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「モノのデザイン」と「課題解決のためのデザイン」の関係。

「デザイン」には「広義・狭義」2つの意味があると言われています。その2つの「デザイン」がどちらも大切で、お互いを高め合う関係であることについてお話しします。


デザイナーの仕事って?

職業を聞かれ「デザイナーです」と答えると
「服を作っているんですか?」
「すごい!(あぁ別世界の話だわ〜)」
この2つの発言に出会う確率がとても高いのですが、デザイナーのみなさんいかがでしょうか?

「デザイン」の意味が限定的に捉えられがちな現状

「デザイン」という言葉には2つの意味での使い方があります。「広義のデザイン」と「狭義のデザイン」です。

広義のデザイン
課題を解決するために概念やしくみを論理的に設計し、表現すること

狭義のデザイン
形あるモノとして表現すること

もともと“design”という言葉はラテン語の“designare”を語源としていると言われています。“designare”は「線を引く、描く、示す、計画する」。デザインという言葉は「設計し、表現する」という本質的な意味を持ち合わせているのです。つまり、課題解決のために設計し表現する「広義のデザイン」を指しています。

しかしデザインというと色や素材を用いて形を作ったり変えたりする仕事だと思われがちです。もちろんそういう仕事も大切で、実際たくさんあり間違ってはいません。でもなぜそう思われがちなのでしょうか。
それは「デザイン」という言葉の使われ方が関係していると考えられます。

さて、芸術との区別において広告とデザインは同じように語られていた戦前までに対して、戦後になって広告とデザインがそれぞれに語られるようになったのは、服飾がいち早く「デザイン」という用語を積極的に使い始め、また生活日用品が「インダストリアルデザイン」と名乗るようになり、それらが全体として「デザインブーム」と呼ばれる事象を生み出したことと関わっている。
『<広告制作者>の歴史社会学』加島卓

よく「デザイナー」=「ファッションデザイナー」と思われがちなのもこういった背景があるからかもしれません。実際私が初めて「デザイナー」という職業を知ったのも、ファッションデザイナーを主人公とする一条ゆかりの少女漫画『デザイナー』でした。

確かに、形あるモノを作ることもデザインです。しかしそれはデザインの仕事の一部に過ぎません。課題を解決するところから最後の表現まで、すべてがデザイナーの仕事なのです。

モノの見た目をデザインするのは課題解決のための一手段

例えば「未来の乗り物を作りたい」という課題があったとしましょう。その課題を解決するのがデザインの仕事です。この時、いきなりプロダクトやwebサイトから考えることはありません。まずブランドやストーリー、場や価値、ユーザの体験などをデザインし、そこから導き出したコンセプトに添ってロゴマークやプロダクト、web、各種印刷物などを展開していきます。

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プロダクトやwebなどのモノのデザイン、つまり「狭義のデザイン」は、課題解決を目的とする「広義のデザイン」の手段ということもできるかもしれません。同時に「広義のデザイン」は、論理的思考と高いクオリティを伴う「狭義のデザイン」なくしては成立しないとも言えるのではないでしょうか。どちらも大切ということですね。
本当に必要なデザインを得るためには、意味を理解した上でデザインという言葉を使う必要があると考えられます。


デザイン=おしゃれな別世界の話、ではない

デザイン=おしゃれというイメージがあるようですが、残念ながらそうとは限りません!また、日常とは切り離された別世界の話、と思われることもあります。デザイナーは世の中の日常に潜む課題を解決している仕事なのですが…まだまだデザインやデザイナーのことをお伝えしていく必要がありそうです。
この話はまたブランドについての記事で話せたらと思っています。

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