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生成AIと文法学習の小ネタ

Google for Education認定トレーナー/コーチの笠原です。

自分は日本語学分野で国語科教育については主に勉強してきました。そのため、ちょくちょくと授業で使える文法ネタについては気になっているところです。

最近、ちょっとした遊びで気付いた文法の授業ネタを軽く紹介します。

授業準備で例文の生成に

鉄板ですが、例文の生成には非常に便利です。

例えば、五段活用の動詞を勉強しているときに、「五段活用の動詞をたくさん使った文を考えて」とお願いすると以下のような出力をしてくれます。

はい、五段活用の動詞をたくさん使った文を考えてみます。以下の例文をご覧ください:
山田さんは毎朝早く起きて、公園を走り、家に戻って朝食を作る。その後、電車に乗って会社へ向かい、一日中懸命に働く。夕方になると、同僚と飲みに行き、楽しく語り合う。帰宅後は、本を読んだり音楽を聴いたりしてリラックスし、明日への活力を取り戻す。
この文には以下の五段活用の動詞が含まれています:

起きる(おきる)
走る(はしる)
戻る(もどる)
作る(つくる)
乗る(のる)
向かう(むかう)
働く(はたらく)
行く(いく)
語る(かたる)
読む(よむ)
聴く(きく)
取り戻す(とりもどす)

これらの動詞は全て五段活用に属し、文中でさまざまな形で使用されています。この例でよろしいでしょうか?もし他の種類の文や特定の状況での五段活用の使用例が必要でしたら、お知らせください。

Claude3.5で作成

地力で考えようとするととても大変です。

文法はある程度、知識の定着が必要になることを考えると、こうやって特定の目的に合わせた出力ができる生成AIの活用は面白いかもしれません。

逆に生徒に「生成AIよりもたくさん五段活用の動詞を作った分を考えてみて」と課題を出してみるのも面白いかもしれないですね。生徒の競争相手にしてみるというのも小ネタとしてはよいかもしれません。

生成AIが苦手な解説

生成AIに文章を解説させると、文法用語などは割とすらすらと解説してくれます(日本語教育と学校文法での用語の違いなどがあるので、生徒に使わせて質問対応させるのはちょっと難しい)。

しかし、生成AIが苦手な解説があります。

それが「あいまい文」です。例えば「誰よりもキミが好き!」を解釈させると以下のような出力になり、イマイチ、ちゃんと説明ができません。


「誰よりもキミが好き!」という表現には、二つの主要な解釈が考えられます。

他の誰よりも君が好き: この解釈では、「誰よりも」が「君が好き」という感情の強さを示しています。つまり、他のどの人よりも君が一番好きだという意味になります。この場合、「誰よりも」が比較対象となり、君への愛情が最も強いことを表現しています。

君を誰よりも好き: もう一つの解釈は、「誰よりも」が「君を好き」という行為の主体を強調しています。つまり、「誰よりも君を好きである」という表現は、他の人々よりも自分が一番君を好きだという意味になります。この場合、「誰よりも」が自分と他人を比較する要素となり、自分の君への愛情が他の人よりも強いことを示しています。

どちらの解釈も「誰よりも」と「君が好き」というフレーズの組み合わせから生まれるもので、文脈や話者の意図によって解釈が変わることがあります。

ChatGPT4o

なんだか出力された文章自体が曖昧文になっているような…(笑)。

上記の出力は比較的うまく行ったケースです。上手くいかないときは、あいまい文をそのまま同じ表現で繰り返して強弁する場合もあります(笑)。

もちろん、こういう文章は母語話者でも上手に説明するのは難しいのですが、だからこそ、学校文法として学んだことを活かしながら説明するという課題は面白くなる可能性があります。

自分は試していないですが、この本を一冊まるまる試してみると、何かアイデアが出てきそうな気がします。

※もう絶版らしいのでAmazonだと値段が大変なことになっています。

ちなみに「太郎は花子を愛している二郎が苦手だ」のようなガーデンパス(袋小路文)と呼ばれるようなタイプの文章の説明は比較的上手にやってくれますが、書き換えて分かりやすくして欲しいというオーダーは割と苦手そうです。そのため、「この文を分かりやすく書き換えてみて」という課題を授業でやってみるのも面白いでしょう。

やってみると面白い

生成AIが意外と上手く書き換えたり説明したりすることが苦手な文のタイプがいくつかありそうな感触があります。

そして、そういうあいまいだったり伝わりにくかったりする文章は、意外と無意識に書いてしまいがちな表現である気がします。

こういう文章は意外と生成AIに推敲をお願いしても上手く直っていかない可能性もあり、あえて人力でワイワイと楽しみながら授業で表現を楽しんでみるのも手かも知れませんね。

なお、学校文法の決定版としては以下の書籍がオススメです。



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