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#118 宮沢賢治と大谷翔平(7)

(続き)

大谷翔平が影響を受けたとも言われる中村天風、その中村が影響を受けたと言われるアメリカのエマーソン。

そして、そのエマーソンは、宮沢賢治へも影響を与えたと思われます。

賢治は、強い好奇心と恵まれた経済力を活かして、日本だけでなく、世界各地から当時の最先端の本などを入手し読んでいたようです。しかし、賢治が読んだ本はほとんど残っておらず、賢治が何から影響を受けたのか不明な場合が多いのです。

そのような中でも、エマーソンは、賢治の少年時代から晩年に至るまでの長い期間、賢治に何らかの影響を与えた痕跡が残されています。

賢治とエマーソンの関係が最初に登場するのは、賢治が盛岡中学3年だった1911年頃です。寮で同室だった藤原文三が、「賢治が難しいエマーソンの哲学書を読んでいて驚いた」と証言しています。

また、賢治の晩年の1932年には、病床の賢治を訪れた照井謹二郎が、賢治から「エマーソン論文集 上巻」を譲り受け、そこには、賢治の亡くなった妹トシの署名があったと言われています。

賢治は、中学から亡くなる直前までの長い間、エマーソンを意識していたとも言え、妹のトシもまた、エマーソンに影響を受けていたと思われます。

2023年5月に公開された映画「銀河鉄道の父」の中では、賢治のセリフの中で、中学時代に学んだ思想家の1人として「エマーソン」の名前が登場しました。

このように、エマーソンの思想は、賢治の生涯の長い間にわたって、賢治に何らかの影響を与えていたのではないかと想像されます。

それだけではなく、晩年に賢治が持っていたエマーソンの本に、妹・トシの署名があったということは、トシもエマーソンから、何らかの影響を受けたことが予想されます。

(続く)

2024(令和6)年2月10日(土)

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