営利要素を含むコンテンツの二次的利用の現在までの状況と抱えるリスク
前提として、これらは非常に難しい問題であり、今回の記事はあくまで私見の域を出ないことは前置きしておく。従って、この記事を通して行動した結果について、当方は一切の責任を負わないことを明言しておく。
動画配信
一部の配信プラットフォームを利用したゲーム配信は、既にご存じの通り収益化が認められているものが多い。任天堂が各種ガイドラインを発表したことも記憶に新しい。
ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン|任天堂 (nintendo.co.jp)
ゲーム大会における任天堂の著作物の利用に関するガイドライン|任天堂 (nintendo.co.jp)
詳細は割愛するが、任天堂が認めた動画配信サービスを利用した動画配信で一定の状況権を満たした場合、著作権侵害を訴えないということである。
もっとも、アドベンチャーゲームように、ネタバレが致命的なゲームの場合は配信禁止となっている場合もある。
ガイドライン違反でゲーム実況者を逮捕。『シュタインズ・ゲート 比翼恋理のだーりん』のエンディングを含むプレイ動画を配信、ファストアニメアップなど「極めて悪質な事例」 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com (famitsu.com)
もともとの流れでいえば、観てもらいたい又は観てみたいというニーズがあり、そこに後からビジネスの要素が入り込んできたような印象を受ける。
観てもらったほうが盛り上がり結果として権利者の利益につながる場合であれば許諾される流れとなっており、ネタバレが致命的にまずい場合は禁止される、というのは至極当然と言えばそうだし納得のいく形にはなっている。
ただし、ゲームや製作会社、配信プラットフォームによって許諾具合や追加の許諾が必要な場合など、場合分けが複雑になっているのが現状である。
では?動画以外はどうなのか?
動画配信以外
同人作品
二次創作、いわゆる同人作品について。
同人は違法か否か?という話があるが、厳密には違法とされる可能性がある、と言われてはいる。著作者には翻案権、二次的著作物の利用に関する権利が認められているからであり、著作者からダメと言われたらそれまでだからである。
また、基本的には二次創作を許容しつつも、18禁モノ等の特定方面での利用を禁止したりしている場合もある。その際の根拠の一つになってくるのが、著作者人格権の同一性保持権である。著作者人格権とは、元の著作者にのみが保有する一身専属の譲渡もできない権利であり、その一つに同一性保持権というものがある。意に反した改変をとめることができる根拠となっている。
ポケモン同人誌事件
ここに1990年代後半に発生した、ポケモンに関する一つの事件がある。
ポケモン同人誌事件 - Wikipedia
ひらたくいえば、ポケモンの18禁同人を作成して販売した場合に刑事告訴された事案である。なお、その同人誌を印刷していた印刷会社も著作権法違反(ほう助)容疑で摘発された。
この事件でのポイントは以下の通りである。
キャラクターのイメージを毀損するような性的描写があることから、権利者側に販売を黙認することができないと判断された点
同人誌イベントの規模が大きくなってきたことから、小さな子供を含む一般人にも目が触れる機会が多くなってきた点
通販で販売されており、対面販売でないだけに未成年の入手が容易であった点
二次利用を後押しする制度や取り組みの事例
なお、著作者によっては、二次利用をしても訴えませんと明言しておられる方もいる。
「ブラックジャックによろしく」二次利用フリー化10年後報告|佐藤秀峰 (note.com)
作者が自作品を他者に共有、使用、二次創作の権利を付与する場合、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons license、略称: CC license)というものが使用されることがある。クリエイティブ・コモンズという国際的非営利団体が定義する、著作権のある著作物の配布を許可するパブリックライセンスの一つである。
また元作品の全部または一部をそのまま複製(デッドコピー)する形での配布は認めず、二次創作のみ許容することを表示するものとして、日本独自の同人マークというものも存在する。
同人マーク - Wikipedia
結局のところ同人を許容するか否かは、状況によるということである。つまり元の著作者が訴えない限りは、黙認されていることと推定されるが、ある日突然逮捕されたり訴状が届いたりする可能性もないわけではない。
ゲームにおける方法論の有料コンサルティング
ファミコンが発売された1980年代以降、それは攻略本という形で実現された。ところが1995年以降インターネットが徐々に普及していき、攻略本は攻略サイトにとってかわられていくこととなる。2024年の現在でも攻略本は存在するが、おまけのキャンペーンコードが同封されていたり、挿絵や開発時のイラスト等、貴重な資料として攻略以外の要素が目玉となっているものが少なくない。
対戦ゲームにおけるノウハウ、これに関する書籍や記事を通じて有料販売することは是か否か?私自身非常に気になったところであり、今回指を動かしてみた次第である。
著作権法という法律があるが、著作権法2条1項にて、著作物についての定義がなされている。
著作権法上、実はキャラクターそのものは直接的に保護されない。つまりキャラクター単体では著作権侵害を問えないのである。キャラクターがゲームや漫画等に登場しているからこそ、ゲームや漫画等に対する著作権の侵害という形で訴えられることとなる。ちなみにゲームは映画の著作権と類似するものとして扱われる。
アイディアそのものもまた同様に、『著作権法では』保護されない。アイディアを記した記事や文献等を不正に利用した場合には著作権法上の侵害となる。
では、ゲームのキャラクターそのものではなく、ゲームのキャラクターを通じて対戦を行う場合のノウハウについてはどういう扱いとなるのだろうか?
商標権
想定されるものとしては、一つは商標権侵害が考えられる。
語弊を恐れずにひらたく言えば、商標登録されているものを許諾なく使用してビジネスをした場合は差止めや損害賠償、罰金や懲役が科される、というものである。
もう一つ考えられるのが、不正競争防止法、である。
語弊を恐れずにひらたく言えば、ズルをして秘密の情報を取得してビジネス利用をしたり、需要者の間に広く認識されているものに便乗する形でビジネスを行うこと等を不正競争と定義づけて、ズルを防止する法律である。この法律の特徴は、保護する対象を事前に登録申請する必要がない点にある。
なお、各種の罰則規定も存在する。
まとめ
ゲームにおける有料コンサルティング自体は、本当に近年発生したビジネスと言える。それだけに特別な法制度がなく、既存の法制度をあてはめていく形で規制されることとなる。
現状でいえば、各種ガイドラインに則った上で解説動画をアップロードし、広告収入で収益を得る、これは合法と言えるだろう。しかしながら、特定のゲームのノウハウをレクチャーするために指導料やセミナー料を取るとなった場合は、ちょっとどうなるのかは何とも言えないが、まずいことになる可能性も想定されるといえばされる。
ちなみに任天堂とディズニーは権利関係に特に非常に細かいことで有名である。キャラクターがもつイメージを損ねる、営利目的ありきで、二次的利用をビジネスとして許諾なく行った場合は、逆鱗に触れると莫大な損害賠償金が発生することとなる。有名な事件や裁判例が数多く存在することから、そのようなイメージが定着したものと思われる。
ポケモンに限って言えば、個人的にはポケモントレーナーが職業して成立していってほしいと思う反面、現在のところ対戦ゲームにおけるコンサルティングを行う際のガイドライン等が見当たらないため、そのあたりは是非公式側からそれを許容するか、一般社団法人等が作成している民間資格のように、ライセンスを発行するといった形で盛り上げて行ってもらいたいところである。
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