しかない風景だけど、なんだか一人のドライブが楽しかった。

洋菓子店はちょっと甘い匂いがするお店だった。

焼き菓子、ケーキ、紅白饅頭、いろいろなスイーツがある。馴染みないスイーツを見て、食べたいとは思わないけど、芸術作品みたいで綺麗だなと思った。

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チーズケーキは一口サイズで可愛かった。

まさか自宅から30分圏内にこだわりの洋菓子店があるなんて思ってもみなかった。本当に驚いている。

町のケーキ屋さんは単価が高くて常連客に支えられているから潰れないって、なにかの書籍で読んだけど、本当にそうなのかもしれない。洋菓子ってなんだか特別な感じがする。

想いを込めて、誰かに贈りたくなるものだから。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。