裏ハローワーク「ぼったくり」編part1
2000年代初頭、東京都でとある法律が新たに施行された。
性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供に関する条例
所謂、「ぼったくり条例」だ。
条例が施行され20年がたったが、未だその被害は後を絶たないという。
警察とのいたちごっこを繰り返しながらも、消えては現れる。
今回はそんな「ぼったくり」で過去に働いていたというMさんにその内情を聞いてみた。
ー「ぼったくり」のシステムとは?-
「単純ですよ。僕が働いていたのは都内にあった”ぼったくりキャバクラ”なんですけど、キャッチに連れてきてもらったお客さんに普通に飲んでもらうんです
普通のキャバクラみたいにハウスボトル飲んで、女の子にドリンクあげて一緒に飲んでって感じで「じゃあ帰ろうか」って伝票貰った時に10倍ぐらいの金額だったっていう。まあよくある手段ですね(笑)」
ー客とのトラブルは?-
「伝票持ってく段階で判断するんです。いけるかいけないか。
見た目とか、飲み方でその客が”沸く”かどうか見極めるんです。
僕が働いていた店は内装が高級店クラスの大箱で、キャストの質もかなりのレベルだったんです。だから法外な金額を提示してもすんなり払ってくれることが多かったですけどね。
仮に、ごねたときは”セカンド”と言われる上司役の従業員を出すんです。それでも払わなかったら”サード”と言われる強面の従業員に出てもらう。払うまでは僕たちも逃がさないんで、大体これで観念して払いますね。
交渉というよりも、どれだけ相手をビビらせるかですね。黒服の数も普通のキャバクラの何倍も多くて、いつでも対処できるように立っていました。
キャストは普通に接客して今思うと、異様な光景でしたよ。」
ー始めたきっかけは?ー
「その当時、色々あって警察からの逃亡生活をしていたんです(笑)おはよう逮捕から逃げて、そのまま東京の友達の家に匿ってもらったんです。
お金も何もないから、まず仕事を探そうと思ってスマホの求人サイト見てたら”ホールスタッフ 日給1万円保証”っていう求人があって。10代の頃だから世間知らずで、レストランかなんかだと思って面接に行ったら店長から「うちぼったくりだけど大丈夫?」って言われて。
話聞いてたら興味しかなくて、初めて自分が逃亡生活していることを打ち明けたら店長が面白がってくれたんです。その少し前に仲間が死んじゃったのもあって、もう失う物なにもないなって思って「働かせてください」って頭下げました。」
次回はMさんのエピソードを交えて「ぼったくり」の内部事情を聞いていきたいと思います。
part2に続く。。。
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