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土に還っていくもの

今日は朝早くからうちに、自分たち夫婦を入れて7名の大人が集まっていた。

何の騒ぎかと言うと、水道関係の工事の下見があったのだった。

「おはようございます~」

関係者が続々と集まり、最終的に車6台が庭に収まっていた。うちの庭ってこんなに車入るんだなあとぼんやり考えた。

「じゃあ現場の確認させて頂きますね」よく晴れた朝、うちの敷地をぞろぞろと人が歩いている。

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湖畔暮らしを始めていろいろと「土に還す」ことが増えた気がする。

例えば生ごみ。生ごみは燃やすごみで出さずに、全部庭で肥料にしている。これはコンポスターという発酵容器を使って行っている。

使い方はそんなに難しくない。ただ生ごみをコンポスターに入れるだけ。たまに米ぬかを投入して乳酸菌を足してあげる。

そうすると不思議と数日後にはごみの量が減って、肥料になっているのだ。

「生ごみが土に還っていったんだなあ」

ごみの量が減るたび嬉しくなる。

水道工事についても「土に還す」ことを考えさせられた。実はうちの地域には下水道が通っていない。

「下水道がなかったら家で出た汚水は一体どこへ……?」

はじめて下水道が通っていないことを聞いた時、すごく驚いた。

都市部では当たり前のように下水道が通っているから、それ以外の選択肢があることも知らなかった。今考えると恥ずかしいけど、ギリギリ20代でこのことを知れてよかった。

下水道がない地域は各家庭に「浄化槽」と呼ばれる、いわゆるミニ下水処理場のようなものを備えている。これを土のなかへ埋めて使う。

「浄化槽は付いていますが、だいぶ古いので取替えた方がいいですよ」

古民家を下見したとき、不動産屋さんに教えてもらった。

浄化槽は大きなポリタンクみたいな容器で、そこへ汚水が流れてきて、浄化されて、無害な水に変身して、土に還る。こんな流れ。

浄化槽のなかでは微生物が生きていて、有機物を食べてくれるらしい。

「うちで出た汚水が、うちの土に還るなんてすごいなあ」

自宅で下水処理が完結してしまうその仕組みに感動した。

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「じゃあそろそろおいとましますね~」

現場を見回っていた職人さんたちが引き上げていった。

久しぶりにたくさんの人が来てちょっとどきどきしたけど、なんとかお見送りした。

お庭にはいつもの静けさが舞い戻ってきた。今朝も最近よくくる黒い蝶々が飛んでいたな。


そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。