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大人の秘密基地

昨日の夜、布団に入って自分に聞いてみた。

「湖畔暮らしを始めてよかったことはなんですか?」

特に聞きたくなった理由はないけれど、強いて言うなら夜眠れなくて暇だったからだ。

昨夜は中毒的に好きなインドカレーを食べて満腹になっていた。でも食後すぐ激しめにお腹を下した。辛い物は好きなのに珍しかった。結局原因はわからなかった。

そんなわけで寝るときも下っ腹がそわそわしていて、なかなか寝付けなかった。だから暇つぶしにさっきの質問をした。

湖畔暮らしを始めてよかったことは。

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結論から言うと「悩みにくくなったこと」だと思った。

生まれつきなのか、育ち方なのか、考えられる理由はたくさんあるけれど、とにかく私は内向型で悩み症だ。でも湖畔に来てから悩み方が小さくなった。

じゃあなんで悩みにくくなったのか?というと大きく二つある。

一つは夫の存在、もう一つは庭の存在。

庭の存在について深掘りしてみると、庭は不安を忘れさせてくれる場所なんだと思う。庭には自然がたくさんあって、毎日表情を変えて、自分を忙しくしてくれる。これを感覚的な表現にすると「わくわく」になるんだろう。

庭に行けば毎日新しいことが起きていて、前日には予測不能。特に今の時期は春まっさかりで、文字通り毎日新しい花が咲く。えええ!あなた地味な葉だったのに花は華やかなのだね……!といった衝撃を受けることも多々ある。

畑に植えている野菜の成長となると食卓事情も絡んでくるわけで、もっと気になる。

「植物と野菜を観察すると忙しい、気付けば不安なことを忘れている」

好きなピアニストが言っていたことと重なる。彼はこう言った。「音楽を演奏しているときは、暗い長いトンネルに光が灯ったように感じるんです」

この感覚と表現は絶妙で、まさに!それな!と思う。自分が庭で自然に囲まれている時と同じ気分なんだろうなと親近感がわいた。

湖畔暮らしには自然がたくさんあるお陰で、不安を感じさせる暇を与えない。それが自分の悩み症に効果テキメンのようだ。

***

「湖畔暮らしを始めてよかったことは?」に対する答えは、悩みにくくなったこと。悩みにくくなった理由は、庭の自然が豊かで自分が精神的、物理的に忙しくなり他のことを考えなくなったから。

そういえば子供の頃住んでいた家に秘密基地を作った。小さい子供がかろうじて入れるくらいの小さなスペースで、そこにチューリップを植えた。

秘密基地は自分を退屈させない空間だった。今の暮らしで自分の庭は、秘密基地に行く感覚に似ている。

余計な考え事が多い大人にこそ秘密基地があっていい。

そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。