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校内で少しずつICT

Google for Education認定トレーナーの笠原です。

一人一台端末が当たり前になった生徒たちと生活をしてきて約半年ほどが経ちました。

去年まではお隣の学年が一人一台端末の導入となり、そのお手伝いをしてきましたが、今年度は自分が当事者となって色々なことを眺めてきています。

当事者になってみて色々と感じたことを本日は紹介していこうと思います。

いっしょに学んで行く姿勢の大切さ

一人一台端末という状況は生徒にとっても教員にとっても初めての事態です。厳密に言うと、去年から中学校では一人一台端末の状況になっているため、生徒から話を聞くと「中学校でもパソコンは渡されていた」と言います。

そのため、「慣れている」という面で言えば、実は先生方よりも生徒の方が慣れていると言えるかもしれない状況でChromebookの配布を始めたのが四月です。

一人一台端末を生徒は経験しているとはいえ、実際の活用の状況を聞くと、ほとんど学校生活の中では使っていなかったようです。

そのため、自分のChromebookが渡されて、自由に一日中使うことが出来るという状況は、生徒にとっても新しいチャレンジでした。やはり制限された借り物の端末よりも、自由に使える自分の端末をもらえるのは嬉しいものです。

そのような状況の中で、私たちの学年が行ったことは、「開封の儀」と「利用規約の説明」です。

この辺りのアイデアや運用の方針は、次の本を参考にしています。

特に同書のP.120の利用規約を、本校の事情に合わせて手直しを行い、使用前に理念を説明して、本人の署名をさせてから利用開始させるという手続きはとても大切なことだったと振り返ると感じます。

自分の道具だから自分が規約を理解してから署名をして利用を開始する。

こういう一つ一つの責任をしっかりと考える機会を持つことが重要だと感じます。

その後、最初のデジタル・シティズンシップの授業として、「責任のリング」についての授業を行いました。

「責任のリング」の授業案については「プラス」の方の本が参考になります。

デジタル・シティズンシップという概念に慣れていない先生方にも、「責任のリング」は直感的に分かりやすい印象があります。4月の最初の授業としてお勧めできます。

ツールを少しずつ使いこなしていく

「生徒はデジタルに慣れているから」とは、教員がよく口にするセリフですが、生徒が慣れているのは「プライベートの情報消費」という意味での慣れであって、決して「パブリックな場面で効果的な使い方」の方法を知っているとは限りません。

例えば、GmailでClassroomの通知を受け取って自分のタスクを管理すればいい!のような発想はきちんと教えてあげないと、生徒から自然には出てきません。

Chatを使いこなせば、学校生活のあらゆる場面で情報のやり取りが増えて、出来ることが増えていき、利便性も上がっていきます。しかし、適切な指導を行っておかないと、誤解を招く言葉遣いや不適切な時間帯での利用など、トラブル自体も加速する可能性はあります。

生徒に決して「デジタルネイティブだから教えなくても出来るでしょう」と過剰な期待をしてはいけないのです。

新しいツールを使うときは、落ち着いて一緒にどんな機能があるのかを話し合ってみたり、使い方として何に注意したらよいかを話してみたりすることで、まったくその後の活用の安定度が変わります。

今年度、自分の勤務校ではChatだけはやや注意して生徒へ機能を解放しています。Chatを使い始めたときだけは、担任の先生方から使い方を丁寧にクラスで説明してもらって、様々なお試しを授業の中でしてもらってから、自由に使うようにしてもらっています。

そのような形で慎重に使い始めてきた結果、今では委員会活動でChatを使うのはもちろん、授業でも必要があれば共同編集のために生徒たちがChatでグループを作って作業をするなど、自然とツールが使われるようになっています。

これまで慣れてこなかったものを少しずつ進めている段階ですから、あまり焦らずに、ただそれでいて安易に制限に走るのではなく、いっしょに試していくという姿勢が大切なのだと感じます。

シンプルに使う方が良い

これまでの経験的に便利な使い方ができるGoogle for Educationですが、複雑な使い方をしようとするほどに、使いづらくなっていきます。

何でもかんでもGoogle Classroomで配信するために無限にClassroomを作成して生徒に参加させるだとか、複雑な分岐のあるGoogleフォームを使うだとか……そういう特定の人にしか出来ない、面倒な運用は長続きしません(その意味だと、認定トレーナーの申請動画のデモンストレーションで求められていることがシンプルで革新的なツールの使い方ということは示唆的ですね)。

資料を送るのはClassroom、連絡はChatなど、できるだけシンプルにやってみるのが長続きする上に圧倒的に効果が上がる方法ですね。

Google for EducationやChromebookに対してサードパーティ製のサービスを使うと、画面ロックをしたり強制的に画面を共有したりする機能もあるようなのですが……そういう余計な足し算をしていくと、おそらくお互いに息苦しくなるのでは?と感じます。

なお、勤務校でのICTの活用についての議論が決してスムーズではないということは、以下の寄稿した本でも少し紹介しています。

まだまだこれから色々なことが起こるだろうなぁと、これからを楽しみに思っています。

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