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#117 宮沢賢治と大谷翔平(6)

(続き)

大谷翔平の愛読書とも言われている「中村天風」と、その思想に影響を与えたと思われるアメリカの「ニュー・ソート」。ニュー・ソートで使われる「エーテル」という言葉で、やっと賢治的な要素が登場しました。エーテルは、賢治の代表作で、今年発行100年を迎える詩集「春と修羅」の表題作でもある「春と修羅(mental sketch modified)」にも登場します。

アメリカのニュー・ソート思想の中で大きな影響を与えたと言われる人物に、ラルフ・ウォルド・エマーソンという人物がいます。現代日本では、エマーソンはほとんど知られていません。

ラルフ・ウォルド・エマーソンは、アメリカのマサチューセッツ州ボストンで、1803年、キリスト教のプロテスタント系の聖職者の家に生まれました。エマーソン自身もハーバード大学を卒業後に牧師となりますが、徐々に従来の教会のあり方に疑問を持ち、教会を離れることとなります。その後は、講演活動が中心となりますが、その中で語ったのが、「超絶主義」と呼ばれる思想です。

超絶主義というのは、これまでニュー・ソート、引き寄せの法則などの中で説明してきたような、自分自身の潜在能力を極限まで信じ、積極的に活動することにより、成功がもたらされるといった考え方で、「超越主義」とも言われ、英語の「トランセンデンタリズム」という言葉は、乗り越えるという「トランセンデント」という言葉に由来しています。

エマーソンは1882年、日本の明治15年に亡くなりますが、このエマーソンの思想は、明治・大正・昭和期の日本の知識人達へ大きな影響を与えたと言われています。

先に説明した、大谷が愛読書としているという中村天風の言葉の中にも、しばしばエマーソンが登場していますし、宮沢賢治、そして妹のトシもエマーソンの本を持っていました。

(続く)

2024(令和6)年2月9日(金)

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