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シンプルだけど個性的な書体が生まれるまで / SKGロゴデザインの視点「LIGHT & DISHES」

SKG

連載「SKGロゴデザインの視点」では、ロゴデザインが生まれるまでのプロセスやアイディアを私たちが携わってきた事例と共に紹介しています。

SKGでは「ブランド=人」と捉えています。人の「名前」がブランド名で、「顔」がロゴ。「信念(心)」はブランドコンセプトです。

▼ブランディングデザインの詳細については、こちらの記事をご参照ください

今回ご紹介するのは、2022年9月1日発売の広告・クリエイティブの専門誌『ブレーン 10月号』(株式会社宣伝会議)にも掲載していただいた「LIGHT & DISHES」のロゴデザインです。

雑誌ではお話しきれなかった制作背景やロゴに込めたこだわり、SKGならではのクリエイティビティを楽しんでいただければ嬉しいです。

初期ロゴタイプ作成とリニューアルの両方を担当

LIGHT & DISHESは、照明関連のコンサルティングや照明器具の販売、飲食店運営などを手がける企業です。実は2017年にLIGHT & DISHESが法人化する際にもロゴデザインを担当させていただきました。

2022年4月に光と食をテーマにした体験スペース「LIGHT & DISHES Lab.」(東京都・江東区)をオープンすることを機にコンセプトやステートメントなどを見直し、ロゴもリニューアルすることに。そこで再びご依頼いただき、LIGHT & DISHESを「伝える」ツール作りに取り掛かりました。

リニューアルにあたり、コンセプトも担当。ヒアリングを重ね、最終的には「美味しさ 生きる 光」というコンセプトを提案、採用していただきました。LIGHT & DISHESは「光」によって「食」の美味しさを引き出す事業を展開しているため、その意図が伝わる言葉と語順を考えました。このように、事業コンセプトやネーミングなど根本的なメッセージを考える段階からクライアントに寄り添うことによって、デザインを深めることができると考えています。

書体の骨格を抽出することで、シンプルかつ個性的なデザインに

ロゴのリニューアルにあたり、クライアントからは「シンプルにしたい」とリクエストがありました。シンプルにしたいと述べられた理由としては、照明のディレクションやメディア執筆など、創業から5年間の間にさまざまな事業の展開を通じて、企業としての軸が見えてきたことが関係しているからです。

事業が多角化する一方で、LIGHT & DISHESが掲げる「光を軸とした食との関わり」のスタンスは明確になっている。多様なジャンルで事業を展開するからこそ、ロゴは明白なものにしたい。「シンプル」という言葉にはLIGHT & DISHESの積み上げてきたものや進化を表す意味合いが含まれているのです。

ひと口に「シンプル」と言っても、たくさんの表現方法があります。ハッキリとした字体やイメージしやすいモチーフを用いる手法......、どのように工夫を凝らして決着をつけるかが課題となりました。

そこでまず、お客様層を考慮した際に優雅な佇まいがふさわしいだろうと考えました。それを表現するために「細身」で「文字だけ」のロゴを作成する方向性で、シンプルさを追求することにしたのですが、その条件下でも多様な書体が存在するので検討が必要です。

もちろん既成フォントで組むやり方も一般的には存在しますが、ここでは独自の書体でロゴを組みたいと思いました。そこで旧ロゴの書体のベースとして使用した「Serlio」の骨格の部分を抽出してみたところ、思いがけずユニークなデザインが浮かび上がりました。

旧ロゴタイプには「セリフ」(文字の先端にある小さな装飾)がついた書体を用いていました

こちらがほとんどそのまま完成形のベースとなっています。

このロゴが採用された理由は、ただユニークなだけでなく、視認性も優れていたから。一般的に、文字の骨格をなぞるということは文字の飾りをなくすことを意味するため、視認性が薄れる場合がほとんどです。

しかしこの書体は、骨格を抜き出してもそれほど視認性が悪くなることはなく、デザイン性と分かりやすさのバランスが絶妙な具合でした。例えば「G」の場合は2画目の横棒こそなくなるものの、Gと読みとることができます。

書体の微妙な角度や一画の長さの調整などを行ったとはいえ、他の書体から骨格のみを大胆に抽出するとおもしろいロゴができるというのは、私にとっても印象に残る発見でした。

『ブレーン 10月号』(2022年)に掲載いただいた理由も、シンプルさのなかに織り混ざった個性的な造形を評価していただいたからだと考えています。

また、シンプルさの中に品格があったこともこのロゴを採用したポイントです。「LIGHT & DISHES Lab.」は上質なサービスを提供しているため、シンプルでありながら優雅な印象になるよう考えていたのですが、旧ロゴからセリフをとるとシンプルで味気のないものになってしまうのではないかという懸念がありました。

しかし、Serlioは古くからある格式の高い書体をベースにしているので、セリフがなくても品格が残ったのかもしれません。

オリジナルプロダクトにも書体を使用

また、完成したロゴと同じルールで微調整を重ねて全てのアルファベットと数字の書体を用意しました。これらは、LIGHT & DISHESのオリジナルプロダクトや会社資料などに利用されています。

今後もプロダクトが増えたり、ブランドが派生したりする場合があれば、同様の展開が可能です。ロゴはブランドの「顔」であり、ブランドのアイデンティティになる可能性を秘めているツールでもあります。それを作る責任と覚悟を示せるようなデザインを今後も展開してまいります。

最後に「LIGHT & DISHES」のロゴデザインが生まれた3つの視点をまとめます。

SKG流ロゴデザインの視点👀
☑️企業の信念や事業を軸にコンセプトからデザインを生み出す
☑️シンプルさとメッセージ性が両立する手法を考える
☑️伝えたいイメージから書体の特徴を引き出す(今回のケース:書体の軸となる骨格の部分を抽出してみる)

今後もSKG公式noteではデザインが身近になる制作エピソードや、デザインのコツをお伝えしていきます。

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