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その当たり前はたぶん凄い

家から車で10分走らせたところに、JA農協が営む野菜の直売所がある。

いつも肉・魚・乳製品などのたんぱく質類はスーパーで仕入れているが、野菜は別途ここへ来る。

「やっぱ安いよなぁ…安すぎだよなあ…!」

もうこの町に住んで4か月が経とうとしているのに、改めて野菜の安さに驚く。

たしか2017年だったか全国的に大根が不作で、ものすごく高い時期があった。1本270~300円くらいは出したと記憶している。

それが最近では、立派な太い大根がこの店では1本100~120円くらい。

当たり前な金額だと体は覚え始めているけれど、よく考えたらやっぱ安い。

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たまに都内のマルシェやスーパーを覗いて、目が飛び出るほどの金額で野菜や果物を販売していてびっくりする。

それを見て、いつも買っている野菜の金額と鮮度がどれほどありがたいことなのか、感じる。

大体人は当たり前のことを忘れていく。

当たり前のことが一番奇跡的に素晴らしいことなのに。

それでも忘れてしまうのは、人が「将来」のことを一生懸命考えすぎているからなんじゃないか。将来の世の中はどうなるとか、そのために備えるとか、将来の仕事はどうするとか、将来の夢はどうとかこうとか。

全部自分に言っているわけなんだけれども。

どうしても心配性な自分にとって、将来の不安を拭いたがることは避けて通れない。

決してお金持ちになりたいわけじゃなく、ただ「不安なく家族と静かに健康に平和に生活したい」という願望が強い。

もし自分で稼ぐことなく、定期的にお金が降ってきたら今何をしているだろう?不安は消えるのだろうか?そんなことは現実にあり得ないから将来の世界の情勢とか、お金について悩むんだ。

こうやって人は「将来」のことを考えすぎたとき、当たり前に転がっている目の前のことに感謝することを忘れてしまう。

でもふとした瞬間に当たり前の光景に突かれてハッと現実に戻ってくる。「今」に戻ってくる。そして感謝する。

だから今日も大根が1本120円で嬉しかった。

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買ったものを並べて写真を撮った。全部安い。

牛乳を除き、ここに写っているすべてのものはこの町が産地。お味噌、おから、お煎餅までも。お味噌はうちの数軒先の家で作られている。

どうしても「将来」について不安になり、思考が暴走したら。きっと目の前にある当たり前のものをゆっくり見直してみると、感謝が満ちてくるのではないかな。なんでもいいんだと思う。1本120円の立派な大根とか。

だってやっぱりそれは凄いことかもしれなくて、「今」ウソ無く笑顔になれるから。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。