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初夏の収穫

畑の野菜がぐんぐん育っている。

梅雨に入ってからというもの、成長具合がすさまじい。

うちでは今、ナス3種、ピーマン、ししとう、ズッキーニ、カボチャ、キュウリ、紫蘇、オクラ、ヤーコン、柿、を育てている。種を買ったものもあるし、苗の状態で買ったものもある。

昨日は特に収穫が多い日だった。かご一杯に詰まった野菜は艶と張りがあって美しい。

お店で販売されている野菜を見ると「野菜」と認識するけれど、畑で育つ野菜は「植物」として認識しているような気がする。理由は、野菜になる前段階での成長過程をたくさん見ているからなんだと思う。

芽がでた、伸びてきた、実ができてきた、その全ての段階を見ているから。「植物」の短い一生のなかに、更に少しの収穫時期があってその恩恵が「野菜」なんだなって。

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野菜を初めて育てたのは小学校の頃だった。親に借りたプランターにほうれん草の種を撒いたのがきっかけだった。

当時通っていた小学校には生徒と担任の先生との間に「交換日記」があった。

成績には関係していなかったと思うが、たぶん生徒の家庭環境や精神状態を把握するために書かされていたんだろう。親を交えた三者面談のときはよく「交換日記」の話題が持ち出された。

「さきさんは最近ほうれん草に夢中のようですね」

小学校の記憶なんてほぼないが、これだけは覚えている。ほうれん草日記と名付けて、先生にほうれん草の成長過程を伝えた。色鉛筆でほうれん草のギザギザした葉を彩り、緑と紫でいっぱいにした。他の絵はそうでもなかったけど、ほうれん草だけはやたらと描くのに慣れていた。

小学生ながらに野菜を育てることは「すごく楽しいこと」と感じたのを覚えている。母親がガーデニングを特に好み、ちょろちょろ付きまとっては庭で一緒に土いじりをした。爪の間に土が入るから、作業後は専用のブラシで爪をよく洗った。

気が付けば小学生~高校生まで、ことあるごとに聞かれる「あなたの趣味は何ですか」という質問に「動物・植物の世話」と答えるようになっていた。

野菜や動物を育てることは楽しい。手間暇かけて何かの成長を見届けることが好きだ。そういう意味では後輩の世話も好きで、後輩が育っていく姿には胸がほっこりする。

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夏野菜は炒め物が多くなる。

ナスやピーマンは油と相性がいいから、どうしても炒めたくなる。特に最近の食卓にはトマトベースの炒め煮ラタトゥイユがよく登場する。

「もう飽きた?」

炒め物が続くことについて夫に聞くと「味付けが変わるから気にしていなかった」と言われた。まだまだ夏野菜の収穫が続きそうだから安心した。


そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。