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変化と進化

「ねえ見て、今日作ったの!」

6月はドクダミの季節で、うちの庭でももれなく咲き乱れている。「咲く」という言葉を使っていいのか分からないほど量があり、多くの場合厄介な雑草として取り扱われる。

せっかく庭に大量のドクダミがあるのだから、何か活用できないだろうか?と調べてみた。

するとどうやらドクダミは虫除け効果があって、葉や花を酒に浸けると虫除けスプレーの原液ができるらしい。浸ける酒の種類によっては、虫刺され薬、化粧水などにも使えるそう。

とても興味がわいた。

薬草を摘んで、干して、酒に浸けるなんて魔女みたい。想像するだけでトイレに行きたくなる感覚になった。緊張半分、楽しみ半分。

そんなわけで晴れた日を狙いドクダミを仕込んで、仕事から帰った夫に報告した。

「すごいね!」

夫は素直に喜んだが、出来上がったものより驚いたことがあるという。

***

驚いたことって何だろうと思って聞き返した。

「以前は考えてばかりで行動に移すまでに時間を費やしてたイメージだけど、最近実行が早くなったね」

私の「行動の変化」についての話だった。

確かに以前は考えてばかりで、なかなか一歩踏み出せないことも多かったように思う。なぜそんなに考え事に時間をかけるのか、自分でも分からないほどだった。

占いに頼るのはちょっと変かもしれないけれど、好きな占い師がいて著書のなかでずばり指摘されたことがある。失敗するときの傾向は「考えすぎが原因のことがほとんどです」って。ああやっぱり。

夫も私と共に暮らすなかでじわじわ感じていたのだろう。

私のこんな性質を知っているから、ドクダミを仕込む件があっさり終わったことに驚いたらしい。なにか心境の変化があったの?どうしてこうなったの?といろいろ聞かれた。

明確にこの出来事があったから、とは言えないけれど時期的に湖畔へ移住したタイミングと重なる。そう考えるとやはり移住し、自然豊かな環境で生きるようになって変化したんだと思う。

自然の世界は刻一刻と確実に変化し、それに付いていくのが大変だ。ドクダミだって旬があるし、いつ枯れてしまうかも分からない。だったら今すぐ収穫しないといけない。そういう思考回路が巡って私を行動させている。

「待って」は聞いてくれない自然に変えてもらったのかもしれない。

***

暮らす環境が変わると「行動の変化」は誰にでも起きる。

行動の変化はポケットモンスターで喩えれば、新技を覚えていく過程に似ているような気がする。「○○はあたらしいワザをおぼえた!」っていうアレ。

新しい技を覚えた次には「進化」が待っている。体の形が技に合わせてどんどん大きくなって、技を効率よく出せるようになる。人間は見た目が派手に進化するわけじゃないけれど。

行動パターンを変えたいと思っている時に、環境から変えてみるのはいいのかもしれない。何歳になっても「なんか自分変わった」と思える感覚って悪くないと思うから。

ドクダミが詰まった瓶を眺めている。


そのとき必要なことに必要な分だけ、ありがたく使わせていただきます。