宮沢賢治と宮澤トシ、それぞれの影響【宮沢賢治と妹・宮澤トシ(4)】#54
○ 宮澤トシの大学時代
宮澤トシは、大学入学後も、花巻での事件のショックを引きずっていたと思われますが、常に成績は優秀で、大学創立者でクリスチャンの成瀬仁蔵の教育からも影響を受けていたようです。
トシは、大学で行われていた「既存宗教にとらわれない宗教教育」などからも影響を受け、自らの信仰について考えていました。大学設立者の成瀬が影響を受けたとされる、アメリカの思想家ウィリアム・ジェイムズの思想からの影響なども推察されます。
トシが亡くなった後には、トシの署名が入ったアメリカの思想家 エマーソンの本が見つかり、在学中の日本女子大学では、賢治が影響を受けたとされるインドの思想家 タゴールの講演会が行われています。
トシが国内だけはなく世界の思想家からも影響を受け、そしてトシと賢治が影響を与えあい、さらに賢治の作品が受けた影響についても、興味深いものがあります。
トシは卒業前に病に倒れ、入院後、卒業式を待たずに、花巻に帰ることとなりますが、成績優秀であったことから、大学の卒業が認められました。
トシは、大学卒業後の1920(大正9)年頃に、「自省録」という、自分の過去を振り返るノートを残しています。
2022(令和4)年11月30日(水)
(続く)
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