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NotebookLMに衝撃

Google for Education認定トレーナー/コーチの笠原です。

先日、NotebookLMが発表になりましたね。

さっそく話題になっていたので、ちょこちょこと触って見ました。

ちょこちょこと触ったのが運の尽きでした。これはもう大変なことになったの一言です。

教えるだけの授業は…

NotebookLMについて、とても大雑把に一言で説明するのであれば「AIに色々な作業をやって欲しいデータを自分で指定して学習させ、色々なアウトプットを作れるツール」です。

イメージしやすいように国語の授業に特化して喩えて説明するのであれば、教科書の本文を読み込ませて授業の発問や定期考査の問題をAIに自動でバンバン作らせることができるツールです。

もっと単純化して言うならば教科書の本文を読み込ませて自分で自分だけの指導書を作れるツールと言った方が分かりやすいでしょうか。

試しに「走れメロス」の本文をリソースにして見たのが以下のスクリーンショットです。

NotebookLMを利用した画面
NotebookLMを利用した画面

画像をご覧いただけると分かると思いますが、読み込ませた内容についての問いについては「どこを参照にしたのか」というリンクを示しながら回答をしてくれますし、質問のサジェストには一般的な問いが自動的に生成されています。

この画面からも分かるように、授業中に何も生徒に考えさせることなく板書に作品の解釈を書いて教えていくような国語の授業は、このツールが誰でも自由に使えるようになった段階で、かなり続けることは難しくなるのではないかと思います。

一斉授業で教師の都合で進む授業と、自分のペースと興味関心に合わせていくらでも対話してくれるAIとでは、どちらの方が勉強しやすいかということです。

追い打ちをかけるようにこんな機能も…

ちなみにノートブックガイドガイドという部分をクリックすると…

ノートブックガイドの画像
ノートブックガイド

このような形である程度のまとめを提案してくれます。注目すべきは「Study Guide」の部分で、これをクリックすると……

走れメロスの教材
学習ガイド
主なテーマ:友情
信頼
疑念
犠牲
正義
人間性

時代背景:古代ギリシャ
専制政治と暴君ディオニスの恐怖政治

物語の構成:発端 - メロスとディオニスの出会い、疑念の始まり
展開 - メロスの村への帰還、結婚式、決意
山場 - メロスの苦難の旅、濁流、山賊、疲労
転換 - メロスの諦めと希望、再び走り出す決意
結末 - 刑場への到着、友情の勝利、ディオニスの変化

注目すべき描写:メロスとディオニスの対比
自然描写(濁流、太陽、風など)
メロスの心情の変化
セリヌンティウスの友情

小テスト
指示: 次の質問に対して、それぞれ2〜3文で答えてください。メロスはなぜ、シラクスの市を訪れたのですか?
暴君ディオニスは、なぜ人々を殺していたのですか?
メロスはディオニスにどのような約束をしましたか?
セリヌンティウスは、なぜメロスの身代わりになることを承諾したのですか?
メロスは村で何をしていましたか?
メロスが村から市へ戻る際に、どのような困難に遭遇しましたか?
メロスはなぜ、途中で走りを諦めそうになりましたか?
メロスはどのようにして、再び走る気力を取り戻しましたか?
メロスが刑場に到着した時、セリヌンティウスはどのような状態でしたか?
物語の最後で、ディオニスはどのような変化を見せましたか?

小テスト 解答
メロスは、妹の結婚式の準備のために、シラクスの市を訪れました。具体的には、花嫁衣裳や祝宴の御馳走などを買いに来ていました。
暴君ディオニスは、人間不信に陥り、人々の心を疑っていました。そのため、悪心を抱いていると決めつけ、罪のない人々を次々と殺していました。
メロスは、妹の結婚式のために三日間だけ猶予をもらう代わりに、友人のセリヌンティウスを人質として残し、必ず三日目の日没までに帰ってくると約束しました。
セリヌンティウスは、メロスとの友情を信じ、彼の決意を尊重したため、身代わりになることを承諾しました。
メロスは、妹の結婚式を挙げ、村の人々と祝宴を楽しみました。
メロスは、豪雨による川の氾濫、山賊の襲撃、そして極度の疲労など、様々な困難に遭遇しました。
メロスは、肉体的疲労と精神的プレッシャー、そして時間的制約から、諦めと絶望に襲われ、走りを諦めそうになりました。
メロスは、湧き水で喉を潤し、体力を回復させるとともに、セリヌンティウスとの友情と信頼を思い出し、再び走り出す決意をしました。
メロスが刑場に到着した時、セリヌンティウスは既に磔台に縛り付けられ、処刑されようとしていました。
ディオニスは、メロスとセリヌンティウスの友情の強さと、メロスの信実を目の当たりにし、心を打たれて人間不信から改心し、彼らを仲間にと申し出ました。

エッセイ問題例
メロスは「義」と「情」の間で葛藤しますが、彼の行動を分析し、どちらを優先したのか、その理由と共に論じてください。
暴君ディオニスは、なぜ人間不信に陥ったのか、彼の境遇や心情を踏まえて考察してください。
セリヌンティウスは、メロスにとってどのような存在でしたか?彼らの友情を具体的な場面を交えながら説明してください。
この作品における自然描写は、メロスの心情とどのように関わっているでしょうか?具体的な例を挙げながら分析してください。
「走れメロス」は、現代社会においても通じるメッセージを含んでいると思いますか?あなたの考えを述べてください。

用語集
用語説明シラクスの市物語の舞台となる都市。暴君ディオニスによって支配されている。ディオニスシラクスの市の暴君。人間不信に陥り、恐怖政治を行っている。メロス村に住む牧人で、物語の主人公。正義感の強い青年。セリヌンティウスメロスの親友で、シラクスの市で石工をしている。邪智暴虐理性が欠如し、邪悪な考えで残酷な政治を行うこと。磔古代ローマの刑罰の一種で、十字架に磔にして処刑すること。人質ある目的のために、他人の身柄を拘束すること。信実嘘や偽りがなく、誠実であること。濁流濁った激しく流れる水。山賊山や峠で旅人を襲って金品を奪う盗賊。疲労困憊極度に疲れ切っていること。恢復体力や気力が回復すること。刑場死刑を執行する場所。

NotebookLMで作成

これってもはやいわゆる指導書のようなものですよね?

もちろん、使い方が雑なため、本物の指導書とは比較するような質ではないことは重々承知しています。しかし、使い込んでいくことによって回答の質などが向上してきたときにどうなるかが楽しみでもあり、恐ろしくもあります。

ちなみにノートブックを共有して仲間同士で使うことも出来るため、そもそも教材研究のあり方も大きく変わってくる予感があります。

このようなことが出来てしまうことを考えると、いよいよ指導書に沿って解釈を教えるだけの授業については、このまま続けていけるのかということについて疑問に思わざるを得ません。

怖れではなく可能性を

人間が教えるからこそできることや細かいコツのようなことはおそらくしぶとく残り続けるので、人間が授業をしなくてよいということは簡単にいうつもりは自分はありません。

しかし、こういうツールによって今まで手間をかけていたことが、驚くべきほど圧縮される可能性はあると思います。

その時に、自分が一体、何を大切にして、何に手間をかけて取り組んでいくのか、そういう判断を迫られているように感じます。

その判断が好き嫌いではなく、合理的で子どもたちのためになるものであるためには、どのような努力が必要なのか……


なお、詳細な操作方法は以下のnoteが参考になります。


今回も読んでいただきありがとうございました。シェア、コメント、いいね!をしてくれたら嬉しいです。

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