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消えないプラスチック

うちの敷地には動物小屋が5つある。以前の持ち主さんが、豚か鶏か、なにか家畜を飼っていたのかもしれない。

以前の持ち主さんはもともとこの地域の地主だったようで、あっちこっち点々と土地を持っていて、ずっと昔からこの地に住んでいたと思われる。そう考えると、家畜を当然のように育てる時代を経ていてもおかしくない。

そういうわけで、今も私たちがその動物小屋をありがたく使わせてもらっている。動物小屋には屋根が付いていて、エサ場もある。台風など強い雨風はしのぐにはつらいけれど、少しの雨風なら大丈夫。

今のところ、飼いヤギたちのおうちはここ。

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実はこの動物小屋、最初に物件を見たときは荒れ放題で「ほんとうに使えるのか?」という感じだった。小屋の周辺には竹が生い茂っていて、そのせいで小屋のなかは薄暗い。風通しも悪く、落ち葉、園芸用の石、古い金具類などが散乱していた。

これらをひとつずつ綺麗にしていって、ようやく今問題なく使えるまでになった。小屋周辺の竹を大量に切ったおかげで、全体が明るくなったし、気持ちの良い風も流れるように。

動物小屋をお掃除していて、一番困ったのは「廃プラスチック」だった。

以前の持ち主さんが使っていたであろう「肥料の袋」が特に厄介者。恐らく10年以上は屋外に放置されていたプラスチック袋。

袋を手で掴めば、まるで薄いお煎餅のようにパリパリパリ……と細かく砕けてしまう。細かくなりすぎて砂のように小さくなっているものもある。でも決して土のなかに分解されることはなく確かに残っていて、ああこれが最近問題視されているマイクロプラスチックか、と妙に納得がいった。

「プラスチックって本当に分解されないで残っちゃうんだなあ」

古い家を購入し、庭に散乱しているゴミから環境問題について考えられるとは意外だった。肥料袋はほんの一例で、ほかにはペットボトル、植木鉢、プラ製のヒモ、お菓子の袋などいろいろな種類がある。モノを目にすると、結構ショッキングでもある。

本当は要らなくなったものや使わなくなったものは、その時点で即処分するのが一番だけど、田舎暮らしをしていると屋外仕事(畑とか庭とか)が多すぎて、外に放置しちゃうこともあるだろうな、ということも理解できる。

土や海などの自然に美しく還り、循環できる素材を積極的に使いたくなった。今もきっと世界のどこかで様々な研究や商品開発が進められていると思うと、関わる人たちを応援したくなる。

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今のところ動物小屋は、ヤギたちが誤って廃プラスチックを食べてしまわないように、隅々まで掃き掃除をしてある。それでもいたずら好きで何でも興味津々なヤギたちだから、庭のどこかからゴミを引っ張り出してこないか心配している。

廃プラスチックと落ち葉が混ざり合った袋一杯のゴミは、近いうちに地域のゴミ処理場へ持参する予定。

なるべく循環する素材を生活に取り入れていきたいね。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。